第24話 限界の先に、
ブライアンとケビンが見事に一体目の『狂悦血爪』を討伐する過程の中でフォーリンもまた戦っていた。
爪と剣が交差し、金属音が一定のリズムで響き渡る密林の中で気の抜けない緊張状態が続く。
両者素早い動きで互いの武器をぶつけあい、縦横無尽に行き交っては密林の中を最大限利用して戦闘する。
「グアアアアア!」
『狂悦血爪』の爪が肥大化する。
「!?」
そして空気を裂きながら振り下ろす危険な爪撃はフォーリンの身体を縦に引き裂く軌道を描く。
だがフォーリンはその攻撃を見切り、横に跳ぶことで回避。
「天まで燃えろ!【火炎天下】」
次にフォーリンのターン。
炎纏った弯曲型を描く逆三日月の斬撃を繰り出し、『狂悦血爪』の腹を微かに掠め取る。
「よし!」
「グルルルルルル、」
『狂悦血爪』は喉を鳴らしながらも前傾姿勢へ、再び両者の勝負は均衡状態へと戻って行く。
しかし最初に限界が来たのはフォーリンだ。
スタミナ面でも魔力面でも半分以下にまで減少、モンチャの掛けたバフ効果も時間切れだ。
するとフォーリンのステータスが元に戻り、全体的に一段階能力値が下がる。
それにより、フォーリンは『狂悦血爪』の爪撃を縦に受け、大ダメージを貰ってしまう。
片腕を持って行かれる。
「うああああああああ!っぐ!まだまだ!!」
片腕を失い、全身ボロボロになりながらもフォーリンは怯む事をせずに構わず攻撃。
「打ち砕けろ!【焔魂断頭】」
火焔の熱が辺りに伝播し、大気を燃やす。
紅蓮に燃ゆる赤き剣身は『狂悦血爪』の頭上をかち割る一撃!!
「はああああああああああああ!」
振り下ろすフォーリン。
だが六つの瞳で見つめる『狂悦血爪』は笑い、真剣白刃取りの構えで両手を頭上手前側へと持って行く。
受け止めるつもりだ。
しかし!
フォーリンはパーティのリーダーを務める男。
日常こそ馬鹿でアホだが、こと戦闘に置いて頭の回転速度はパーティの中でも随一。
フォーリンは余裕の笑みを浮かべる『狂悦血爪』に重い一撃を食らわせた!!
「甘い!!【火炎天下】」
「グアアアアアアアアアア!!」
上からと見せかけての下から上昇する斬撃。
その攻撃は『狂悦血爪』の股から肩までを斬り、ついでに片足を斬って機動力を奪った。
『狂悦血爪』は斬られた反動で後ろへ仰け反ろうとするが押し止まり、身体をグイっと前へと持って行って肥大化した爪で反撃をする!!
「ぐああああああああああ!はっはー!まだだー-!」
そして勝負はいつの間にか、互いに防御を捨てた斬り合いへと発展して夥しい量の血が地面へ、木々へと付着する羽目になる。
見ているだけでも痛々しいその残酷な光景は見る者は戦慄という名の奈落へと落とす事だろう。
「俺はまだやられるわけには行かない・・・お前を倒して俺は次のステージへと足を運ぶ!その為に俺は今からお前を討伐する!!スキル発動!!【導くモノ】」
・スキル【導くモノ】
それは、常にパーティの先頭に立ち、後ろにいる者全てを奮い立たせて照らし出し、皆の希望となる様に、皆の先導者となる様にと後方者を先へ先へと連れて行く者にのみに与えられる『称号』であり『スキル』である。
スキル効果:パーティメンバーからの信頼度に比例して、全ステータス能力、魔法効力を上げる。
「行くぞおおおおおおおお!!」
スキルを発動したフォーリンは更に攻めの姿勢になる。
怯むことを知らないお馬鹿の戦闘は『狂悦血爪』より魔物の様な豪快な戦いをしている。
爪撃を食らって血が流れ出ても、痛みが全身を襲っても何食わぬ顔で、寧ろ笑って戦いをする。
そして僅か一分という時間の中でフォーリンは止めを刺し、『狂悦血爪』を一人で討伐した。
二体目の『狂悦血爪』討伐完了である。
「よし、ハァハァハァ、た、倒し・・・た・・・。」バタッ
フォーリンは体中から血を流し、赤で染まる全身を地へと付ける。
身体機能、気力、筋肉の限界。
この戦闘はフォーリンにとって限界の上にある戦いであったのだろう。
筋肉疲労が半端ない。
指一本動かすこともままならぬままにフォーリンは安らかに倒れた。
そして時間軸は元に戻る。




