第八話 晴れない疑い
葵と話すのをやめて一週間が経った。
このまま順調に勘違いは収まる――そう思っていた。
「そういえばさ、お前と春日部さん最近話さなくなったよな。もしかして別れた?」
翔真が聞く。
こいつは勘がいいのか悪いのか、よく分からない。
「別れてもねぇし付き合ってもねぇよ」
「あんな美少女を手放すとか目腐ってんのかよ〜お前〜」
「だから手に入れてすらないんだって」
「はいはい分かったよ。せいぜい俺以外にはバレないようにな」
ダメだ。
翔真は完全に僕と葵が付き合っていると信じ込んでいる。
昼休みになり、如月さんとその取り巻き数人が僕のもとへ来た。
「薫くんって最近葵と話してないけどどうしたの? 喧嘩でもした?」
「いや、そもそも前からあんな感じだったし。勘違いじゃないかな、多分。いや絶対。神に誓う」
「ふふっ、薫くんって面白い人だね」
「マジで付き合ってないんで勘弁してください、ほんまに」
「そんな嘘つかなくても大丈夫だよ〜。私は知ってるから」
……あれ。
これ詰んだくないか?
「シラを切るのもいい加減にして白状しなよ〜」
取り巻きの一人が言う。
「正直に言った方が楽になれるよ〜」
「もう隠すことも何も無いでしょ」
五対一。
数的劣勢。
相手は一軍女子。
逃げ場なし。
そこから導き出された僕の答えは――
「はい! 付き合ってます!
もう全部その通りです!
なのでこれ以上詮索するのは勘弁してください!」
……あれ?
少しして、僕は自分の過ちに気づく。
「いや、これは違くて、その……」
「あ〜やっぱそうだったんだ〜」
「そりゃそうだよね、あれで付き合ってないわけないし」
「待ってほんとに違う、時間巻き戻させて」
「もう言質取ったからダメだよ〜ん」
教室の扉が開いた。
そんな最悪のタイミングで、葵が体育館から帰ってきたのだ。
「うぃ〜葵〜! 薫くんから付き合ってるってこと聞いちゃった〜!」
『……は……?』
葵が、懐疑と絶望の混じった顔でこちらを見る。
――ああ。
僕の学校生活はここで終わりかもしれない。
そう思った。
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