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俺、女子高生になりました  作者: アガッタ
第3章 俺、部活はじめます
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俺、部活はじめます4 ~3年生先輩の悲鳴~

翌日の放課後、俺は体操部の練習に参加していた。この日の練習はダンス。軽快な音楽に合わせて体を動かすのは、思いのほか楽しい。転生前の人生では、まさか自分がレオタードを着てダンスをする日が来るとは夢にも思わなかったけれど、集中すればするほど、体が自然と動きについていくのがわかる。運動神経は悪くなかったんだな、と妙に感心する。

だけど、どうしても慣れないのが、このレオタード姿だ。薄い布一枚で全身が覆われている感覚は、どうにも落ち着かない。特に、鏡に映る自分の姿を見ると、なんだかむず痒くなる。元サラリーマンのおっさんだった身としては、女子高生のレオタード姿というのは、いまだに強烈な違和感があるのだ。


練習の合間、ふと部員たちを見渡した。みんな真剣な表情で、自分の動きを確認している。その時、あることに気がついた。

「あれ……? そういえば、うちの体操部って、3年生いないんだっけ?」

素朴な疑問を口にすると、近くにいた先輩方が、ぴくりと反応した。咲良先輩は一瞬顔を伏せ、麻衣子先輩も視線を泳がせている。2人とも、何だか答えにくそうな雰囲気だ。

「え、もしかして、何かあるの?」

俺がさらに尋ねると、麻衣子先輩が意を決したように口を開いた。

「あのね、怜奈ちゃん……実は、一応、3年生の部員はいるの」

「え? いるの? じゃあ、なんで練習に来ないの?」

私の問いに、麻衣子先輩はさらに言葉を選んでいるようだった。咲良先輩は黙って麻衣子先輩の隣に立っている。

「それが……練習中の、ある事件が原因で、怪我をしちゃって……それで、なかなか来られなくなっちゃったんだ」

「事件? 怪我?」

思わず身を乗り出すと、麻衣子先輩は困ったように眉を下げた。

「うん……怪我自体は、そこまで重大なものじゃないんだけど……」

そこまで言って、麻衣子先輩は言葉を詰まらせた。咲良先輩も俯いたままだ。2人の様子から、これ以上は聞けない、という空気がひしひしと伝わってくる。重大ではない、と言いつつも、2人がここまで口を閉ざすということは、何かよほど複雑な事情があるのだろう。


その時、体育館のドアが開いて、一人の女子生徒が入ってきた。先輩方が明らかに緊張した面持ちで見つめている。その視線の先にいたのは、黒の短めのボブカットがよく似合う、少しだけ俺より背の高い女の子だった。ぱっと見た感じ、どこかぎこちない表情をしているけれど、目立った怪我は見当たらない。この子が、噂の3年生部員なのだろうか。

「あ、あの……」

その女子生徒は少し戸惑ったように声を上げ、俺の方を向いた。

「3年生の田中里亜よ。よろしくね、新入りさん。」

控えめな自己紹介に、俺は慌てて頭を下げた。

「浅間怜奈です。よろしくお願いします!」

咲良先輩が心配そうに里亜先輩に声をかけた。

「里亜先輩、今日は本当に大丈夫なんですか?」

里亜先輩は少しだけ微笑んで、

「うん、大丈夫だよ、咲良。心配かけてごめんね」

と言い、軽くストレッチを始めた。どうやら、本当に練習に参加するつもりらしい。

「無理しないでくださいね」

と咲良先輩が念を押すと、里亜先輩は「ありがとう」と返して、柔軟運動に移ろうとした。

里亜先輩が足を大きく開いた、その瞬間だった。

「ん……ああっ……」

体育館に、信じられないほど艶めかしい声が響き渡った。思わず、周りの部員たちが動きを止めて里亜先輩を見つめる。咲良先輩が慌てて駆け寄り、

「里亜先輩! やっぱり無理しないで!」

と声をかけたけれど、里亜先輩は顔を赤くしながらも首を横に振った。

「だ、大丈夫……ちょっと、変な声が出ちゃっただけだから……」

そう言って、里亜先輩は痛みを堪えるように顔を歪めながらも、開脚の体勢を続けようとした。咲良先輩が止めようとしたけれど、里亜先輩はそれを振り切って、立ち上がると床運動のマットへと向かった。

まさか、まだ何かあるのか……? みんなが固唾を呑んで見守る中、里亜先輩は助走をつけて跳躍し、着地した。

その瞬間、またしても、さっきよりもっと大きく、そして切ないような艶めかしい叫び声が体育館に響き渡った。

「きゃあああああっ……!」

里亜先輩はその場に崩れ落ち、両手で顔を覆ってうずくまってしまった。何が起こったのか理解できず、俺は咲良先輩と顔を見合わせた。そして、すぐに里亜先輩のもとへ駆け寄った。

「里亜先輩、大丈夫ですか!?」

咲良先輩も心配そうに里亜先輩の背中に手を添える。

「どうして、どうして……」

里亜先輩は顔を上げたけれど、目は潤んでいて、ただただ肩を震わせてむせび泣いているだけだった。一体、彼女に何が起こっているというのだろう? なぜ、あんなにも苦しそうで、そして……艶めかしい声を上げてしまうのだろうか? 俺には、全く見当もつかなかった。

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