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アルカナレジェンド・億年ダンジョン~神なるダンジョン攻略せし者、全に挑む~  作者: 十五夜の月
第1の神なるダンジョン「癒され、惑わされ、心を強く真っ直ぐに、」
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第15話 ルート選択①

 夜。

 あの後、俺とモンチャは無事にフォーリン達と合流した。

 それで今は予定通りに取った宿の食堂フロアでご飯を食べている最中だ。


 木製のジョッキで乾杯をし、お肉や魚、カロリーのあるものを摂取していく。

 勿論野菜も食べて栄養バランスの方もばっちりだ。

 パーティメンバーの皆で一緒のテーブルを囲んで他愛のない話をして盛り上がる。


 周りには猫人族(キャットマン)犬人族(ドックマン)、エルフ、ドワーフにリザードマン等の多種多様な種族のオンパレードで盛り上がっている。

 みんな冒険者だ。


 この食事は新たに加わった俺とモンチャの祝勝会も兼ねており、親睦を深めてお互いの事をもっとよく知ろうという時間でもあった。

 だがそれは約数時間前の話である。


 現在の時刻は10時と言ったところか。

 そんな深夜テンションに突入していく入り口付近で俺達は、これからの事について話し合っていた。


「はっはー!というわけで、次の目的地は此処から北西の方角にある『宿場町・イデアン』に向かうべきだと思う。距離も近い。」


「いや、ダメだ。その方角にはC~Bランクの魔物がうじゃうじゃ居てとてもじゃないが安全なルートとは言えん。

 いくらパーティの人数が増えて平均レベル20代後半にレベルが上がったとしても危険は付きもの。リスクの少ない方角へ進み、パーティの安全性を考慮した上で俺は北東へ向かう事を推奨する。目的地は『宿場町・イリアル』だ。」


「だがそっちは遠回りだ。それに野宿が確定してる。常に見張り担当が朝まで警戒意識を高め続け、ただでさえ苛酷な『ダンジョン』の中で精神力を削り続けねばならない。」


「冒険者になったその日から覚悟していた事だろう。」


「・・・」


「皆はどう思う。意見を聞かせてくれ。パーティの命運を左右する大事な話し合いだ。リスクは可能な限り排除すべきだと思う。」


「僕は慎重に言って北東ですかね。雑魚敵相手ならルミナスさんとモンチャさんが加入して戦力アップした今のパーティならば、各々の役割をしっかりと守った陣形の上で倒して行けばF~Cランクまでのモンスターは余裕で捌けると思います。

 それに『経験値』も沢山手に入るし、」


「私とリンは北西ルートかな。理由としては・・・早くお風呂に入りたいから!

 確かに冒険者になった時から野宿する可能性は考えていましたよ。当然です。でも虫とか生臭い臭いとか、後になって考えてみれば嫌いなものばかりあって、その時から私はもうできるだけ野宿はしないと決めたんです!!

 だ・か・ら!北西ルートにします!!」


「おk」


「ルミナスとモンチャはどうだ?」


 俺は考える。

 皆の言う事ももっともだ(アレイヤの意見は除外)

 一理ある。


 北西ルートか、北東ルートか、

 安全を取るか、リスクを取るか、二つの内一つの選択。


 ここで選択をミスったらパーティの中の誰かが死んでしまうかもしれない。

 もしかしたら全滅もあり得る。

 俺としてもそれは望まない展開だ。


 俺個人としてはリスクのある道を選び、攻略までの道筋を短縮したいと言うのが本音。

『ダンジョン攻略』を早くなす為にはその位の覚悟と勇気が必要だと思うから、

 それに、強いモンスターと戦ってみたいという願望もある。


 しかし以前の『狡猾三頭の(オリディシム・)蜘蛛(スパイダー)』戦で死にかけた時に少しは学んだ。

 ピンチに陥った時にこそ理解したものがいくつかある。

 そのことを踏まえて言えば俺の出す意見としてはこれだ。


「俺とモンチャは北東だな。無理に突っ込んで危ない橋を渡るよりは効率的に『経験値』が手に入り、且つ自分たちのパーティの戦力を考えた上で余裕を残し、捌けるだけのモンスターを相手にしていた方がマシ。それに『ダンジョン』を攻略する為には無駄なダメージと犠牲は無くしたいからな。」


「他のパーティと協力できる可能性もあるし、さらには"ダンジョンボス"だって倒さなきゃいけないんだよ。」


「"ダンジョンボス"・・・そうだったな。」


「よし、なら多数決で決まったな。目的方角は北東。目的地は『宿場町・イリアル』」


「ちょ、これ民主主義なの?」


「聞いてないぞブライアン!」


「そうよそうよ。」


 フォーリン、アレイヤ、リンは抗議する。

 二択の内一択を選択し、理由を出した結果、多数決で詳細な話し合いなどせずに決定したことに、

 まるで初めから『北東ルート』に決定していたかのような態度と口ぶり。

 これにはさすがに反論するというもの。


 だがこちらも負けずと抗議する。

 特に俺はこの事には譲らなかった。


 だって仲間の命が懸かっている選択に危険な方を取るのは自分勝手であり、慢心である。

 俺は以前痛いほど痛感したんだ。

 だから俺の中で決めたこの信条は必ず守る。

 それにモンチャを泣かせてしまったしな。


 このパーティはもっと上のステージへ行くべき人達。

 つまらん事で死なせるわけには行かない。


 それからと言うものちょっとの事で剣呑な雰囲気を醸し出していく。

 喧嘩気味な態度と言い方で議論が始まる。


 だが数時間後にはモンチャの「仲間と安全どっちが大事なの!」という一言で終止符を打つことに成功した。

 それにより、フォーリン達は意固地な意見をしまって議論の幕は閉じられた。

 特にアレイヤは素早く身を引いた。モンチャパワーだ。


 結論・・・目的地は北東ルート『宿場町・イリアル』


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