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アイデス  作者: MAI_★
14/14

1話-14 おまけ

さて、晴れて(?)退魔師としてデビューした私、滝川美咲。ところでこれからどうするの?

 幽霊とか、霊媒とか、いっちばん関わりたくなかったものの当事者になってしまうとは思わなかった。


 これからの私は、もしかしたら普通の女子高生としての生活って送れないのかもしれないなぁ……。


 あの時、あの墓地での出来事さえなければ、もう少しこの特別なチカラについて前向きに考えることができたのかもしれない。いや、むしろあの事があるからむやみに首を突っ込まないようになって冷静に考えることができるようになったんだ。この方が利口な選択だ。


 そう、私は先天的に幽霊が潜んでいる、この世とは違った異空間に入る力がある。なんで私にそんな能力があるのかはわからないけど、とりあえず関わらないようにするって決意してたの。


 なのに、なのに! 何の偶然か、彼らと出会ってしまった私は奇妙な団体へとひきこまれてしまったのだ。


 あの不思議な空間……事務所のみんなは『冥界』って呼んでいるけど(つまりは幽霊が住み着いてるもう一つの次元の世界のこと)そこでは現実の世界とは勝手が違う。幽霊そのものや、私のような霊力が高い人間は普通に動けるけれど、精神世界の感が強いせいで普通の人間は長時間いると精神汚染が始まるみたい。簡単に言えば精神的なダメージ、虚脱感や無力感みたいな感じかな。もちろん霊感が強いといっても人間にとっては良い環境でないから早く脱出するにこしたことはないんだけどね。


 脱出する方法は二つ。冥界と現代との間の裂け目がどこかしらにあるからそれを見つけてそこから逃げるか(私が彼らと出会うまではずっとこの方法を使ってた)、冥界を作ってる霊体を倒すかしかない。


 幽霊を本来いくべき場所へおくるには除霊と浄霊があるんだけど、浄霊というのはいわゆる成仏で、さまよってしまった幽霊を誘導して行くべき場所へ還すってこと。それに対して除霊は強制的に幽霊をおくること。もう収拾がつかなくなった悪霊や人の負の気持ちから産まれてしまった霊体(こいつの場合は誰々の霊とかじゃないから遠慮はいらないんだとさ)本当は浄霊がいいんだろうけど、この世に長くいすぎた霊とかにはなかなか難しいみたい。


 そして、『冥界』って世界を、人間が取り込むほどに強く作ることができるのは怨念が強い悪霊や、人間を殺すことができるほどに力をつけた悪霊、んまぁつまりは悪霊がほとんど。

 つまり、私たちが相手にする幽霊っていうのはそこらにいるただの幽霊とは違うってことね。浄霊なんて生易しいこと言ってられない相手のみ。実際にこの前は悪霊をまともに見たけれど、殺意でギラギラしていて、そこらの変質者よりもよっぽどヤバい感じだった……。


 この『冥界』って中に入って悪霊を倒す人が、通称『退魔師』。霊媒師は割と世間でも知られているけれど、この退魔師もその辺の世界では有名なものらしい。けれど修行でなれるものではなくて、ほとんどが体質、性質、遺伝といった天性のものみたい。

 現在公式で発表してるもので全国で6の団体、およそ40人ほどの退魔師がいる。ただ、個人で営んでるものや海外で活躍してる人もいるから正式な人数はわからないみたい。まれに合同調査とかで一緒に戦うこともあるから互いに顔見知り程度の中ではあるみたいだけど。(実は会議とかも定期的にやっているとか。どんな感じなのか想像つかないなぁ……。)


 退魔師は霊媒師と違って儀式めいたことはやらない。悪霊とは本当に文字通り『戦う』ことで除霊をする。『冥界』の中に入ると、退魔師は自身の霊力を具現化して一つの武器を作ることができる。ただし集中力がいるから一つしかつくれない。複数もつと精度が落ちて逆効果になるらしい。基本的にはその武器を使って悪霊を倒すんだって。


