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俺、女子高生になりました  作者: アガッタ
第6章 俺、勉強を教えます
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俺、勉強を教えます11 ~栄光と眼光~

長く感じられた期末試験期間が終わり、ついに1学期の終業日を迎えた。結果発表の日、私は恵理と二人、掲示板の前に並んだ。たくさんの生徒がざわめく中、自分の受験番号を探す。

「怜奈、あった!」

恵理の声に視線を向けると、彼女が指差す先には、見慣れた私の受験番号と名前。そしてその横に記された数字に、私は思わず目を見張った。

学年1位。

そして、恵理の受験番号の横にも、同じ「学年1位」の文字が輝いていた。

「やった……!」

私と恵理は、顔を見合わせて小さくガッツポーズをした。陸玖の勉強を見ていたおかげで、私たち自身の復習にもなった自前の解説講義。そして、前世からの学力の貯金。それら全てが、今回の結果に結びついたのだ。


私たちの快挙は、あっという間にクラス中に広まった。休み時間になると、あちこちから

「怜奈、恵理、すげえな!」

「どうやって勉強したんだよ!」

という声が飛んでくる。中には、私たちを『完璧超人』とか、プロレスのタッグチーム名のような『ヘル・ミッショネルズ』と呼ぶ者まで現れる始末で、思わず苦笑してしまう。女子高生に転生してまで、こんなあだ名がつくなんて、前世の俺が聞いたら腰を抜かすだろうな。


「まさか、私が学年1位になるなんてね……」

恵理は、まだ信じられないといった様子で、自分の成績表を眺めている。しかし、その顔には、確かな自信が満ち溢れていた。前世で味わった挫折が、今回の成功で少しでも報われたのだとしたら、こんなに嬉しいことはない。

「ねえ、怜奈」

恵理が、真っ直ぐに私の目を見て言った。

「私、早稲田の文学部を目指すことにするよ」

その言葉に、私は驚きと喜びを感じた。語学系の大学も良いと勧めたけれど、恵理は文学部という具体的な目標を見つけたのだ。前世で大学に行けなかった彼女が、新たな目標を定め、それを口にしたことに、私は心から感動した。

「よし! 私も、東大目指して頑張るから、恵理も一緒に頑張ろうね!」

「うん!」

私たちは固く誓い合った。学年1位という結果は、私たちに大きな自信を与えてくれた。この第二の人生で、それぞれの夢に向かって突き進む。私たちの物語は、まだ始まったばかりだ。


私たち「ヘル・ミッショネルズ」が学年1位の栄冠に輝いた裏で、一人、補習という名の地獄に落ちた者がいた。

陸玖だ。

期末試験の結果発表の日、私はそっと陸玖の様子を伺った。彼の顔は、試験前よりもさらに青ざめている。結果は、やはり補習だったらしい。中間試験よりは点数が上がったと本人は言っていたけれど、それでもクラス最下位は変わらなかったようだ。

体操部の練習中、私はマット運動の準備をしていた。その時、背後から恨めしげな視線を感じた。振り返ると、そこには涙目で私を睨みつけている陸玖の姿があった。

「怜奈さん……!」

陸玖は、今にも泣き出しそうな声で私のそばに駆け寄ってきた。

「僕、補習になったよ……! こんなに頑張ったのに、どうして……!」

彼の言葉に、私は思わずため息をついた。頑張ったのは知っている。私たちもあれだけ熱心に教えたのだ。だが、結果が伴わなかったのはなぜだろう。

「ねえ、陸玖。正直に言って。講義のあと、ちゃんと復習した?」

私の問いに、陸玖はギクッとしたように顔を背けた。その反応で、すべてを察した。

「……してないのね」

呆れと落胆が入り混じった声が出てしまう。やはり、そうだったか。私たちの解説講義で「分かった!」と目を輝かせていたのは、あくまでその場での理解に過ぎなかったのだ。家に帰ってからの復習がなければ、知識は定着しない。

陸玖は、まるで怒られた子供のように俯いている。しかし、次の瞬間、彼の顔がにわかに吊り上がった。

「くっ……こうなったら、復讐してやる!」

その言葉に、私は思わず身構えた。何をされるんだ、と。

「怜奈さんの練習中のレオタード姿、今度はもっと鮮明に、激写してやるから! 覚悟してくださいよ!」

陸玖は涙でぐしゃぐしゃの顔で、鬼気迫る表情で私に言い放った。その言葉に、私の背筋は凍り付いた。こいつ、まだそんなこと考えてやがったのか! しかも「復習」じゃなくて「復讐」!?

「あーん、先輩! 助けてくださ〜いっ!!」

私は思わず、近くで準備運動をしていた先輩方に助けを求めた。しかし、二人は私と陸玖のやり取りに気づいているのかいないのか、知らんぷりで準備運動を続けている。

咲良は「なんか知らんけど、陸玖くん、やる気じゃねぇ」と呟き、麻衣子は「怜奈ちゃんのレオタード姿、楽しみにしてるね」とニヤニヤしている。

このクソったれがーっ! 私に味方はいないのかー!

俺、勉強を教えます 終

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