俺、部活はじめます10 ~ついに見つけた!~
数日後、盗撮犯人が姿を現さなくなったことで、全てのクラブ活動が再開されることになった。もちろん、俺の所属する体操部も活動を再開した。ただ、咲良先輩と麻衣子先輩の提案で、当分の間、レオタードの上にレギンスをはいて練習することとなった。レオタード姿にまだ慣れていない私にとっては、ものすごくありがたかった。里亜先輩は、この日も部活を休んでいたけれど、きっとこの対策なら安心して練習に戻れるはずだ。
今日の練習も無事に終わり、俺は更衣室へ入ろうとした。すると、またしても中でガサガサと物音が聞こえる。嫌な予感がして、恐る恐る扉の隙間から中を覗いてみると、いた。またしても、あの盗撮犯人だ。今日は以前出くわした時とは少し違う髪型をしている。おそらく、別のカツラをかぶっていたのだろう。
「先輩! いますよ!」
俺はすぐに二人に合図を送り、作戦の実行を促した。
盗撮犯人が物色を終え、更衣室から出てこようとした途端、バンッ!と勢いよく扉が開いた。犯人は驚いて飛び上がり、恐る恐る扉の外を見回す。一瞬ひるんだものの、何事もなかったかのように退散しようと足早に歩き出した。
だが、扉の裏には咲良先輩が隠れていた。
「あんた、今そこで何しとったんじゃーっ! この変態がー!!」
咲良先輩の怒鳴り声が体育館に響き渡る。犯人はギョッとした顔で、近くにある勝手口に向かって一目散に逃げ出した。
しかし、その勝手口には、俺と麻衣子先輩が待ち構えていた。犯人は俺たちを見て一瞬ひるんだものの、麻衣子先輩に向かってポケットから取り出したカラーボールを投げつけて、反転して逃げ出そうとした。
その瞬間、俺の脳裏に格闘ゲームで培ったコマンドが閃いた。《236236+P》!
「くらえ! 真空波動拳!」
俺は盗撮犯人めがけて、渾身の叫びと共に、目に見えない気合の塊を放った。犯人はその衝撃で吹き飛び、ひるんでしまう。よろめきながらも、それでも何とか逃げようと足掻く犯人。
その時だった。
「待て! この痴漢野郎!」
体育館に響き渡る、まるで西部警察の大門刑事のような渋い声。振り向くと、まさにその風貌にそっくりな、教育指導担当の男性教師、大門先生が駆けつけてきた。
大門先生は迷うことなく、よろめく盗撮犯人を捕まえ、無言で鉄拳制裁を加えた。鈍い音が体育館に響き渡り、犯人は完全に動けなくなった。
こうして、俺と咲良先輩と麻衣子先輩、そして大門先生の力を借りて、ついに盗撮犯人を捕まえることができたのだった。気が付いたら、数台のパトカーがけたたましいほどにサイレン音を鳴らして、盗撮犯人をお迎えするように停まっていた。
大門先生は、捕まえた犯人を連れ出しながら、俺の方を向き、いつものように低い声で注意した。
「浅間、あまり無茶なことはするなよ」
「は、はい……」
俺は慌てて返事をした。大門先生は何も言わなかったけれど、きっと俺の「真空波動拳」も見ていたに違いない。これで、ようやく体操部のみんなが安心して練習できるようになる。そして、里亜先輩も、きっと元気になってくれるはずだ。




