表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
どうする元信  作者: Aju
12/20

12 恋のライバル?

 岩吝図(いわしみず)真人(まさと)は、また困惑した。


 岳川さんの元気がないのだ。

 昨日まで夢見心地のような顔をしていた岳川さんが、今日は別人のように元気がないのだ。


 何か、悩みがあるのだろうか?

 元気づけてあげたい。

 できれば、相談に乗って‥‥あげたい。

 こんな時こそ、チャンスじゃないか? いやいや、そういう下心ではなく‥‥。


 ぼくにだからこそ、できることがあるんじゃないか? 散々歴史資料を勉強してきた、ぼくにだからこそ‥‥。

 そうだ! 勇気を出せ! 今だ! 踏み出すんだ、岩吝図(いわしみず)真人(まさと)


 真人は、1歩を踏み出した。


「あの‥‥岳川さん‥‥。なんだか、元気ないけど‥‥どうかしました?」


 ついに! 清水(きよみず)の舞台から飛び降りたぞ!!




「えっと‥‥、あなた、誰?」


 存在感、薄っっっ! Σ(°Д°;)


「あの‥‥、岩吝図(いわしみず)です。‥‥同じクラスの‥‥。」


 あ‥‥、そういえば、そんな子いたっけ‥‥。

 まりんは笑顔をとりつくろった。

「な‥‥何か用?」


「な‥‥なんか、今日、岳川さん元気なかったんで‥‥。どうしたのかな、と思って‥‥。」


 まりんは少し新鮮な空気を吸ったような気分になった。

 わたしなんかを気にかけてくれる男子がいるんだ‥‥。


 いやまりん‥‥。それは自覚なさ過ぎ——。

 気にしてる男子はそれなりにいるんだが、「家康様、命!」なまりんに取り付くシマがないだけなのだ。


「な‥‥何か‥‥、これまでの歴史資料を、否定しちゃうような何かを見た‥‥とか?」


 一般的に、元気がない女子に話しかける切り出しではない。

 だが、真人にとっては「歴史」以外に、憧れの岳川さんに話のできる取っ掛かりが何もなかった。

 普通なら「大ボケ」である。


 が、真人のこの大ボケ切り出しが、ちょうど今のまりんにとっては偶然にも核心を突いてしまっていた。


 まりんが、がっ、と真人の手首を掴んだ。


 た、た、た、岳川さん! 何を‥‥?


「歴史、詳しいの!?」

「いや‥‥あの‥‥、た、岳川さんほどじゃないとは‥‥思うけど‥‥。」


 まりんはすがるような目をしている。心なしか、その瞳が潤んでいるような‥‥。

「築山殿って、本当に殺されてしまった? 何か、生き残ったかもしれない、っていうような資料、知らない?」


 そのあと、手を掴まれたまま、人気ひとけのない校舎裏へ引っ張っていかれた時には、真人は心臓がパンクするんじゃないかと思った。


「絶対、内緒にしてね。」

 そう言われてそこで打ち明けられた話は、真人が期待していたようなものではなく、斜め上どころか、目が点になるほど、はるか彼方にぶっ飛んだ話だった。


「松平元信? タイムリープ?」


「うちに来てくれたら、会えるよ。相談に乗ってほしいこともあるし‥‥、もしよかったら岩吝図いわしみずくん、家まで来てくれる?」

 岳川さんの目は真剣だ。


 これは‥‥、いきなり、何という展開!?


 岳川さんの、家に‥‥誘われた‥‥?

 2人きり‥‥‥‥?

 じゃないよ。そこには‥‥‥

 

 巨大な恋のライバルがいる‥‥? (° °);



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
頑張れ、岩吝図くん! (どうでも良いけど君、名前ムツカシイね♪) 家康様は永遠のライバルだが、君にもワンチャンありだぞ!
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