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悪夢

どこかの戦場にいた。


かなり大地は荒廃してる。


天候も暗い。



「き、騎士様、自分に構わずここは……」


「何を言ってるんだ君は!さぁ早く彼を医療班の元へ!!」



戦いは熾烈を極めていた。


そりゃそうだ。


敵は魔王率いる魔物達の大軍勢。


力と数でモノを言わせて此方に迫ってくる。



「だからと言って負けるわけにはいかない!」



僕はこうした時の為に、実力を常に鍛えてきたんだ。



バリンッ



「くっ、人型の魔物か!!」


「出来る奴みたいだな!!だが私には敵わんぞ!!」


(他の魔物と違って知性も実力もある!!しかしなんだこの妙に可愛い声は?顔立ちも魔物とは言えない程端正で……)


「では行くぞアロウさん!!」


「え、アロウさん??なんで君僕の名前を知って……」


「アロウさぁぁぁん!!」


「ぐっ、あ、足がうごかっ…………」









「アロウさん!!起きてください!!アロウさん!!」


「はっ!!」



あ、そうか……さっきのは夢だったか。


随分懐かしい頃の夢だな。



「す、すみませんアロウさん……起こしてしまって」


「もう、朝か…………」


「いえ……もう昼です」


「なんだって??」



僕が寝坊したのかっ!?


こんなこと現役時代じゃ全く無かった筈なんだけど………



「お、お疲れだったようでしたので……そっとしておくつもりだったのですが、あまり長寝をし過ぎると逆に身体に悪いという話を聞いた事があったのでつい……」


「いや、リンシアちゃんのお陰で悪夢からも抜け出せたよ」


「なら良かったです、お食事を用意してますので良かったら下に来てください」


「ありがとう……」


「ついでにあの人も起こさないとですね」


「あの人?」




そんな風にリンシアちゃんが呼んでいたのは……



「はぁぁ……眠いよ。リンシア、あたし帰ってきたの夜中なんだけどぉ……」


「そういう訳にはいきません。お医者さんなんですから自分の身体の管理もちゃんとしてください」


「だから眠ってたんでしょー……ってこの人誰?」


「あ、アロウです……」


「騎士様ですよクラリス、レギュリス王国ダイタロス宮廷騎士団のアロウ・ルクセルさん」


「あー、そういえばそんな有名な人いたねいたね。確か灰黒の……あ、忘れちゃったけど史上最年少で騎士団入りしてなんたらとか……」


「もう!!失礼ですよクラリス」


「ま、まぁ……僕そんな感じだからあまり気にせず……」



灰黒の剣撃だっけか……僕の異名。


僕と交戦して生き延びたとある敵が広めたという異名だ。


斬られた瞬間視界が白黒になったことがトラウマになったそうで、以降騎士団の仲間からもこの敵から呼ばれた異名をネタにされる様になった。


僕自身、あまり好きな異名じゃ無かったから国内であんまり広まってないっぽいのは幸いかも知れない。



「あー美味しい美味しい!リンシアちゃんのお料理っ」


「もうアネットおねーちゃん、もう少し行儀良く食べてください」


「もしかしてこの料理、リンシアちゃんが?」


「はい、主に私が作ってます」



まぁクラリスさんは僕と同じく寝ていたからそうだろうけど……



「あとたまにアネットおねーちゃんが……」


「でもアネットは料理下手だからねぇ」


「そ、それは言わないでよクラリスちゃん。私も最近は塩と砂糖を間違えない位には成長したんだから」


「それは当然でしょ、あたしだって間違えないわ」


「え、間違えないの?」


「あ、あなたねぇ……」


(何だか……微笑ましい光景だな)



暖かい食事、暖かい団欒……


久しぶりな様でいつぶりだろうか?


騎士団で仲間と和気藹々という時期もあった気がするが、この雰囲気とは又違う。



「あの…………アロウさん?」


「なんだいリンシアちゃん?」


「お、お口に…………合ったでしょうか?」


「それは…………」



そんなのは聞かれるまでもない。



「美味しいよ、宮廷料理に匹敵するかもしれない」


「そ、そんなっ……さ、流石にオーバーですよアロウさん……私っ…………うぅ……」



凄いリンシアちゃんは顔を赤らめてしまってる。



「流石騎士様、女の子を誉めるのも上手ねー」


(え、誇張したつもりは無かった気がするんだけど……)



それだけに流石に色々貰いっぱなしで悪いな。


何か僕でも出来そうな事があれば良いんだけど……


(続く)


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