第7話 現状確認と目標
『狡猾三頭の蜘蛛』を倒してから三日が経った。
俺は現在何をしているのかというと、見晴らしの良い立地にある洞穴にて情報の整理及び現状の確認をしている所だ。
『狡猾三頭の蜘蛛』を倒して『魔石』と『ドロップアイテム』を拾った。他のモンスターとも戦った。
『回復ポーション』や『魔力回復ポーション』も飲み、自身のステータスを回復する反面『アイテム』の数が減っている。
これが現状だ↓
~現状のポーション個数~
・回復ポーション×10個→4個
・魔力回復ポーション×10個→5個
・毒回復ポーション×20個→9個
・麻痺回復ポーション×10個→4個
・状態異常回復ポーション×3個→3個
こんな具合だ。
『毒回復ポーション』が激減しているのは毒属性の敵が沢山出て来るのと、モンチャが注意散漫過ぎて毎回どうでもいいタイミングで毒状態になるからだ。
「ふぅ、大分減ったな『アイテム』」
「あれから三日間『ダンジョン攻略』目指してモンスターと馬鹿みたいに戦い続けて行けばそうなるのは必然的なんだよ。だから極力モンスターとは戦わずに温存しておけと言ったんだよ。」
「それでは攻略しに来た意味がない。安全な道を通って攻略できる程イージーレベルの『ダンジョン』じゃないことは三日前から十二分に痛感したでしょ。それにそんなの全然冒険じゃない!」
「変な所で意固地にならないで欲しいんだよ。」
「俺は『ダンジョン』を本気で攻略して全制覇を目指している。戦わなきゃレベルは上がらないし、経験も廃れて行く。」
「だからと言って見境なくモンスターに喧嘩を売っていく戦闘スタイルは完全に蛮族に等しい行為なんだよ。命とポーションが幾つあっても足りない行為なんだよ!」
「まぁ、連戦の嵐で鉄の鎧が砕けて身を守る防具が無くなり、モンチャのいう事も一理あると思う。」
「全然一理じゃなくて全部そうなんだよ!」
「うるせぇ!と・に・か・く、今は現状の整理だ!!」
「はぁ、」
重い溜息を吐きながらモンチャは『魔法の鞄』の中から今まで回収した『魔石』『ドロップアイテム』『持ち物』を取り出し、今までの成果とこれからの動きを考える。
~魔石~
・小魔石×57個
・中魔石×34個
・大魔石×3個
~ドロップアイテム~
・残光なるギョロ目:Aランク
・丈夫な糸:Aランク
・『狡猾三頭の蜘蛛』の毒袋:Aランク
・鋭い爪:Dランク(21個)
・鋭い牙:Dランク(11個)
・綺麗な葉:Dランク(68個)
・癒しの根っこ:Dランク(52個)
・麻痺袋:Dランク(12個)
・毒袋:Dランク(4個)
・睡眠袋:Dランク(7個)
・モンスターの生肉:Fランク(102個)
・モンスターの生き血:Fランク(103個)←瓶に入ってる。
~現在の持ち物~
・魔石×94個(合計)
・ドロップアイテム
・鉄の剣
・鉄の装備(胴以外)
・魔導書
・魔法の鞄
・ポーション類×26(合計)
「ひとまず現状はこれだけか。結構モンスター倒したな。F~Dランクを中心に、」
「でもここまで倒せたのはルミナスが持っていた知識のお陰なんだよ。」
「いや~この時の為に『ダンジョン記録』を呼んで勉強した甲斐がありましたな~。」
「それでこれからはどう動くのか?一旦『ダンジョン』から地上世界へ帰るのも選択肢の中の一つなんだよ。ていうかオイラはこっちが良いな。ポーションの数的に心元足りないし、」
「ん~~~~」
「それにこれだけの『魔石』があるんだよ!地上世界へ上がれば100,000リーベはくだらないんだよ!!」
「ん~~~でもやっぱり俺個人としては更に奥へ進みたいな。我儘なのは分かってるけど『ダンジョン』は来る者拒まず全てを受け入れる試練の間。ポーションがある内は挑み続けたい。」
「馬鹿の発想なんだよ。」
「誰が馬鹿だ!」
「そもそも『Bランクの中でも上位に位置する』Bランクモンスターにでさえ死にかけた実力のオイラ達に余裕かましてる暇なんてこれっぽちも無いんだよ。次こそホントに死んじゃうかもしれないんだよ!」
モンチャはムキになってるのか力強く叱り付けて来る。
まるでお母さんの様に、
それでも俺は我を通す。
