ひまわり愛歌~水面、琥珀に輝いて
手の中の 一輪のひまわりを見る
それは狂おしいほどに上を向いて
ただひたすらに太陽を眺めて
ずっとずっと待ち続け
ずっとずっと焦がれていた
きっときっと帰ってくる あの人を
◇
私の暮らすこの地では
送った相手の無事祈り
戻り路を照らすよに
願ってひまわり 持って待つ
彼は都に旅立って
一旗上げて帰郷して
その暁には 約束の
祝言あげる筈だった
疑うことなく信じてた
けれどもある日 ある噂
あの人はもう 戻って来ない?
都の姫君 恋落ちて
そこで婿入りしたという
村長諭す 私に向けて
彼の出世は 地の誉れ
中央で権力を持ったなら
村が豊かになるように
取り計らってくれる筈
村のために 忘れろ彼を
そんな
それじゃあ私の想い
私は気持ちはどこ行くの?
いつか花嫁なるために
二親仕込んだ 甕の酒
娘が嫁ぐハレの日に
お客に振舞う祝い酒
黄金色揺れる
米の美酒
私が誕生した年に
村の湖の水貰い
甕におさめた 古に倣い
彼を待って ただ眠り
蓋が開く日 希い
希望が揺れた
米の美酒
彼以外には 開かない
私はそれしか 望まない
そうね 夕陽も山に落ち
花も下向き 種も涙と地に落ちた
私も疲れ 果てた今
向かう足取り 家よりも
水面きらめく湖に
月を仰いだ その湖に
この身沈めて 夜だけを
抱いて眠る 朝待たず
太陽なんて 要らないわ──……
◇
ホタホタホタと水揺れる
ホタホタホタと波が立つ
誰かが水辺で泣いている?
浮き上がって目にしたら
かつて別れた 愛しい貴方
どうしてそんなに泣いてるの
どうしてここに戻ったの
私の問いは 声ならず
彼の答えは 嗚咽だけ
仕方ない人 そんなにも
泣いたら細い目 腫れちゃうわ
私はそっと手をのばす
水辺漂う霧として
一言ひとこと彼こぼす
結婚話を断って 姫君からは逃げてきた
なのに私がいなかった
待ってて欲しい きみだった
なんてことなの 大誤解
私の罪ね これは罰
もう私には身がないの
あなたを抱く 手は露で
あなたを感じる息もない
どうかそんなに泣かないで
わかった それじゃあ風になる
あなたを包んであげるから
土を吹いて 命芽吹かせ
この地いっぱい 私の気持ちを咲かせるわ
黄色い花を満開に
あなたと楽しむ未来みた 黄金のお酒が揺れるよに
だから
顔をあげてよ お願いよ
◇
私を見ていた女神様
水底住まう女神様
私を憐み こう言った
全ての水が 金色に
溢れることがあったなら
お前を地上に戻そうと
花よ 咲け咲け 花よ 咲け
朝陽と花輪で 湖を染めて
私の身体をつくっておくれ
かくして私は彼と会い
女神様から貰った金砂
姫君よりも艶やかに 花嫁衣装が翻る
さあ 酔いしれて 黄金の美酒
水面 琥珀に輝いて
私も彼も そろって笑顔