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俺、女子高生になりました  作者: アガッタ
第9章 俺、料理を手伝います
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俺、料理を手伝います2 ~玉ねぎと悪代官~

体操部の練習を終え、汗だくになりながら私は陸玖の家へと向かっていた。今日の夕飯は恵理が「カレーライスとサラダにしよう!」と張り切っていたため、私は買い物を頼まれていた。陸玖の家から一番近いスーパーに立ち寄ったのだが、そこで思わぬ事態に直面した。

「え、玉ねぎ……売り切れ?」

カレーに欠かせない玉ねぎが、棚からきれいに消えていたのだ。困ったな、どうしよう。このまま陸玖の家に行けば、恵理に怒られてしまうかもしれない。そう考えていると、ポケットに入れたスマホが震えた。画面を見ると、従姉妹の理沙からだ。

「もしもし、どうしたの、理沙」

電話に出ると、理沙は少し困った声で話し始めた。

「ねえ、お姉ちゃん。今日おばさんの帰りが遅くなるんだって。だから夕飯どうしようかなって思ってさ」

理沙は現在、私の家に居候している。たしかに、母の帰りが遅いなら理沙の夕飯をどうするか考えなければならない。でも、それよりも先に解決しなければならない問題が私にはあった。

「そうだ、理沙。ちょっと聞きたいんだけど、家の冷蔵庫に玉ねぎって入ってる?」

私が尋ねると、理沙は「ちょっと待ってて」と言って、少し経ってからまた電話口に戻ってきた。

「うん、入ってるよ。なんか、おばさんが大量に買ってきたみたい。全部で5個もある」

その言葉を聞いて、私の顔に笑みが浮かんだ。良いことを思いついた。

「理沙、それを持って、今すぐ駅まで来てくれない? 事情は後で説明するから!」

私の言葉に理沙は「え、何?」と戸惑っていたが、私が食い気味に頼むと「わ、わかったよ!」と返事をしてくれた。

これで玉ねぎの問題は解決だ。しかし、理沙まで巻き込んでしまった。きっと彼女は、今日の夕食に何が起きるのかも知らず、嬉々として駅に向かっていることだろう。


理沙が駅の改札口から、買い物袋を片手に駆け寄ってくるのが見えた。普段は制服を着崩している彼女が、今日はやけにきちんとした格好をしている。その手にある袋は、玉ねぎ5個だけにしては少し膨らんでいるような気がした。

「お姉ちゃん! 何かと思ったら玉ねぎだったんだね! 早く行こうよ、陸玖くんと遊べるんだよね!」

理沙は楽しそうに言った。遊びじゃない、という言葉が喉まで出かかったが、彼女の純粋な瞳を見たら言えなかった。結局、私は理沙に正直に事情を話すことにした。

「実は、陸玖くんのお姉さんが料理下手で、今夜は私と恵理で夕飯作りを手伝うことになったの。それで玉ねぎが足りなくて……」

私の説明を聞いた理沙は、少し不満そうな顔をしたが、すぐに笑顔に戻った。

「なんだ、遊びじゃないのかー。でも、料理手伝うの楽しそう! で、お姉ちゃん、陸玖くんとはどこまで進んだの?」

「はゐっ?!」

理沙は急に悪代官のような口調になって、さらに問い詰めようとした。

「お主もなかなかやるのう。その方、わしらに隠し事をしておるな? 陸玖とやらの男とは、一体どういう関係じゃ? ん?」

私は思わず吹き出しそうになったが、なんとか堪えて、真っ向から否定した。

「違う! 何も進んでないから! 陸玖はただのクラスメイトだし、私はあの人のこと、苦手なんだから!」

違うクラスだからクラスメイトではないけど、なぜかその言葉しか返せなかった。私の必死な抵抗に、理沙は満足したように笑い、口調を元に戻した。

「はいはい。お姉ちゃんったら、照れちゃって」

私はため息をつき、理沙の持つ買い物袋の中身を確認した。玉ねぎ5個は確かにそこにあったが、その横には見慣れた赤いパッケージが顔を覗かせていた。

「これ、味の素?」

私が尋ねると、理沙は「そう!」と得意げに頷いた。

「最近流行ってるんだって! これがあれば、どんなマズイ料理でも美味しくなるかもしれないってネットで見たから、お姉ちゃんの役に立つかと思って買ってきたんだ!」

「理沙よ、お主もなかなかやるよのう」

理沙はきょとんとした顔をしていたが、すぐに意味を理解したようで、一緒に笑い合った。

こうして、私たちは二人で陸玖の家へ向かうことになった。

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