第12話 施設入門
現在、俺は今『防具屋』に訪れていた。
あの後、現地解散した俺は鉄の鎧が壊れてしまっていた事を思い出し、早速『防具屋』に赴いた。
まぁその前に『換金所』で『魔石と下級ドロップアイテム』を換金してお金にしたんだけどな、
ダンジョン内に入る前=160リーベ。
換金後→223,000リーベ。
大分俺のポケットマネーが潤った。
これで多少高い『装備』でも全身揃えられる事だろう。
ギギギギギギ!
俺は『防具屋』の扉を開けた。
沈み込むドアの開いた音が俺の体を撫でるように這いずって恐怖心を煽ってくる。
「あ?客か・・・何にするんで?」
中には態度の悪い"ドワーフ"がいた。
小さい体型ながらも筋骨隆々で、特に両肩が筋肉で肥大化してる。
あんな剛腕で殴られでもしたら骨が簡単に折れそうだ。
「えっと、とりあえず20,000リーベで買える『防具』を求めてるんだけどどれがあります?ゲットした『素材』も入れてなるべく良質なやつを、」
そう言いながら俺は獲得した『素材』をドワーフに差し出す。
「ふん、」
鼻息を一回吐き、ドワーフのおじさんは魔法を使ってウィンドウ画面の様なスクリーンを映し出す。
その中には一覧があった。
・革装備(全身)=10,000リーベ
・ミスリル装備(全身)=20,000リーベ
・モノクロの魔道服(全身)=15,000リーベ
・樹怪人の緑樹生(全身)=20,000リーベ
・キューバの蒼翼(全身)=16,000リーベ
・チェーン帷子装備(全身)=10,000リーベ
「色んな『防具』があるんだよ。」
「でも今まで倒してきたモンスターの数を考えれば六つは少ないな、しかも俺は魔法剣士。魔道服とキューバの装備は除外。革装備とミスリル、チェーン帷子装備も除外で良いな。あとは・・・」
俺はあまり時間を掛けないで買う装備を決定した。
それは『樹怪人の緑樹生装備(全身)』だ。
選んだ理由としては単純に防御性能が高いってのと、付加価値の能力が備わってるからだ。
効果は徐々に回復する『リトルヒール』
それとダメージ軽減である。
この装備は文字通り『樹木型の樹怪人』からドロップした『アイテム』を用いており、良い装備だ。
フォーリン達のパーティに加入した後、沢山出て来た『樹木型の樹怪人』を狩った結果、有難いことに沢山素材を落としてくれた。
・樹怪人の緑樹生:Cランクモンスター『樹木型の樹怪人』からドロップした素材で作られており、回復効果とダメージ軽減の付加価値が付いている『Cランク装備』
『リトルヒール』は『樹木型の樹怪人』が持つ能力、養分を吸い取り回復する効果を参考に自動治癒力が施された能力。
【樹怪人の緑樹生】
物理防御力+67
魔法防御力+32
耐久力+30
・効果
ダメージ軽減+6%
リトルヒール
「まいど~、後はこっちで注文通りの品を作ってやる。それまでは『エリオン』に滞在しとけ、
『装備』が完成したら通信魔道具で直接報告を脳に届ける。金払って注文を受けた以上俺は最高の一品を作るのが職人としての矜持なんだ。あとは任せろ。」
「あ、ありがとうございます!」
何だ態度悪いって思ってたけど案外良いドワーフじゃないか、
第一印象がとんでもなくチンピラのそれだったから「コイツマジか~」って思っちまったが認識を改めねばな!
