第26話 経過
北西の宿場町に向かって移動すること1日目。
俺を含むダウンした奴らが目を覚ます気配はない。
なのでブライアンは大まかに自分がこなす役割を定め、各々が担当するポジションをオイラ達に振って行く。
ブライアンは見張り役、
ケビンは索敵役、
モンチャはお手伝い役と負傷者の観察となった。
そして役割を決めたら行動に移る。
今このパーティはオイラを含めて3人だ。非常にマズイ事態である。
だからできるだけ戦わない戦法を取りつつ安全地帯を探す為に警戒は怠らない。
晩、
食材は既に宿場町にて買いあさったので当分は困らない。(携帯食料)
見張り役のブライアンが周囲を見渡しケビンが索敵魔法で半径20mの範囲を探知する。
モンチャは引き続き負傷者の手当てと観察。
そして、そうこうしている内に朝になった。
食事はもう取った。
2日目、
「ルミナスたちは今日も目を覚まさないんだよ。」
「そうか、まぁ気長に待つとしよう。」
「そうだね。それまでに安全な所を発見できれば尚よし。」
昨日と同じくルミナス達はまだ目を覚まさない状態にある。少々の傷跡は残ってしまったものの傷は完全に塞がっている。
体内を巡る血液だって十分な量が補充出来たと思うんだよ。
しかし目は覚まさないんだよ。
オイラ達は心配な顔つきで見守りながらも前へ進むんだよ。
楽しい事を考えながら目的地へ移動すると少しは心配の念も無くなるのかな?
2日目の晩、
今度はモンスターに出くわしたんだよ。
複数の個体がオイラたちの目の前にいるが群ではないんだよ。
2体だけの雑魚モンスターだったんだよ。だからオイラが『強化』を掛けて二人をサポートしつつ勝利を手にしたんだよ。
初級モンスターだった故に『ドロップアイテム』に目ぼしい物は無かったんだよ。でも、オイラ達とルミナスたちの安全はなんとか守り切ったんだよ。
3日目、
ルミナスたちはまだ目を覚まさないんだよ。
早く覚めてくれないかな~、
そう言いながらもオイラはケビンの索敵魔法を頼りに安全ルートを突き進むんだよ。
4日目、
遂に怪我人が目を覚ました。アレイヤとリンだ。
それを間近で見ていたモンチャ達は嬉しさのあまり歓喜した。ルミナスが目覚めたわけではないが嬉しい事だ。
「アレイヤ!リン!」
「何とか生きてるのね・・・。良かったわ。」
「リン、ちょっと落ち着き過ぎじゃない?もっと喜ぼうよ~、私は怖かった半面すごい嬉しいんだから。生きてるって素敵だー-!」
「ふぅ、また何だか騒がしくなりそうなんだよ。」
「きゃあああああああ!モンチャん!!!!!」
「ぎゃあああああああああ!!」
「よし、何とか二人復帰してパーティに余裕が戻りつつあるな。これで少しは大群のモンスターが出て来たとしても対処の仕様がある所まで来たな。」
「だけどまだ体はまだ万全じゃないんだよ。無理させるわけにはいかない。」
「なら今晩はちょっと奮発して豪華な食事でメシを食べようじゃないか!!」
「あら良いわね。」
「だ、大丈夫なのか?それは・・・」
「まぁ問題ないだろ。このダンジョンにもちゃんと食べ物もあるし、水もある。いざとなったら現地調達でもするさ、」
という事で、今晩はちょっと豪華な料理にして一日を過ごした。
5日目、
今日は特に問題はない。
空は快晴、空気良好、モンスターの影は無く安全である。
これと言ったトラブルも無く只々前へ進むだけの日々だった。
そして目覚める者もいなかった。
「ずっと同じような緑の中を歩いていると気が狂いそうになって行くような感覚に陥ってしまいそうになるんだよ。」
「まぁそれが冒険であり直になれる。」
「そうだよモンチャ。僕も最初の頃は足が痛くて退屈でしょうがなかったんだから。」
「そうなの?」
「あぁ!」
「ケビン、話に夢中になりすぎて索敵を怠るなよ。前は敵が二体だったからどうにか倒せるレベルであったが次もそうである可能性は低い。今はお前が頼りだ。」
「分かってるよブライアンさん。」
そして五日目は索敵を繰り返して密林を進むだけの日であった。
6日目
洞窟を見つけたんだよ!
