俺、料理を手伝います5 ~陸玖の写真~
ここでは、陸玖目線で物語が進みます。
理沙との格闘ゲームは、僕の完敗だった。
「陸玖くん、弱いね!」
理沙は楽しそうに笑いながら、僕の顔を覗き込む。僕は負けた悔しさよりも、理沙が楽しんでくれたことに安堵していた。
「もう一回やろうか? 今度は違うゲームにする?」
僕がそう誘うと、理沙は急に表情を変えた。さっきまでの無邪気な笑顔は消え、悪代官のようなニヤリとした笑みを浮かべて、僕の顔にぐっと近づいてきた。
「お主、わしに隠し事をしておるな? その方のカメラには、怜奈のレオタード姿が何枚入っておるんじゃ?」
僕の心臓が跳ね上がった。どうして理沙がそんなことを知っているんだ?
「な、ななな、何を言っているんだ!? わ、僕は、そんな、い、一枚も撮ってないぞ!」
僕はしどろもどろになりながら、必死に否定した。理沙は僕の慌てぶりを見て、さらに笑みを深くする。
「お主、本当に正直な奴じゃのう。わしはいつも見ておるぞ。お主が怜奈のレオタード姿を撮ろうとして、わしに邪魔されておる姿をな!」
理沙の言葉に、僕は完全に敗北を認めた。彼女は本当に僕の天敵だ。
「ところで、お主は怜奈のエッチなシーンを撮ってみたいか?」
理沙の問いかけに、僕の頭の中で、怜奈の体操服姿や水着姿、チアガール姿にメイド姿に巫女姿など、様々な服装が次々と浮かび上がってきた。いや、違う。僕はただ、怜奈のありのままの姿を撮りたいだけなんだ。決して、そんな……。
僕が何も言えずにいると、理沙はため息をついた。
「男とは業の深い生き物じゃのう」
そうつぶやき、理沙は急に真剣な表情に戻った。
「陸玖くん、お姉ちゃんは、陸玖くんと出会ってから、なんだか明るくなったんだ。前は、何かに怯えているような、どこか寂しそうな顔をしていたから」
理沙の言葉に、僕は驚いた。かつての怜奈は、理沙の言うとおり、俯きながら寂しそうな表情をしていた。怜奈がいじめられていたのも、納得がいく。でも、そんな理沙は、僕のまだ知らない怜奈を知っているのかもしれない。
「だからね、これからもお姉ちゃんと仲良くしてほしいんだ」
理沙は、まっすぐな目で僕を見つめた。その瞳には、怜奈を心から大切に思っている気持ちが込められていた。僕は理沙の言葉に、胸が熱くなった。
「もちろんだ。約束する」
僕は微笑みながら、理沙にそう答えた。僕と怜奈の関係は、ただのクラスメイトや、盗撮魔と被害者なんかじゃない。理沙の言葉を聞いて、僕はそう確信した。
「で、お主、本当に怜奈のレオタード姿を撮っていないと申すか? わしには嘘をついておるようにしか見えぬぞ」
理沙が再び僕に顔を近づけ、再び悪代官の口調に戻っていた。僕は撮っていないと否定したが、
「そうかそうか、ではその方のカメラを調べさせてもらおうか」
理沙はそう言って、僕のカメラに手を伸ばそうとした。僕は観念して、カメラバッグからカメラを取り出した。
「わ、わかったよ。撮ってる……撮ってるから」
僕は理沙に、カメラのモニターを見せた。理沙はニヤニヤしながら、僕の写真を一枚一枚、食い入るように見ていく。そして、数枚の写真を見て、理沙は僕に言った。
「うわぁ、陸玖くん、お主もエッチよのう!」
僕が撮った写真の中には、怜奈の下半身や胸をアップで撮ったものが何枚かあった。僕は恥ずかしくなって、思わず顔を覆った。しかし、理沙は気にせず、さらに奥の写真を見ていく。
「でも、これも……」
理沙は、別の写真を見て、僕に言った。その写真には、平均台の上で真剣な表情を浮かべる怜奈の姿や、床運動で力強く宙を舞う怜奈の姿が写っていた。汗を流しながら、必死に練習に打ち込む怜奈の姿は、とても美しかった。
「お姉ちゃん、こんな表情もするんだ……」
理沙は、まるで初めて見るかのように、写真の中の怜奈に見とれていた。そして、次の瞬間、理沙は「カッコいい……」とつぶやいた。
「陸玖くん、見直したよ。お姉ちゃんのカッコいいところ、ちゃんと撮ってくれてたんだね」
理沙はいつもの口調に戻り、微笑みながら僕に言った。僕は、理沙に褒められて、嬉しかった。
僕が撮りたいのは、怜奈のエッチな姿だけじゃない。彼女の真剣な表情や、体操に打ち込む姿、そして何気ない日常の中にある、彼女の魅力的な一面を撮りたいんだ。理沙の言葉で、僕は自分の気持ちに確信を持つことができた。