 私が所属してる『Ray調査事務所』は結成2年で、最近になって団体として所属したから、他の団体は先輩ってことになるみたい。でも実力は群を抜いてるみたいで既に周りからは一目おかれているとかないとか。


 実力はともかくも、ここのメンバーはみんな癖のある人物揃いで、そのせいで一目置かれているんじゃないだろうか……。


 まずはここの所長、箕輪多紀さん。経歴が全く不明だし、怪しげな能力をいっぱいもってるし、隠し持ってるものも多そうだけど……。自称は「元・退魔師」らしく、今は所長として依頼の最初から最後までを循環させる役割。6団体の中で一番若手の所長みたい。ちなみに31歳だそうだ。少し陰陽道としても通じるものがあるみたいで、私が力をコントロールできるように呪術を施したのもこの人。この呪術も詳しいところは不明なんだけどね……私は。まぁ知るのもこわいから突っ込まないでおこう。

 見た目はどうだろう。普通……には見えないかなやっぱり(笑)。どっかの怪しい執事って感じがする。艶々で癖のない真っ黒な髪。楕円型の細いメガネ。180センチという細身の長身。いつも黒っぽいスーツを着てるからイメージは黒人間(笑)何でも見透かしてそうな細く鋭い視線を向けられると、嘘がつけません。でもいつもめんどくさそうな、適当な発言が目立つ。


 そしてこの所長さんの一人娘が箕輪瑠雨ちゃん。

 てか、本当に娘!? 名字が一緒だし、ありえなくはないけれど……まぁ今はそういうことでいいや。

 彼女は退魔師ではなくてちょっと特殊な霊能者。なんと自分の守護霊をペットのように操ることができるのだ! 操れる霊体は3体で、本人は『冥界』の中には入れないけれど、この守護霊(みんなは使役霊って呼んでる)を使って戦いの補助をしてくれる。3体同時に自由自在に操れるみたいだから色々とこまわりがきくの。本人は大人しくて無口で所長さんと同じく何を考えてるのかよくわからないとこもあるけれど、まだ10歳の子供だから、たまに子供らしい一面を見せてくれたりしてかわいい。見た目も何かお人形さん! ってのがピッタリ。ふわっふわの天然パーマだし、大きくてこぼれおちそうな瞳。年相応のやわらかいほっぺた。ガーリーなワンピースがとっても似合うの。


 お次は21歳でフリーライター兼カメラマンの柳沢智さん。彼は退魔師どころか霊能者でもなんでもない一般人。どういう経緯でこの事務所の一員なのかは知らないけれど、その情報網はどこから仕入れてくるのか! ってぐらいにすごい。私のことにしたって、わずか半日で能力があるって調べ上げたみたいだしね。私そのことって誰にもしゃべってないのになぁ。その気になればすべての人の人間関係を洗いざらい調べ上げたりできそう……なるべく敵にまわしたくないタイプだね。でも本人は仕事以外ではあっさりした人で、情報を使って他人を脅したりとかって考えなさそう。お兄ちゃんのように優しくしてくれる。冗談なのか本心なのかわからないこともしばしばあるけれど。でも彼の情報やその他の手回しがあるからこの仕事が円滑に進んでるのは間違いない。多紀さんよりも背が高く、私の頭を肘置きにされることが多々ある。


 最後はこの事務所の稼ぎ頭(?)の瀬戸悠也。智さんと同じく21歳だけど、彼は学生。彼が退魔師で、その実力はまだ1回しか見てない私でもすごいと思う。てかまだまだ実力は見せてない気がする。実際に私がここにくるまでは一人で悪霊を倒していって、それが結果的に同業者の中で有名になるぐらいだから、いったい今までどんな戦いをしていたんだろう……。でも普段は人を(特に私を!)からかってばっかで、戦うとかとは無縁に見えるぐらいな優男。今風の茶色く染めた髪は少し癖っ毛なのか、ぴょんっとはねてることがある。常に笑顔を絶やさない……やっぱり優男。


 そして最後に私、滝川美咲。まだ新米の中の新米で、実際どうすればいいのか全くわかってない。ただ、単純な性質は物心ついたころからわかってた。実戦経験はほとんどないけれど、多紀さんいわく、潜在的な力はかなり強いみたい。。多紀さんから呪術をうけたおかげで、今までより一層幽霊とかが見えるようになってしまったのが悩みの種だったり……。

 見た目は普通の女子高生。ストレートロングヘアで、他にはこれといった特徴はない。まぁ普通が一番だよね!



