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俺、女子高生になりました  作者: アガッタ
第7章 俺、お姉ちゃんになりました
69/100

俺、お姉ちゃんになりました5 ~お互いの悪夢の中~

前半は理沙目線で、後半は怜奈目線で、物語が進みます。

夢を見ていた。お父さんとお母さんと一緒に、公園にお出かけしている夢だ。私は滑り台を滑ったり、ブランコをこいだり、鬼ごっこをしたりと、無邪気に遊んでいた。太陽の光がキラキラして、風が気持ちよくて、笑い声が響く、幸せな時間だった。

でも、いつの間にか、お父さんが私から遠ざかっていくのが見えた。あれ? お父さん、どこ行くの? 私、まだ遊び足りないよ。そう思っていると、お母さんが私の頭を優しく撫でた。その手はいつもと同じ温かさなのに、なんだかとても寂しそうで、すぐに私から離れていこうとしていた。

「お母さん、どこ行くの?」

私はお母さんの後を追いかけた。だけど、どれだけ走っても、お母さんには追いつけない。お母さんの背中が、どんどん小さくなっていく。

「待って! お母さん!」

必死に手を伸ばしたその時、足元に違和感を覚えた。下半身が、見る見るうちに固まっていく。まるで石になったみたいに、ずっしりと重くて、動かせない。腰から下、太もも、膝、ふくらはぎ、足首……。どんどん石になっていく感覚に、私は怖くてたまらなくなった。

お父さんとお母さんの姿は、もうほとんど見えない。遠くから聞こえる笑い声も、だんだん小さくなっていく。私は動かない体で、次第に見えなくなる両親に向かって、必死に泣き叫ぼうとした。でも、声が出ない。喉が石になったかのように、固まってしまって、どんなに頑張っても声が出ないんだ。

「いやだー! お父さん! お母さーんっ!」


その瞬間、ハッと目が覚めた。

あたりはまだ薄暗い。隣には、すやすやと眠る怜奈お姉ちゃんの寝顔が見える。夢だったんだ……。そう気づくと、私の体は汗びっしょりになっていた。心臓がドクドクと音を立てていて、なかなか落ち着かない。さっきまで見ていた夢が、あまりにも鮮明で、まだ足が石になったような感覚が残っていた。

私は、無意識のうちに怜奈お姉ちゃんのパジャマをぎゅっと掴んでいた。よかった、怜奈お姉ちゃんはここにいる。そう思うと、少しだけ安心できた。まだ眠気は来そうになかったけれど、このまま静かに、夜が明けるのを待つことにしよう。


***


私も、ひどい夢を見ていた。

練習場にいると、突然、カメラを構えた陸玖が、10人以上も現れて私の前に立ちはだかった。

(なんでこんなにたくさんいるんだよ)

そう呆れていると、いつの間にか私の制服姿が、鮮やかなレオタード姿に変わっていた。

「怜奈さんのレオタード姿だー!」

陸玖たちが一斉にシャッターを切り始める。パシャッ、パシャッ、パシャッ――。その度に、私のレオタードがビリビリと音を立てて破けていく。生地が裂けるたびに、肌が露わになっていくような感覚に、私は恐怖を感じた。このままでは、全部破けてしまう。

「いやぁぁぁああ!!」

恥ずかしさと恐怖心で、私はその場から逃げ出そうとした。


その瞬間、ハッと目が覚めた。

あたりは明るい。どうやら朝になったようだ。パジャマは汗で少し湿っている。夢でよかった……。そう思いながら横を見ると、理沙が相変わらず私のパジャマにしがみついて、すやすやと眠っていた。

私がゆっくりと起き上がろうとすると、理沙もモゾモゾと身動きをして目を覚ました。

「ん……怜奈お姉ちゃん、おはよう……」

眠たそうな声でそう言った理沙の頭を撫でて、私はベッドから抜け出した。着替えを済ませて、部活に行く準備をする。今日の合宿準備も、陸玖をこき使ってやる。そんなことを考えていると、理沙がパジャマのまま、私にしがみついてきた。

「怜奈お姉ちゃん、私も一緒に行きたい!」

「は? ダメだよ、理沙は受験生なんだから。今日は家にいて受験勉強しなさい」

いくらなんでも、部活に連れていくわけにはいかない。しかも、理沙は来年この高校を受ける予定なのだ。少しは勉強しないと。

「やだ! 怜奈お姉ちゃんと離れたくない!」

理沙は駄々をこねる子供のように、私にしがみつき続ける。その姿はまるで、昔飼っていた子犬みたいだ。私はため息をついた。せっかく陸玖の隠し撮りから解放されて、練習に集中できると思ったのに。これじゃあ、理沙に監視されることになりかねない。

「……分かったよ。ただし、大人しくしてること。いい?」

私が渋々そう言うと、理沙はパッと顔を輝かせた。

「うん! 絶対大人しくしてる!」

こうして、夏休み初日から私にできた予期せぬ同居人は、私の部活動まで同行することになってしまった。一体これからどうなることやら。私は諦め半分、ため息半分で、理沙の手を引いて家を出た。

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