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俺、女子高生になりました  作者: アガッタ
第4章 俺、先輩とお出かけします
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俺、先輩とお出かけします8 ~麻衣子先輩のその後~

翌日、放課後の体操部。体育館に入ると、いつもなら一番乗りで練習を始めているはずの麻衣子先輩の姿がない。昨日のお出かけのことが頭をよぎり、胸騒ぎがする。

「麻衣子先輩、今日は来ないんですかね…?」

心配そうに咲良先輩に尋ねると、彼女は申し訳なさそうに視線を落とした。

「うん…学校にも来とらんかったみたいじゃけん…」

やはり、昨日の出来事が原因だったのか。甘いもの嫌いの麻衣子先輩に、無理やり赤福やお汁粉、そしてチョコレートパフェまで食べさせた私たち。その軽率さに、咲良先輩と私はひたすら反省した。まさか、ここまで影響が出るとは思わなかったのだ。

練習中、私たちの様子がおかしいことに気づいた里亜先輩が近づいてきた。

「麻衣子、どうしたの? 休んでるって聞いたけど、どこか悪いの?」

里亜先輩の心配そうな声に、咲良先輩と私は顔を見合わせる。正直に話すわけにはいかない。

「い、いえ、大したことじゃないんです! ちょっと、体調が優れないみたいで…」

「そうじゃ、そうじゃ! すぐ元気になって部活に来るけぇ、心配いらんよ!」

必死に言葉を濁す私たちに、里亜先輩はますます不審そうな目を向けた。

「そう? でも、もし本当に体調が悪いなら、ちゃんとした病院に行った方がいいわよ。お医者さん、紹介しようか?」

まさか、麻衣子先輩が「甘いものアレルギー」で倒れたとは言えるはずもない。私たちは、里亜先輩の親切な申し出を、笑顔で固辞し続けた。

「いえ、本当に大丈夫ですから!」

「ご心配ありがとうございます!」

すると里亜先輩は、じっと私たちの顔を見つめ、何かを疑うように目を細めた。

「あなたたち、何か隠してるんじゃないでしょうね?」

ドキリとした。里亜先輩の鋭い洞察力に、思わず背筋が凍る。このままでは、昨日のことがバレてしまうかもしれない。

「い、いえ!そんなことありませんよ!」

「う、うちは早く練習に戻らんと!」

私たちは焦って、それぞれ自分の練習場所へと逃げるように戻っていった。後ろから里亜先輩の「本当に?」という声が聞こえた気がしたが、聞こえないふりをした。

(麻衣子先輩、早く元気になって部活に来てくれ)


さて、そんな翌日のことだ。体操部の練習に、いつもの麻衣子先輩がいた。元気いっぱいに体を動かし、懸垂を繰り返している。本当に大丈夫なのか、少しばかり不安になる。しかし、その顔色は普段通りで、先日のような廃人ぶりは微塵も感じられない。

練習が終わり、着替え室で麻衣子先輩と二人になった時、私は意を決して切り出した。

「麻衣子先輩、あの…先日は本当に、その…ごめんなさい…」

赤福、お汁粉、そしてチョコレートパフェ。あの甘味の猛攻撃を謝罪しようとしたのだが、麻衣子先輩はきょとんとした顔で首を傾げた。

「え? 何のこと?」

まさかの返答に、私は思わず固まった。

「もしかして、どこか痛むとか? それとも、体操のことで何か?」

本当に心当たりがないらしい。私の顔を覗き込み、心底心配そうな表情を浮かべている。

「い、いえ…その…総合公園のお出かけで…」

私が言葉を選ぶようにそう言うと、麻衣子先輩は腕を組み、うーんと考え始めた。

「ああ、総合公園は楽しかったわね! 鹿鳴館を模した建物までは覚えてるんだけど、その後のこと、何かあったっけ…? 全然思い出せないのよね」

麻衣子先輩は、本当に洋館を出た後の記憶がないようだった。まるで、甘味の呪縛が記憶まで奪ってしまったかのようだ。私は安堵と同時に、言いようのない複雑な気持ちになった。謝罪する機会を失ったものの、麻衣子先輩が元気になったのなら、それが一番だ。

「まあ、何でもないならいいんだけど。それより、次の大会に向けて、そろそろ新しい技を練習しない?」

麻衣子先輩の明るい声に、私は曖昧に頷くことしかできなかった。この秘密は、私たちだけのものになるのだろう。

俺、先輩とお出かけします 終

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