第10話 まさか俺にパーティ加入の申し入れだと!?
「あれが冒険者の、パーティの力か・・・」
「ルミナスは友達いないからパーティなんて組めないんだよ。」
「バ、バカ!俺にだって友達ぐらい居るし、作ろうと思えば作れるし!パーティだって作らないだけだし!」
「はいはい乙乙。ルミナスって昔公衆の面前で〇んこ漏らしたから友達いないんだったよね。え~~と何だっけ最高に活かす二つ名。"隠居暮らしの〇んこマン"だっけwwwwww」
「おいモンチャ・・・長い付き合いであるお前でもそれ以上踏み込んだ発言をしたら口の中に虫詰め込んで体内蠱毒してやるからな。」
「・・・」(~_~;)
殺伐とした雰囲気が漂う中、この騒ぎに気付いたパーティが草むら方向へと顔を向け、『弓使い』が声を掛けてきた。
弓矢をこちら側へ構え、弦を引き絞ってる態勢で、
「そこに居るのは誰だ!隠れないで出てこい!!」ギギギ
「あああ!敵じゃない。モンスターじゃないよ!」
「だから撃たないでなんだよ!!」
しょーもない理由で喧嘩一歩手前側まで来た俺とモンチャは草むらから恐る恐る顔を出し、両手を上げてはパーティの前に姿を現す。
「人間・・・と、あれは~フリューゲルか!」
「なんと珍しい種・・・始めて見たわ。」
「きゃあああああ!可愛い!そこの少年君、フリューゲルちゃんモフッても良い?」
「全然構わないですよ。」
「え?だ、駄目に決まってるんだよ!それにオイラの事を軽々しく売らないで欲しいんだよルミナス!!もしかしてさっきオイラが言った発言根に持ってるんでしょ。だから売ったんだよね!」
「世界ハミナ平等ニ可愛イ要素デ仲良クナレルンダ。ここは俺と向こうの五人パーティとの間を良好な関係性にするために生贄になってくれ。」
「ふざけんななんだよ!」
再びしょーもない争いに発展して言葉の小競り合いをしている最中にモンチャが『魔法使い』に捕まり体をまさぐられ、モフられた。
その光景を横目でニヤリと笑いながら刮目する。
そしてその間に俺は身の潔白を証明しようとパーティへ自己紹介をする。
「俺はルミナス。職は魔法剣士だ。あそこにいるのはモンチャ。『治癒強化術士』だ。モンチャとは一緒に『ダンジョンの全制覇』を目指している。だから怪しい者じゃない。」
どうだ?
これで少しは不審人物じゃないってことを証明できればいいが、
一応モンチャも・・・。
僅かな沈黙が続く。
この空白の時間は俺が今まで経験してきた空気で一番重い圧力が掛ったコンマ数秒。
反応は如何に・・・
「なるほど。まぁウチのアレイヤはそちらのフリューゲルに興味津々みたいだし、一応怪しい奴ではないか・・・」
どうやら乗り切ったようだ。
『弓使い』は弓をしまう。
すると今度は『剣士』の赤髪男が前へ出て来ては結構フランクな感じで喋り掛けて来た。
「はっはー!実は俺達もこの『ダンジョンのクリア』を目指してきたんだ。と言っても大体みんなそのつもりだけどな。しかし驚いたぜ、全ての『ダンジョン』を攻略しようだなんて大それた目標を言う人間は、」
「うんうん、私も今まで色んな冒険者を見て来たけどさ、まさかの発言だったね。吃驚しちゃった。」
『召喚士』の大人びた女性が会話に入り込み、『剣士』のいう事に賛同する。
言葉にはしていないものの、他のパーティメンバーも首を縦に振って答える。
そして俺は口を開く。
「まぁでも実際挑んでみた結果、全然イージーじゃなくて、
何度も死にかけ、満身創痍。
一日を生き延びるだけで一苦労。
死に物狂いで抵抗しては戦った。
でもそこが『ダンジョン』って感じがして良かったね。」
「はっはー!俺と同意見だルミナス。」
二人は意気投合し、腕を組んだ。
周りのメンバーからはどう思われているのかは知らんが、自分の息子や娘が友達と仲良く遊んでいる姿を優しく見守る親として、優しい微笑を浮かべて『ほんわか』な空気を作っていた。
「おっと、つい話が進んじまって俺の自己紹介がまだだったな。俺はフォーリン。職業は『剣士』だ。そして向こうの黒い筋肉が『守護者』のブライアン。
そこから右に『魔法使い』のアレイヤ。
『弓使い』のケビン。
『召喚士』」のリン
みんな俺の大切な仲間でありパーティメンバーだ。そしてお前は『魔法剣士』のルミナスに『治癒強化術士』のモンチャ。」
「よく一回の自己紹介で覚えられるな。」
「はっはー!記憶力は良い方なんでな。で、お前たちが悪い奴らじゃないってことは分かったが、これからどうするんだ?」
「どうするとは?」
「行先だよ。目的地とか決まってるの?」
「まぁ一応"1エリア"内で経験値を増やそうとモンスターを狩りまくるって事をしてるかな。『魔石』も『素材アイテム』も手に入るし、」
「ふぅ~~ん、でも結局のところモンスターを狩りまくる以外に目的は無いんだろう?」
「まぁな。」
「ならさ、良かったら俺達のパーティに加入しないか?」
「パーティに・・・・・加入・・だと。」
「あぁ!俺はお前らが気に入った。嫌かな?嫌なら別に無理強いはしないけど、」
パーティ加入の誘い。
今まで俺はモンチャと二人っきりの戦闘しかしてこなかった。
『ダンジョン内』でも『ダンジョン外』でも、
だからこれは普通に承諾すべきか?
特にパーティに入ったからってデメリットになることも都合が悪くなることもない。
寧ろ『ダンジョン攻略』へと近づける。
それに向こう側だって仲間は多い方が、戦力は多いに越したことは無いはず、
よし、受けよう!!
考えた末に俺はパーティ加入の有無を伝える。
「パーティの皆が嫌じゃなきゃその申し出、有難く受け入れるよ。」
「おおおお!ホントか!はっはー!よし、これでまた仲間が二人増えたってことだな。テンション上がるわ!ならならこれからどうする。ポジションは『魔法剣士』だから俺と同じく前衛。それから、」
「はいはい、フォーリン止めなさい。ルミナスさんが困ってるでしょ。」
「あ?あぁ悪い悪い。つい興奮しちゃって、」
「まぁでも新しくパーティに入った新人。それにフリューゲル。いいじゃないか、面白い。」
「うんうん、僕たちのパーティには可愛さが無かったからね。良いんじゃない。」
「ちょっとそれどういう事よケビン。」
「そのまんまの意味だけど、一度キレだすと我儘で口五月蠅くて騒がしい公害女と何処か凶器を感じる『召喚士』。花は無いね。」
リンとアレイヤはメンチを切り、ケビンをボコボコにする。
そんな感じで俺とモンチャは少々、いや、大分不安が残る騒がしいパーティに加入したのであった。
フォーリンはパーティのリーダーで、どんな奴にでも気兼ねなく接する陽キャの塊みたいな奴。あと心がイケメン。
ブライアンは筋骨隆々の見た目からは想像もできない程に読書が好きで、子供が大好き。
アレイヤは可愛いものが大好きで、『サモナーであるリンの召喚獣』を良くモフってる。
ケビンは無意識で他人を傷つけ地雷を踏むが、皆と談笑している時間が大好きで幸福だと思ってる。
リンは、常に皆と一緒に居られることが何よりの幸せだと思っている。あと器用。