俺、先輩とお出かけします5 ~運命の出会いと胸のふくらみ~
麻衣子先輩が完全にノックアウトされた赤福地獄を後にし、私たちは次の目的地、鹿鳴館を模した建物へと向かった。そこには、当時の貴族が着ていた華やかな洋服が展示されていて、思わず「おぉ!」と声が出てしまう。フリルのたっぷりあしらわれたドレスや、精巧な刺繍が施された燕尾服。これらを着て、広間で優雅に社交ダンスを踊ってみたい! なんて、柄にもなくロマンチックな妄想が頭をよぎった。
隣で目を輝かせている咲良先輩も、洋服に興味津々のようだ。
「社交ダンスも悪くないかもじゃね」
と呟いている。
「私、ダンスが好きなんよ。小学生の頃には新体操もバレエも習っとったし。」
そう言われると納得する。確かに咲良先輩は運動神経抜群だし、咲良先輩ならきっとどんなダンスもすぐにマスターしてしまうだろう。
「テレビの体操大会で床運動を見て、これじゃ! って思ったんよ。広島から引っ越してきたのをきっかけに、近くの体操クラブに通い始めたんじゃけど、ほんま、体操には運命的なもんを感じとるわ」
咲良先輩は、そう言って柔らかな笑顔を見せた。
運命的なもの。その言葉を聞いて、私はふと暗い気持ちになった。前世の私は、ただただ会社に勤め、これといった趣味もなく、運命的なものなど何も見つけられずに死んでいった。そんな自分と、目を輝かせながら夢を語る咲良先輩を比べてしまい、思わず表情が曇ってしまったようだ。
「怜~奈、ひょっとして、まだレオタード姿に慣れてないんか?」
咲良先輩が、私の顔を覗き込みながらニヤニヤとからかってくる。まったく、人の気持ちも知らないで。羞恥心を感じながらも、
「そんなことはありません!」
とむきになって反論した。
すると咲良先輩は、私の胸元をじっと見つめ、
「そういえば、また大きくなったんか?」
とさらに追い打ちをかける。ひえぇ、勘弁してくれ! 私の羞恥心は最高潮に達し、顔が真っ赤になるのが自分でも分かった。
「こら、咲良! 怜奈をからかうのはやめなさい!」
麻衣子先輩が、さすがにやりすぎだと咲良先輩を止めてくれた。しかしそんな麻衣子先輩も、私の胸を見て、
「それにしても、本当に大きいわね。」
うらやましそうにつぶやいている。
「も、もう! そろそろ出ましょう!」
私は怒ったふりをして、足早に出口へと向かった。後ろから、咲良先輩と麻衣子先輩の楽しそうな笑い声が聞こえてくるのだけは分かった。




