俺、先輩とお出かけします7 ~麻衣子先輩果てる~
「もう、やめておきましょう、咲良先輩…」
私の声は、涙でかすれていた。隣を見れば、咲良先輩も同じように目に涙を浮かべている。
「うん…本当に死んだら面白くないけぇね…」
私たちの目の前には、完全に廃人と化した麻衣子先輩がいた。虚ろな瞳で一点を見つめ、口元にはお汁粉の残りが少しばかり。
「アマイノ……アマイノ……」
まるで抜け殻のようにつぶやく麻衣子先輩。私たちは、そんなぐったりした麻衣子先輩を抱え込むようにして、イベント会場を後にした。
なんとか駅までたどり着いたものの、改札口には「人身事故のため、運転見合わせ」の文字が。今日の私たちは、どうやらついていないらしい。
「しゃーないな…近くのファミレスで時間潰そうか」
咲良先輩の提案で、私たちは駅前のファミレスへと向かった。席に着き、とりあえずフライドポテトとピザ、それにドリンクバーを注文する。これで一息つける…
そう思ったのも束の間、私たちの目の前に、なぜかキラキラと輝くチョコレートパフェが置かれた。
「えっ!?」
私と咲良先輩は顔を見合わせた。頼んでないはずだ。まさか、と麻衣子先輩の方を見ると、彼女は虚ろな目で、しかも笑いながらパフェを見つめている。おそらく、また無意識のうちに注文してしまったのだろう。
「あの、すみません! これ、間違えて注文してしまったので、下げてもらえますか!?」
私は血相を変えて店員さんに訴えた。麻衣子先輩がこれ以上甘いものを摂取すれば、本当に取り返しがつかないことになる。しかし、咲良先輩は私よりも早く、既にパフェに手を伸ばしている麻衣子先輩を止めようと、泣きながら必死に呼びかけていた。
「麻衣子ぉ! お願いじゃけぇ、これ以上は! うちはもう、麻衣子が壊れていく姿を見るのは嫌じゃぁあ!」
だが、麻衣子先輩は私たちの制止を振り切り、無言でチョコレートパフェを完食してしまった。そして、そのままテーブルに突っ伏し、ぴくりとも動かなくなった。私たちはただ、後悔の涙を流すことしかできなかった。
結局、電車が動き出すまで、私たちはぐったりした麻衣子先輩を抱きかかえながら、ファミレスで過ごした。ようやく電車に乗り込んだものの、麻衣子先輩は座席に座り込んでもなお、まるで呪文のように何かをぶつぶつと呟き続けている。
「アムァアイ……アムァアイ……」
その言葉を聞くたびに、私の心は締め付けられた。そんな麻衣子先輩を強く抱きかかえて、咲良先輩は涙を流しているだけだった。
この日のお出かけは、散々な思い出となってしまった。




