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アルカナレジェンド・億年ダンジョン~神なるダンジョン攻略せし者、全に挑む~  作者: 十五夜の月
第1の神なるダンジョン「癒され、惑わされ、心を強く真っ直ぐに、」
6/30

第5話 残された者の足掻き、

報告をしました通り、時間が掛かってしまいましたが大幅修正しました。

呼んでくれた方、本当に申し訳ございません。

 暫しの放心状態が続いた。

 突如として起こった無慈悲な惨劇を前に、

 しかし、数秒後に現実(リアル)を理解した。

 理解したくない事を理解した。


 ()()()()()のだ。


「ルミナス・・・・嘘・・・ルミナスー---!!」


 モンチャはざわざわっと荒ぶる精神を携え、頭に生えている両翼を力強く羽ばたかせて虚空を駆ける。

狡猾三頭の(オリディシム・)蜘蛛(スパイダー)』に向かって、


 だが当の『狡猾三頭の(オリディシム・)蜘蛛(スパイダー)』本人からして見たら無防備な(カモ)が飛んできただけ、

狡猾三頭の(オリディシム・)蜘蛛(スパイダー)』はモンチャの姿を瞳でキャッチして口から糸の弾丸を連続で飛ばして来る。

 拘束するつもりだ。


「っっっっ!」


 しかし、モンチャは自身に【敏捷強化(ファス・エンチャント)】と【攻撃力強化(ウィン・エンチャント)】と【耐久力強化(フィル・エンチャント)】を掛けて、トップスピードに乗ったまま虚空を舞い踊る様に動いて躱して見せる。


 そしてそのまま『狡猾三頭の(オリディシム・)蜘蛛(スパイダー)』に突っ込んでいくのかと思いきや、瞬間的に方向転換して『鉄の剣』を拾った。

 俺が落とした奴だ。


「待っててルミナス、今助けるんだよ!」


 モンチャはまだ俺を助けようと必死に足掻いている。

 拾った鉄の剣を両手で持ち上げ上空へと飛翔。


 だが、『狡猾三頭の(オリディシム・)蜘蛛(スパイダー)』がそんな隙だらけの瞬間を見逃さすはずも無く、再び糸の弾丸を連続で飛ばして来る。


「お前なんかに負けないんだよ!絶対に!!」


 モンチャは怒りの感情を剥き出しにしながら木々の中を駆け巡り、器用に躱す。

 だが鉄の剣の重量がモンチャの飛行速度と機敏な動きに枷を掛けている。故に、速度が大幅に削られ、攻撃に当たっては拘束されてしまう。


「くっ、」


 鉄の剣ごと木にべっとりと張り付けられ、万事休すの状態。

 このままでは何も出来ずにモンチャまで食べられてしまう。『夢』や『憧れ』などが全部無に帰してしまう。

 そんな事をこの土壇場で考え、拘束を破ろうと必死に抵抗する。


「このっ!!」


「キシィイイイッシィイイイイッシィイイイイイ!」


狡猾三頭の(オリディシム・)蜘蛛(スパイダー)』はご満悦の様だ。

 いつもとは違う鳴き声で嬉々とした感情を表に出しながら、ゆっくりとカサカサ近寄って来る。

 まるで笑っているかのようだ。

 そして、窮地に立たされたモンチャも偶然同じことを思った。


「な、何笑ってるんだよ・・・ルミナスは生きてるんだ・・・お前なんかにやられたりしないんだよ!!」


 腹の底から出した気持ちだった。

 涙袋から塩水が零れ出して来て悲しみが遅れて溢れてくる。

 鉄の剣を持ったまま拘束されて泣き叫ぶ事しか出来ない。


 モンチャはその後も叫び続けた。

 喉が枯れるくらい叫び続け、鼻水が垂れても、涙で視界が阻害されても絶えず叫び続けた。

 10年以上付き合ってきた相棒が居なくなったのだ。

 当然の事である。


「吐き出すんだよ!ルミナスを返せー-!!」


「キシィイイイイ~~~」


 だがモンチャの気持ちは届かない。

 目の前に居るのは嘲笑う蜘蛛一匹。

 だがそんな時、『狡猾三頭の(オリディシム・)蜘蛛(スパイダー)』に異変が起きる。


「キシィイイイ・・・キ、キキ、キシィ!?キキ・・キキキ・・・キキキ!」


 先程までの明るい鳴き声が途絶え、歯切れが悪くなった。

 モンチャの気持ちが届いたのか、それともただ単に『笑い』を堪えているだけなのか・・・『狡猾三頭の(オリディシム・)蜘蛛(スパイダー)』は(うずくま)った。


「・・・い、今の内にもっと抵抗を、足掻くんだよオイラ!」


 状況を上手く呑み込めていない様子のモンチャだが、今はそれよりも脱出が優先と即座に判断し、自分自身に言い聞かせながら抵抗を開始する。


 手に持っている剣の剣身を上手く糸に当て、包丁の様に動かしたのだ。

 すると・・・


「行ける、行けるんだよ!」


 どうやら手応えはあったようだ。

 素手で破るより効果覿面(てきめん)

 続けてモンチャは同じ動きを反復する。


 だが・・・


「キキキキ、キキシィイイイイイイイイ!!!!!」


 原因は不明だが、この場面で『狡猾三頭の(オリディシム・)蜘蛛(スパイダー)』が調子を取り戻した。そして最後の行動と言わしめる様なムーブをする。

 俺と同じようにしてモンチャを短くなった両前足で捕まえたのだ。


 いよいよ食べるつもりらしい。


「なっ!?寸前だったのに・・・もう少しで解けるところだったのに!死ねないんだよ、まだ死ねないんだよ!あの時誓った『夢』をまだ叶えてないんだよ!!」


 拘束が解けるまでもう僅か、

 進捗状況が残り98%と言ったところで『狡猾三頭の(オリディシム・)蜘蛛(スパイダー)』の口が差し迫る。

 モンチャは叫ぶ!!

 怒号の様な怒りが籠った大声と悲しみが乗った裏の気持ちを乗せ(なが)ら、

 そしてその叫びは、俺当てへの助けを求める声だった。


「助けてルミナスー----------------!!」


 その言葉は全ての気持ちが収束されたかのような渾身の叫び!!

 辺り一帯に届く木霊。


 それでも『狡猾三頭の(オリディシム・)蜘蛛(スパイダー)』はモンチャを捕食しようと口の中に頬張る。

 何もかもを無意味にするべく胃の中へと流し込む勢いで、


 パクッ!


 モンチャが食べられた・・・。













 だが次の瞬間!モンチャの気持ちに応える様にして『狡猾三頭の(オリディシム・)蜘蛛(スパイダー)』の全身から眩い光芒が貫いた!


「この光は・・・」


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[気になる点] 蹲ってのところは振り仮名付けた方がいいかも?
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