規模は小さいが、体を休めるのには最適の洞窟だ。
オイラ達は慎重に慎重を重ね、索敵魔法を重複して掛けてブライアンが前へ盾を構えて出る。
リンとアレイヤは魔法が放てる態勢を取り、オイラは後ろからいつでも回復魔法が掛けられるように準備。そして待機だ。
数分後・・・結果は良好。
場所取り成功だ。
そして数時間後にはルミナスこと俺が目を覚ましてパーティに復帰した。
「うぅ~~、こ、ここは・・・・どこだ?」
「」ビュン!
「おっ!」
「ルミナスー--!」
モンチャは意識を覚醒させた俺の姿を見るや否やいの一番に飛び出し、抱き着いた。
目からは涙を漏らして俺の服をビショビショに濡らしていく。
「モンチャ・・・す、すまん。また死にかけたはハハハハハッ!」
「はlぢたはkgoakいがka!」(泣き)
「何言ってるのか分からん!」
数十分の休憩。
「だからあれ程心配だって言ったんだよ!」
「だって仕方ないじゃないか。最初はレベル上げをするつもりだったけどパーティを組んだらそんな心配無くなるんじゃないのかなって思っちゃうでしょ。それにモンチャだって楽しそうだったし、」
「たっ!くぅ~~~~、」
温かい目でメンバーに見守られながら俺とモンチャはいつもの様に口喧嘩。
喧嘩するほど仲がいいとはよく言ったものだが、まさしく今の俺がそうなのかも。
そして、お互いの気持ちをぶつけて行けば行く程に会話レベルは落ちて行き、段々小学生みたいな悪口を言うようになる。
そんな歯止めが利かない口喧嘩を一瞬で止めたのがブライアンだ。
今までその腕一本で此処まで上り詰めて来たのだろう剛腕で鉄拳制裁。
拳骨を食らい、たん瘤が出来る程の衝撃を頭にクリティカルヒットされた。
「「痛い!!」」
「頭を冷やせ。」
「怖っ・・・」
そして更に数十分後
フォーリンも無事復活した。
「やっぱり腕・・・斬られたか。」
目覚めてそうそう自分の左腕が無い事を自覚し、呟くようにして名残惜しむ。
だがフォーリンは落ち込んでなどいなかった。
冒険心を失う事はしなかった。
何故なら覚悟していたからだ。
こんな死と隣り合わせの危険な事をしているのだから四肢の一部分くらい失う覚悟はしていた。
そして何より自分の左腕を犠牲にして仲間を守れた。そのたった一つの結果だけがフォーリンを更に前へと突き動かす。
しかし俺達はそれでも左腕が無くなってしまったことに申し訳なさと自身の力不足差を痛感する。だが当の本人には後悔はない。
「大丈夫だ。俺は生きてるし左腕くらいお前らの命に比べたら安い代償よ、はっはー!」
心配の声も上がったがどうやら杞憂だったようだ。フォーリンはいつもの何ら変わることなく溌溂とした態度で上体を起こし、気分を一転する。
そして、そんなフォーリンの姿を見ていたら自然とどんよりとした空気がプラスに働く。
それにより、パーティが真の意味で復活してモンスターでも何でも蹴散らし、明るい雰囲気が戻って絶好調になる。
しかし、復活したとしてもまだ負傷者は負傷者。
傷はいえても体は痛む。
なのでまだ安静にしているのが良いだろう。
7日目。
人食植物の山を越えて大河を渡る。
水生生物もいたが、"1フィールド"のモンスターはもはや敵ではない。
逆にこちら側から見つけ出して自発的に討伐していってるくらいだ。あくまで体の調子が戻ったかどうかという確認の為に、
それから長い長い冒険の道にて戦いと逃げを挟みつつも約3週間の日数をかけて28日後・・・北西にある目的地。
『宿場町・イリアル』に現着!!




