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俺、女子高生になりました  作者: アガッタ
第6章 俺、勉強を教えます
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俺、勉強を教えます9 ~駅前の勧誘~

陸玖のための勉強会は、期末試験が近づくにつれて熱を帯びていった。大門先生まで参加する異例の事態の中、陸玖の理解度は目に見えて上がっている。この調子なら、補習は避けられるかもしれない。

ある日の解説講義を終え、陸玖と別れて恵理と二人、帰り道を歩いていた。空はすっかり茜色に染まり、家路を急ぐ人々の足音が響く。

駅前に差し掛かった時だった。ふと、見慣れないグループが目に入った。数人の男女が立ち止まり、何やら活動している。一人の勧誘員は、熱心に新聞のようなチラシを配っていた。別の勧誘員は、色鮮やかなプラカードを掲げている。プラカードには、どこかで見たような、しかしすぐに思い出せない奇妙なマークと、大きな文字で何かの名前が書かれていた。

「……っ」

隣を歩いていた恵理の表情が、一瞬で凍りついた。彼女の顔は、怒りとも憎しみともつかない、険しいものへと変わっていく。私は恵理のただならぬ雰囲気に、思わず視線をプラカードの名前へと向けた。

そこに書かれていたのは、数日前に恵理が涙ながらに語ってくれた、彼女の両親が没頭していたと思われる宗教の名前だった。

「まずい……」

直感的にそう感じた。恵理の顔色を見れば、この場に長居すべきではないことは明白だ。私は恵理の腕をそっと掴み、その場から離れようとした。

しかし、時すでに遅し。私たちの動きに気づいたのだろうか、一人の勧誘員がにこやかな笑顔を浮かべ、まっすぐにこちらへ歩いてきた。

「おや、そこのお嬢さん方! 少しよろしいでしょうか?」

勧誘員は、警戒する私たちに構わず、馴れ馴れしい口調で入会を勧めてきた。恵理の手が、私の腕を強く掴む。その握力に、彼女がどれほどこの状況を憎んでいるかが伝わってきた。

「結構です!」

恵理の声が、ひどく震えていた。その顔は、憎しみだけでなく、明確な恐怖で血の気が失せている。勧誘員はそんな恵理の様子には全く構わず、満面の笑みを貼り付けたまま、さらに言葉を重ねてくる。

「まあまあ、そう言わずに。少しお話を聞いていくだけでも、きっと心が晴れますよ。今なら入会金も特別割引でして……」

しつこい勧誘に、恵理の表情はますます険しくなっていく。私は恵理の腕を掴んだまま、この場を何とかやり過ごそうと、さりげなく後ずさった。しかし、勧誘員はそれを許さない。

「ですから、結構だって言ってるでしょ!!」

恵理が、張り詰めた声で怒鳴った。その声は、街の喧騒にかき消されそうになるほどか細かったが、その場にいた私たちには、はっきりと届いた。

恵理の怒鳴り声に、勧誘員の笑顔がスッと消えた。途端に、その顔には不機嫌そうな色が浮かび、先ほどまでの優しい口調が、低い声に変わる。

「ほう、随分と口の聞き方が荒いお嬢さんだ。我々はただ、あなた方の魂を救済しようとしているだけだというのに……それを無下に扱うとは、どういう了見だね?」

勧誘員は一歩、私たちに詰め寄った。その目つきは鋭く、まるで獲物を狙う獣のようだ。

「あんたたちのような若者が、いつ事故に遭うか分からない世の中だ。病気になるかもしれないし、裏切られることもあるだろう。そんな時、心のよりどころがなければ、どうするつもりかね?」

それは、もはや勧誘ではなく、脅迫めいた口調だった。恵理の手が、私の腕に食い込むほど強く掴まれる。彼女の体は、恐怖で小刻みに震え始めていた。

「もう、やめてください!」

私は思わず声を上げた。そして、恵理の手を引いて、その場から立ち去ろうとした。しかし、勧誘員は執拗に私たちの前に立ちはだかる。

「おや、逃げようとするのかね? そんなことでは、本当の幸せは掴めないぞ。さあ、もう少しだけ話を聞いていきなさい」

しつこく付きまとう勧誘員に、私と恵理は身動きが取れなくなった。そして、ふと気が付くと、私たちは知らぬ間に、その宗教グループの勧誘員たちに囲まれてしまっていた。いつの間にか増えていた彼らの視線が、私たちに突き刺さる。

恵理の顔は、もう完全に青ざめていた。呼吸も荒く、恐怖で全身が硬直しているのがわかる。私は、彼女の腕を掴む手に力を込めることしかできなかった。

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