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俺、女子高生になりました  作者: アガッタ
第3章 俺、部活はじめます
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俺、部活はじめます2 ~胸の悩みとお好み焼き~

この物語は、咲良の視点で物語が進みます。

「よし、怜奈、次はこの開脚ストレッチじゃ!」

今日の怜奈は、柔軟運動がメインメニューだ。体操の基本は体作りじゃけぇ、まずはここから徹底的に鍛える。怜奈は、たしかに少し身体が硬いようじゃが、そこは努力と才能でカバーできるじゃろう。なんせ、あの運動神経の良さじゃ。練習を積み重ねれば、間違いなくうちの体操部のエースになれる。私はそう確信しとる。

「はぁ……はぁ……咲良先輩、ちょっと休憩いいですか?」

怜奈が息を切らしながら訴えてきたので、私は「ええよ」と快く許可した。床にへたり込む怜奈に、麻衣子がスポーツドリンクを渡している。微笑ましい光景じゃ。

「なんか、怜奈、意外と楽しそうじゃね?」

私がそう声をかけると、怜奈は照れたように笑った。

「そうですね……まさか体操部に入ることになるとは思いませんでしたけど、なんか、悪くないなって。」

そう言いながらも、怜奈の顔は真っ赤じゃ。そうじゃ、まだレオタード姿に慣れてないんじゃった。ピチッとしたレオタードは、怜奈の体のラインをくっきりと浮き上がらせとる。特に、胸がなかなかのものじゃ。私は自分のぺったんこ胸と比べて、思わずため息が出た。

「怜奈ぁ、あんた、胸、大きいじゃん。ええなぁ、うちもそれくらい欲しかったわぁ」

私がそう口にすると、怜奈の顔はさらに真っ赤になり、慌てて両腕で胸を隠そうとしとる。

「な、ななな、何を言ってるんですかぁ!?」

怜奈の反応が面白くて、私はつい笑ってしまった。まるで可愛い妹ができたみたいじゃ。からかうのが楽しくて仕方ない。しかし、怜奈にとっては、からかわれているとしか思えんのじゃろう。困惑した顔で、こちらを睨んでくる。

「咲良先輩のいじわる! セクハラで訴えますよ!」

むぅ、と頬を膨らませて訴える怜奈。本当に可愛い奴じゃ。

「そういえば、咲良先輩って、もしかして広島出身ですか?」

ふと怜奈が遠慮がちに尋ねてきた。私の広島弁がそんなに珍しいんじゃろうか。

「おう、そうじゃけど、なんでわかったん?」

私が答えると、怜奈は「やっぱり!」と目を輝かせた。どうやら私の訛りで察したらしい。


「私、中学2年の時にこっちに引っ越してきたんよ。親父の仕事の関係でね」

私の父親は、自動車のエンジニアなんじゃ。電気自動車の開発に携わることになって、それで転勤になったんよ。決して、極道とかヤクザとか、そんな物騒なもんじゃない。

でもね、引っ越してきた当初は、それはもう大変じゃった。広島弁で話すからっていうだけで、クラスの奴らから「極道の娘」とか、流行りの映画にちなんで「アウトレイジ」ってあだ名を付けられてな。周りからは恐れられて、いつも一人ぼっちじゃった。

そんな私に、最初に声をかけてくれたのが麻衣子なんじゃ。

「ねぇ、あなた。なんでいつも一人なの? 私と一緒にご飯食べない?」

麻衣子は、満面の笑みで私に話しかけてくれた。あの時のことは、今でも鮮明に覚えとる。その一言が、どれだけ私の心を救ってくれたことか。それから私と麻衣子は、すぐに友達になった。麻衣子がおったから、私はこの学校で楽しく過ごせるようになったんよ。

「麻衣子は、私の恩人みたいなもんじゃけぇ」

私がそう言うと、怜奈はふむふむと頷きながら、複雑な表情で私を見ていた。私の過去の話に、何か思うところがあるんじゃろうか。


「恩人だなんて、大げさだよ。」

気が付いたら、麻衣子が後ろから寄ってきた。

「な~に話してたの? 私の秘密とか言ってないでしょうね~?」

そんなことあるかいな。麻衣子の秘密のこと、うちは一言も話しとらんよ。そんな私の気も知らんで、麻衣子は怜奈に何やら話を始めた。

「そうそう、怜奈ちゃん。実は咲良はね、とにかくお好み焼きが大好きなんだよ」

麻衣子が怜奈にそう言い放った時、私の心臓は一瞬止まった。怜奈は興味津々といった様子で麻衣子を見つめている。

「特に、広島風のお好み焼きが大好物なんだ。中学の時なんて、毎日お弁当にお好み焼きが入ってたんだからね!」

麻衣子の言葉に、怜奈は「えーっ!?」と驚きの声を上げた。やめてくれ、麻衣子! そんなことを言われたら、怜奈に変な子だと思われるじゃないか!

「ある日なんて、部活の帰り道にお好み焼き屋さんに入ろうとするからさ、私が『いい加減太るわよ』って止めたんだ」

麻衣子は笑いながら続ける。怜奈もつられて笑っている。いや、確かにそうじゃけど、何も今言わんでも……。

「それにね、咲良の胸が大きくならないのは、絶対お好み焼きしか食べないからだよ。栄養が全部、お好み焼きに吸い取られちゃって、胸に行かないんだから!」

麻衣子の爆弾発言に、私の顔はカッと熱くなった。怜奈は、これ以上ないってくらいに驚いた顔で、私と麻衣子を交互に見ている。よりによって、怜奈の胸の大きさについて話したばかりなのに、まさかこんなところで晒されるとは!

これはマズい。完全に分が悪い。この場をどうにかしないと、私の貞操ならぬ食生活が全て晒されてしまう。

「あ、怜奈! ちょっと休憩しすぎじゃ。ほれ、練習の続きを始めるで!」

私は半ば強引に怜奈の手を引いて、柔軟運動の続きへと向かった。背後で麻衣子の笑い声が聞こえる気がするが、今は聞こえないふりをするしかない。

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