薬草すごい
なんと落下したところは薬草の群生地だったらしい。運が良い。
いや、本当に運が良いのならそもそも崖から落ちないし、死にかけない。
こんな痛い思いもしなくてもいい。
じゃぁプラマイゼロで。いや、明らかにマイナスのほうが大きい。
なんとか動かせる右手で薬草を食べまくる。
しかしファンタジーだねぇ。草食っただけで骨折が治るとは。
少しづつ動ける範囲が増えていく。
一面の薬草を食べ尽くすと動けるまで回復した。ファンタジー凄い。
この世界でやっていけるのだろうか。不安だ。
辺りを見回すと死体がいっぱい。生きている人はいない。
このままいると盗賊が金品漁りに来るかもしれない。
死体の臭いを嗅ぎつけて魔獣や野獣が襲ってくるかもしれない。
離れよう。わたしが最低限持ち運べそうなもの。
銅の剣。青銅の盾。小麦の袋。もっと持っていきたかったけど
仕方がない。
重い体を引きずりながら岩場が見えた。
子供が一人入れそうな割れ目がある。
何とか体を納めると激しい倦怠感に襲われる。
薬草程度では体力は全快しないのだろう。
多少の安心もあったのだろう。わたしは意識を手放した。