何年も『憧れ』を抱き続け、やっとの思いで叶った『ダンジョン攻略』への第一歩目。
此処で帰るのは忍びない。
なので俺はモンチャに対して誤りを一言入れて『奥へ進むことを表明する』
モンチャは大胆不敵で度し難い言葉に呆れた顔をしていたが、重い溜息を一回吐き零し、条件付きで承諾した。
「少しでもオイラ達に危険が迫ったと判断したら即地上へ戻る。これを守るんだよ。」
「分かった分かった。しかし裏を読めば危険が迫らない間は『ダンジョン』が繰り出す試練に挑み続けられるってことだよな。よし、やる気がぐんぐん湧いてくる!」
「コイツ絶対に分かってないな」と不審な気持ちを抱いて目を眇めるモンチャ。
「でも挑み続けると言っても目的地も無しに勝負し続けるのは只の無謀なんだよ。せめて一時的な、目指すべき目標の様なものが欲しいんだよ。」
「それについては安心してくれモンチャ。目標は決まってる。そもそもこの『ダンジョン』には『エリアフィールド』という『領域』があって、1~5エリアまである。」
「『エリアフィールド?』『領域?』」
「そう、1~5というのはモンスターのランクと強さを位置付けている数値だ。この『ダンジョン』は円形状になっていて真ん中へ行けば行く程モンスターは強くなる。逆に外側へ行けば行く程モンスターのレベルは低くなって行くわけだ。
例外は別として、
そして俺達が今いる『エリアフィールド』は"1エリア"
一番端っこのポジションだ。そこで俺達は下級モンスター共を駆逐してレベルを上げる為の経験値稼ぎをする。レベル20台の俺らならそこそこ良い所まで行けるだろ。
強くなるんだ。」
「なるほどなんだよ。つまり"1エリア"から出ずにモンスターを倒しまくると、」
「そうだ!」
「了解なんだよ!そう言う事ならサポートするんだよ。でも条件は守って欲しいんだよ。」
「分かってるって、あとモンチャ。」
「ん?」
「かなり先の話になるかもだけどさ、仮にこの『ダンジョン』をクリアしたとして次はどんな『ダンジョン』へ行こうか。」
「予想以上に先の話なんだよ。そもそも『ダンジョン』自体クリアできるか分からないのに、」
「だから仮にだよ。仮に、」
「そう言われても・・・オイラの願望で決めて良いなら此処が良いんだよ。高度13,500mにあると言われている空がメインのダンジョン『蒼穹雲海の超古代島』かな?」
「ほぉ、またどうして?」
「単純に空の『ダンジョン』に行ってみたかったし、そこならオイラ、もっと自由に飛べる気がするんだ。」
「へぇ~~~」
「せっかく言ったのに何なんだよその反応は!」
「因みに俺は『ダンジョン攻略』でいずれ全てを回るから順番なんて本当はどうでもいい。」
「じゃあ何で聞いたんだよ!!」ぷんぷん
「暇だったんで・・・」
「もおおおおおおおおおおおお!!!!」
激おこプンプン丸になり、赤面しながら脆弱なパワーでポカスカ、ポカスカと殴って来る。
俺に一切のダメージは与えられていないのだが、本人は本気で殴り掛かっている。
本当に可愛い相棒よ。
そして数分後・・・
「きょ、きょうは・・・はぁはぁ、この辺で勘弁してやるんだよ。」はぁはぁはぁ
言葉の合間合間に酸素を吸っては喋る。
息を切らしながら喋っているので相当キツイだろう。
「俺が悪かったよモンチャ。ほら!気分を一転して晩御飯でも食べるか?」
「ふ、ふん!食べ物で釣ろうなんて百億万年早いんだよ。でもせっかくだから貰ってやっても良いんだよ。」
変な所で素直じゃない性格が出るのだが、俺はその反応を楽しんでご飯の支度をする(携帯食料)
そして、二人で仲良くご飯を食べて体を休めていると、夜になった。
《因みに俺達が知っている『ダンジョン』は4つ》以下の通り↓
・植物がメインの『幻想蠱惑の五魂樹海』
・海がメインの『絶対不能極の深海深き神秘の神殿跡』
・空がメインの『蒼穹雲海の超古代島』
・光と闇がメインの『光彩陸離と冥邈織り成す金烏玉兎』
この四つだ。
俺とモンチャはこの四つしか知らず、残りの9本は不明のまま。
『魔法の鞄』
・1トンの重さまでなら何だって積み込める万能バック。
その代わり値段はクソ高い。※250,000リーベだ。