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俺、女子高生になりました  作者: アガッタ
第10章 俺、お祭りに行ってきます
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俺、お祭りに行ってきます7 ~花火~

「怜奈! 怜奈!」

耳元で、私の名を呼ぶ声が聞こえる。その声に、私は意識をゆっくりと浮上させた。

「……恵理?」

目を開けると、そこには心配そうな顔をした恵理と、その後ろに咲良先輩の姿があった。

「もう! 怜奈、どこ行ってたのよ! 探したんだからね!」

恵理はそう言って、私の頬を両手で挟み込んだ。私は、呆然としながらも、周りを見回す。そこは、あの古びた鳥居の前だった。先ほどまで、神樹の頂上にいたはずなのに。

「あんた、ずっとここでボーっとしとったんよ。どんだけ呼びかけても、全然反応せんし」

咲良先輩が呆れたように言う。

「あの、私……」

私は、鳥居の向こうの、あの巨大な樹木があった場所を指差そうとした。しかし、そこに広がっていたのは、見通しの悪い、鬱蒼とした草むらだけだった。

「どうしたの、怜奈。一体、何をしていたの?」

恵理が私の顔を覗き込み、再び尋ねる。

私は、あの不思議な出来事を思い出した。私そっくりの少女、三本足の白いカラス、そして前世の記憶……。あれは、夢だったのだろうか。それとも、本当に起こったことなのだろうか。

麻衣子先輩の言葉が、脳裏をよぎる。

『中で起こった出来事を誰かに話すと、今度こそ本当に神隠しに遭ってしまうって……』

もし、あれが本当だったとしたら。私は、この不思議な体験を、心の中にしまい込んでおくべきものなのかもしれない。

「ううん、なんでもないよ。ちょっと、ぼーっとしてただけ」

私は、ただそう答えることしかできなかった。

「もう! 心配させないでよ! 花火大会、もうすぐ始まるんだから、早く行くよ!」

恵理にそう言われて、私ははっと我に返る。そうか、花火大会だ。私は、うなずくと、二人の後を追いかけるように、歩き始めた。


「うわぁ、きれい!」

夜空に、色鮮やかな花火が次々と打ち上げられる。恵理は、満開の花火を見て大興奮だ。隣では、麻衣子先輩や咲良先輩も、感嘆の声をあげている。海美先輩は、スマホで花火を撮ろうと、必死にシャッターを切っていた。

私も、空に咲く大輪の花火を見上げていた。初めて見る花火は、想像以上に美しく、私の心を揺さぶった。

しかし、私の頭の中は、今でもあの禁足地での出来事が離れないでいた。

私そっくりの少女。三本足の白いカラス。そして、前世の幻影。あれは一体、何だったのだろうか。まるで、私の前世と現世を繋ぐ、不思議な夢を見ていたようだ。

あの体験は、私に何を伝えようとしていたのだろう。ただ一つ、言えることがあるとすれば、私はこの転生した現世を大切に過ごしたい、と強く思った。

「ありがとう、前世の私」

私は、心の中でそう呟いた。前世の私があったからこそ、今の私がある。そして、この新しい人生で、私はたくさんの素敵な出会いをした。恵理や咲良先輩、麻衣子先輩、海美先輩、そして陸玖。彼らとの出会いは、私の人生を豊かにしてくれた。

私は、前世の自分に感謝しつつ、現世の自分自身と向き合っていくことを誓った。

夜空に咲く花火は、私の新しい決意を祝福してくれているようだった。

俺、お祭りに行ってきます 終

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