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うそ・ほんと

「はあ」

結局、朝の件で学校には遅れてしまった。担任の久尾先生のお咎めは免れたけど、生活指導の堀田先生には捕まった。


決して広いとは言えない生活指導室。今、その内部は目の前の人物から放たれる怒りで充満しており、息が詰まって仕方がなかった。


2年2組担任及び生活指導員、堀田 博(ほった ひろし)。僕が、いやこの学校で彼を得意とする者はそうそういないだろう。

ずんぐりとした大柄な体系に、厳つい顔には無精ひげが生えており、正に熊男といった感じで見た目だけでもかなり恐い。


「さて、矢薙君。以前、あ~先々週だったか。その時の遅刻の理由は何だったっけ」

「・・・怪我人を病院まで連れて行ったからです」

「ああ、そうだったな。・・・それで、今回は?」

「・・・・・・怪我人に声を掛けられて」

「っっ結構!!!大した慈善愛好家だ、その若い年に!」

話し終える前に言葉を遮り、僕を睨みながら、その体積に見合う大きな声量で言い放った。



今回の理由を全く信じていないのが伝わってくる。

「ほ、本当なんです!」

「1年生の時も!君が救護活動が原因で遅刻したと言ったとき、同じ担任の久尾先生が心配して、怪我人を運んだという病院に電話を掛けた。そのとき、受付からはそんな患者は来ていないと言われたそうだ!」

「・・・な、そんな・・・」


唖然とする僕に、幾分か落ち着きを払った堀田先生は続ける。

「・・・遅刻の理由に人命を使うのは、悪ふざけが過ぎるとは思わんかね?幸い、君は学業は優秀な方だし、普段の素行も悪くは無い。今からでもやり直しは効く」

「や、やり直しって、、!」


キーーンコーンカーーンコーン


抗議しかけたとき、始業のベルが鳴った。

「む、もうこんな時間か。・・・君も早く授業に向かいなさい」

今回は見逃してやる、今度やったらただじゃおかねえ。そんな、圧力がこもった厳しい視線を送り、熊いや堀田先生は去ってしまった。

誤解は解けずじまいだった。


 

 そんな患者は来ていない?僕は、確かに怪我をした人達に出会い、会話し、必要なら背負ってまで病院に連れて行った。もしもの為に付近の病院、診療所を調べて、メモもしておいている。

・・・やり直しは効く、か。でも・・・



「ーそんなところで草むしりですか?あ、罰ゲーム?」



「!?」

不意に声を掛けられ、振り向こうとした瞬間、思わずしゃがんだまま転びそうになってしまった。


「わぁ、ごめんなさい!」

慌てて僕の肩を支えたのは、声を掛けた本人。幼馴染の芦屋 真流(あしや まなる)だった。



















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