「とまぁ、こんな感じだけど、これで疑問はすっきりしたかい?」

 前回の事件の報告書を書きながら、顔をあげずに多紀さんが私に聞いてきた。ただ淡々と、まるで台本があるかのようにすらすら言ってくる。


 何も知らないままじゃ不満だからって私が多紀さんに抗議したら、案外あっさりと「まぁ知りたいことはだいたい想像できるから、質問してくれれば答える」だって。そしてその通り何も隠すこともなく答えてくれた。


「あの……説明してくれたところで、私の頭の中では『知らない』『わからない』が文末についてる状態なんですけど……。って、こんなことやってる団体があと5つもあるの!? 除霊とか悪霊退治とか……」

 目を丸くして驚く私に、多紀さんはペンを置いてこちらを見……と思いきや、また報告書を書き始めてしまった。どんだけマイペースなのよもうっ!

「まぁな。一番実力派で有名なのは『藤川除霊事務所』。ここは結成が50年前からだから除霊してる数も群を抜いてるな。活動範囲もひろいし……本拠地はこっちだからいずれ顔を合わせる機会もあるかもな。次いでは京都の方の女性退魔師しかいない『GT相談所』。それで次がうちかな。なんせうちは人数がいないから質はともかくもあまり数のほうがこなせなくてな」


 いやいや、2年で他の3団体を抜いたのなら十分すごいと思うけど…。


「あとは……海外進出がさかんな『国際センター』だろ。で、人にとりついた悪霊専門の『river特別病棟』で、あと一つは……なんだったかな」

「あれだ、仕事を紹介してばっかりの『ゴースト流通センター』だっけか。最近姿を見せないな。そろそろ消えたか」

 さくっと身も蓋もないことを言ってるは智さんです。


「実際、美咲ちゃんも悪霊を見てきてるだろ? 世間体を考えると公にはできないけど、迷宮入り事件には結構悪霊がらみがついてくるから、警察から公式に依頼されることも少なくないぜー」

 私が多紀さんに質問攻めしてる間、私の隣で携帯ゲーム機で遊んでた悠也が、電源を切って話に参加してくる。

「そういえば、悠也って一体いつからこんなことやっていってたの? ってか最初から力をコントロールできてたってことなんだよね。私はできなかったのに……。これもやっぱり才能の違いなのかなぁ」

「俺は順応型だから♪そういう漫画も読んでたしばっちりよ! ちなみに覚醒は13歳。一緒に戦った仲間も俺の強さを感心して、見学してたなぁ」

 

 るんるん顔で過去の栄光を話してくる。

 いや、漫画で納得しちゃったの?

 

 私は覚醒そのものはきっと5歳なんだよね。

「じゃあ私もこれから見物にまわるよー。悠也強いから私がいなくても全然余裕じゃん。てかいない方がいいんじゃない?」

 試しに笑顔で提案してみる。

「いやー、俺はじめてよ。まさか味方の攻撃で危機を感じるなんてことは」

「もう! しつこいなぁ! だからあれは謝ったでしょー。自分だってわけがわからなかったんだから!」

 パートナーとしての出だしは前途多難です……。

 でも、自分を守る術を手に入れたからか、強い人たちが現れたからか、以前よりは前向きになれたような気がする。

 あぁ、でも普通の高校生活が遠ざかっていくよぉ……。


 本当に!


 これからどうなるんだろう私……。とほほ。

はい、1か月ぶりの更新でございます。

これは、とりあえず登場人物と、設定のおまけ的な感じで書きました!

これから彼らがどう動いてくれるのか。


筆者、現在私用でとても多忙でなかなか執筆できない状況でございますが。

彼女たちの物語はまだまだ始まったばかりなので。

ゆっくりまったり成長を見守って下さいませ。

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