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黒薔薇は紅い檻に囚われる  作者: 灰夜山 玲
1/1

Prolog




街中に冷たい雨が降り注ぐ。



私の心にも…雨が降っている。



少女は墓石の前で一人泣いていた。


「…父さん…母さんっ」


墓石には、シルヴィア・ロゼッタ

シリウス・ロゼッタ

そう、刻まれていた。



ザッ…ザッ。


草陰から人の足音。



「うっ…うぅっ…誰?」



姿を現したのは…


黒いロングコートに金の腕時計。


そして、この国の皇族の特徴の一つでもある碧眼を持った男。



優しそうな雰囲気からは想像できないほどの声の低さで

「初めまして、君はシリウス・ローズヴェルトの娘かい?」


「…シリウスは、私の父の名ですが、私の父はシリウス・ロゼッタです」


「そうかい、私はハンネス・ローズヴェルト、君の父の兄です」



ローズヴェルト。



その名に聞き覚えがないわけが無い。



ローズヴェルトは、この国の皇族の名前。



つまり、この人は…この方は。


この国の現皇帝。



バッ!!



「!」



「も、申し訳、ありません、皇帝陛下、気づかなかったとはいえ、先程のような無礼な言動どうか、お許しください」


「頭をあげなさい、言っただろう?君の父の兄だと」



私の父は母と出会い家を出て、今の家に住んでたと聞いた。




まさか、皇族だったなんて…。



「君、私の家に来ないかい?君一人では生きていくのに大変だろう?」


君はまだ10の子供なんだから。と。



…確かに、この国で子供が一人生きていくのは難しい。




だからと言って、皇族の、しかも、皇帝陛下の家に着いていくなんて…いくら父さんが、元皇族だからと言っても…おこがましい気がする。




「兄弟は多いが、屋敷は広いからね、家族が増えるのは大歓迎なんだ」


なんて、優しい人なんだろう。



私は…差し出されたその手を拒むことなんて出来なかった。




「ようこそ、我がローズヴェルト家へ」



私はその日から、平民では無く、皇族になった。








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