「良い買い物をしたんだよルミナス。」
「あぁ、これで俺は更に強くなれるよ。」
それから俺とモンチャは『注文装備』が完成するのを待ち遠しにしながら『防具屋』を出て、『ステータスレベルアップ所』へと移動することにした。
蒼海のように青々とした心で、
嬉々とした感情を抱きながらランランスキップで、
~現在地・ステータスレベルアップ所~
『ステータスレベルアップ所』は『エリオン』の中で一番大きな施設だ。他の建物と比べれば圧巻である。
俺達は今からその施設に取り付けられている大きな両扉を開けて中に入る。
すると、まず入ってくる情報としては沢山の冒険者と職員、それから耳に入って来るガヤガヤ音である。
「何だこれ!?」
「モンスターの大群よりいるんだよ!?」
「さすがにこの人数は予想外過ぎる・・・多すぎだろ。」
「・・・」
思わず目を奪われる冒険者の数。
驚くのも無理なない。
レベルアップを待ち遠しにしている冒険者。
クエストを受注して『経験値』と『ドロップアイテム』を稼ごうとする冒険者。
はたまた待ち合わせ場所にしている冒険者。
此処に居る目的は色々である。
しかしそんな中、一際目立つ行列が二列ほどあった。
一列目は、クエストを受ける為に『大型のクエスト掲示板に張られている受注紙』に目を奪われて立ち尽くし、長蛇の列を完成させている列。
『ドロップアイテム』や『魔石』などの類が欲しいからだろうか?
それとも『経験値』目的か?
そしてもう一本は、『ステータスレベルアップ』を施す受付テーブルだ。
俺達もそこへ並びに行きたいが如何せん多すぎる。
施設内を埋め尽くす程に大人気で、俺達が入れる隙が無い。
「こりゃ待ちだなモンチャ。」
「どこもかしくも騒々しくて長蛇の列が出来てるんだよ!!」
「しかしレベルアップをしてもらわないと俺は『ダンジョン攻略者』になれない・・・しかたねぇ、待つか・・・・」
「マジ、なんだよ!?」
「とにかく、そこに行くにしても目の前の押し蔵まんじゅうの中を掻い潜って行かないとな。」
とそんなこと言っていると、長蛇の列の中に見覚えのある面々を見つけた。
五人で一組のパーティを組んでいる冒険者だ。
「あれは・・・フォーリンだ!」
俺が名前を呼んだ瞬間、フォーリンとその仲間たちが俺達の存在に気付いた。
『魔法使い』のアレイヤが手を振って「こっち来なよ」と誘ってくる。
俺とモンチャはお言葉に甘えることにした。
「フォーリンたちも此処へ来てたのか。パーティで、」
「あぁ!俺の成長度合いを早く確かめたいからな。因みに俺のレベルは現時点で32だ。」
「私はLV20」(リン)
「俺はLV30だ。」(ブライアン)
「僕はLV24」(ケビン)
「私なんてまだLV18だよ~」(アレイヤ)
「はっはー!それで今からどのくらいレベルが上がったのか確かめる所さ、
『ステータス更新』する時って毎回楽しみにしている日なんだよな。今までの努力が数値として現れるって言うか・・・まぁとにかく!ルミナスも此処へ来たってことは目的は同じだろ?」
「その通りだ!」
「なぁなぁ教えてくれよ。一体ルミナスのレベルは幾つなんだ?」
「俺はLV26だよ。現時点ではな。」
「ふっ、どうやら俺の方が上だったらしい。そして!このパーティの中だと俺が一番強い!!」
「現時点!ではな・・・今から『ステータス更新』するんだから結果は分からない。」
「そうだよ、今はLV18でこのパーティの中だと最弱だけど、もしかしたら私が一番強くなっているかもしれないよ!!」ウキウキ
「「「「「「それはない」」」」」」(なんだよ)
「なんでよ!!!」
満場一致で『IFの話を拒否られる』アレイヤ。
愛しのモンチャにまで拒否られる。
アレイヤは憤慨して抵抗していたが、ブライアンの発言により制止した。
「他の冒険者もいる中で何を騒いでいる。そういうのは宿に戻ってからだ。」
大人な対応をして場をキッチリと収める。
そして俺とモンチャは最後尾から並ぶのも面倒という事でフォーリンが並んでいる列へと入らせてもらい、『ステータスレベルアップ』までの時間が大幅に短縮したのだった。