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俺、女子高生になりました  作者: アガッタ
第6章 俺、勉強を教えます
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俺、勉強を教えます4 ~陸玖の単語帳~

放課後の体育館は、体操部の練習で活気に満ちていた。マット運動をする部員たちの軽やかな着地音、跳び箱を跳び越える時の掛け声。そんな喧騒の隅で、異様な光景が広がっていた。

陸玖だ。彼は体育館の壁にもたれかかり、真剣な顔で英単語帳に黙々と目を通していた。その姿は、普段の彼からは想像もつかないほど、真面で、そしてどこか哀愁が漂っていた。

「あれ、陸玖くんがなんであんなとこにおるん?」

咲良が怪訝そうな顔で陸玖の方を見つめている。彼女の隣にいた麻衣子も、首を傾げていた。

「陸玖くん、なんかあったの?」

私は二人に、これまでの経緯を説明した。期末試験で補習寸前なこと、私が勉強を見てあげることになったこと、そして、その第一歩として英単語帳を渡したこと。

「へぇー、怜奈って意外とスパルタじゃね」

咲良が感心したような、呆れたような顔で言った。スパルタと言われても、この短期間で陸玖の成績を上げるには、それなりの覚悟が必要なのだ。


陸玖の様子が気になり、私は彼のもとへ向かった。顔を覗き込むと、彼の表情は相変わらず真剣だったが、どこか戸惑っているようにも見える。

「陸玖、どう? 進んでる?」

私が声をかけると、陸玖は顔を上げた。

「怜奈さん……この単語の意味はわかるんですけど、その意味の、さらに意味がわからなくて……」

陸玖の言葉に、私は一瞬固まった。単語の意味の意味が分からない? まさか、そこからなのか。彼の語彙力は、私が想像していたよりもはるかに低いのかもしれない。国語辞典でも持ってこさせるべきだったか……。早くも前途多難さを感じて、私は内心で頭を抱えた。


その時、麻衣子が陸玖の手元を覗き込んだ。

「陸玖くん、ちょっと見せてごらん?」

陸玖が差し出した英単語帳を麻衣子が手に取った瞬間、彼女の眉間に深いしわが寄った。そして、驚いたような顔で私の方を向いた。

「怜奈ちゃん、これ……鉄壁会の難単語帳じゃない!」

麻衣子の言葉に、私はギョッとした。鉄壁会。それは、難関大学を目指す受験生が使うような、高度な単語ばかりが掲載されていることで有名な単語帳だ。前世で、俺も一度手にしたことがあるが、あまりの難しさにすぐに手放した記憶がある。

「陸玖くんには、さすがにこれは難しすぎない!?」

麻衣子が心配そうに陸玖を見る。確かに、単語の意味の意味が分からないと言っている彼に、いきなり鉄壁会は無謀だったかもしれない。私は早々に単語帳を選び間違えたことを後悔した。

陸玖の顔は、麻衣子の言葉を聞いてさらに青ざめている。これでは、勉強以前に、彼のやる気を削いでしまうかもしれない。私は改めて、陸玖の学力レベルの「惨状」を痛感したのだった。

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