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俺、女子高生になりました  作者: アガッタ
第8章 俺、思い出を見つけました
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俺、思い出を見つけました2 ~更衣室にて~

バスは田園風景を抜け、しばらくして開けた場所に出た。そこにそびえ立っていたのは、想像以上に立派な体育館だ。田舎の体育館と聞いて、もっとこぢんまりした建物を想像していたけれど、これはかなりの規模だ。隣には、ガラス張りの立派なプールまで見える。体操部と水泳部が合同になったのも納得の施設だ。

バスを降りて、体操部のメンバーは体育館の更衣室へ、水泳部のメンバーはプールの更衣室へと向かう。私も足早に更衣室へ向かい、制服を脱いでレオタードに着替え始めた。体操部に入部してから(させられてから?)何か月経ったものの、どうしてもこのレオタードにはまだ慣れない。肌触りの良い生地が体にフィットし、女の子の体型がこれでもかというぐらい強調され、意識するとどうしても恥ずかしさが湧き上がってしまう。特に胸の大きさが強調されるのはどうにかならないものか。

「おや、怜奈。なかなか育っとるのう」

背後から聞こえた聞き慣れた広島弁に、ギョッとして振り返る間もなく、私は両の胸をワシ掴みにされた。

「ひゃうっ!?」

情けない声にならない悲鳴が、更衣室に響き渡る。もちろん犯人は、この体操部の部長である咲良先輩だ。部長、といっても、3年生の里亜先輩がまだ引退していないため、正式に部長になったわけではない。ただ、実質的な部長として君臨することになったのである。

「さ、咲良先輩っ! 何するんですか、もう! やめてくださいっ!」

恥ずかしさで顔が真っ赤になるのを感じながら、私は必死に抗議した。本当にこの先輩は、一体何を考えているんだろう。


パァンッ!


とっさに咲良先輩の手を振り払うと、鋭い音が響いた。

「この痴女がぁ!」

麻衣子先輩が、どこからともなく取り出したハリセンで小気味良い音を立てて、咲良先輩の頭を叩いた。麻衣子先輩はいつも冷静沈着で、こういう時のツッコミ役はだいたい麻衣子先輩だ。

「いってぇ! 麻衣子、何するんじゃ!」

「何するんじゃ、じゃないわよ。怜奈が嫌がってるでしょ。後で体育館裏に来なさい。お仕置きしてあげるから」

麻衣子先輩はそう言い放ちながら、咲良先輩の手を私の胸から引き剥がしてくれた。ホッと胸をなで下ろしたのも束の間、麻衣子先輩の視線が私の胸元に固定されていることに気づく。

「……それにしても怜奈の胸、本当に綺麗ね」

麻衣子先輩がポツリとつぶやいたその言葉に、私は再び顔を赤くした。何なんだ、この人たちは!

「も、もう! 麻衣子先輩まで! いい加減にしてくださいっ!!」

思わず語気が強くなってしまう。さすがに今日は、先輩たちに振り回されすぎだ。

「はいはい、ごめんごめん。咲良、行くわよ」

麻衣子先輩は苦笑しながら、まだ不満そうな顔をしている咲良先輩の手を引いて、更衣室を出ていった。


二人が出ていき、静まり返った更衣室で、私は一人、大きくため息をついた。まったく、体操部の先輩たちは強烈すぎる。

着替え終わって、窓の外を眺める。広々としたグラウンドの向こうには、緑豊かな山々が連なっている。その風景をぼんやりと見つめていると、不意に、前世でのある出来事が頭をよぎりそうになった。いつもそうだ。ふとした瞬間に、封印したはずの記憶が蘇りそうになる。

「怜奈、何してるの? 早く練習に行くよ」

後ろから聞こえた麻衣子先輩の声に、私はハッと我に返った。いけない、いけない。今は、女子高生としてこの合宿を楽しむんだ。前世のことは、もう過去のこと。

「はいっ!」

私は、元気よく返事をして、頭を左右に振り、麻衣子先輩たちと一緒に体育館の練習場へと向かった。

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