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俺、女子高生になりました  作者: アガッタ
第3章 俺、部活はじめます
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俺、部活はじめます5 ~盗撮のうわさ~

部活の練習が終わり、俺は重い足取りで更衣室へ向かった。里亜先輩のことが頭から離れない。一体、彼女に何が起こったんだろう? あの泣き顔と、耳に残る艶めかしい声が、俺の思考を支配していた。

更衣室のドアを開けると、すでに水泳部の練習を終えた恵理が着替えをしていた。恵理はいつものように、ふんわりとした雰囲気で俺に挨拶をする。

「怜奈、お疲れ様!」

「恵理もお疲れ。今日の練習、大変だったね」

着替えを済ませた俺たちは、そのまま近くのスタバへ向かった。俺はキャラメルマキアートを頼み、恵理は新作のフラペチーノを嬉しそうに飲んでいる。


落ち着いたところで、俺は今日の体操部での出来事を恵理に話し始めた。里亜先輩が練習中に発した声、そして泣き崩れた様子まで、克明に説明する。

俺の話を真剣に聞いていた恵理は、少し眉をひそめた。

「それ、もしかして……“いくいく病”だな。」

「いくいく病?」

恵理のストレートな男性口調の物言いに、思わず俺はコーヒーを吹き出しそうになった。いくいく病、というのは、要するに何か興奮する出来事や刺激があると、思わず艶かしい声が出てしまう、というネットでよく見かけるあの症状のことだ。まさか、そんな現実離れしたことが本当に起こっているとでもいうのだろうか?

「うーん、でも、ありえない話じゃないかも……」

俺も半信半疑ながらも、里亜先輩の様子を思い出すと、納得せざるを得ない部分もある。

「そういえば、最近、部活の練習中の盗撮が多発しているそうだ。」

恵理が突然、真剣な声でそう切り出した。俺の背筋がぞっとする。

「え、そうなの? 全然知らなかった」

「うん。もしかしたら、その里亜先輩も、練習中に盗撮された時の何らかの弾みで、ああなったのかもな……」

恵理の言葉に、俺はハッとした。確かに、ありえない話じゃない。もしそれが事実なら、里亜先輩は本当に可哀想だ。

「俺も、この間、盗撮されそうになった」

恵理が震える声で告白した。プールの近くにある更衣室で着替えをしようとしたら、小さな光が見えたという。不審に思って探してみると、なんと大量の小型カメラが隠されていたらしい。想像するだけで、恐怖で鳥肌が立つ。

「俺、もうあの更衣室では着替えられんよ。だから、最近は少し遠いんだけど、体操部がある体育館の更衣室まで来て着替えてるというわけ」

前世が男性だったとはいえ、その恵理でさえ心底怖がっている様子だった。

「怜奈も、本当に用心した方がいい。特に体操部は、レオタードとか着るから、狙われやすいし……」

恵理の忠告に、俺はごくりと唾を飲んだ。体操部に転生して、まさかこんな危険な目に遭う可能性があるとは。

「おい、待てや!」

俺はつい男口調になって突っ込みを入れてしまった。気づいたら、恵理が、俺の飲みかけのキャラメルマキアートに手をかけようとしているではないか。

「怜奈、また言葉遣い!」

「俺の、じゃなくて、私の勝手に飲まないでよ!」

「だって、キャラメルマキアートおいしいんだもん。そっちにすればよかったー。」

いたって何の変哲もない日常の会話に戻ってしまった。しかし、里亜先輩の件といい、体操部を狙う卑劣な犯人の存在といい、不穏な空気が漂うのを感じた。

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