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ねえ

  昔、俺が小学校に入学する少し前、生前の母がプレセントとして絵本を買ってきてくれた

  ことがあった。その物語の内容は、魔導士ミラが降ってわいた天災を一人で抑え込んだという 

  どこにでもありそうな内容だったがその時の俺はその本のリアルさに妙に心を惹かれた。

  まるで体験談のようなリアルさだった。

*******************************


  「あなたがあの天災を一人で抑え込んだあのミラ?」


  「そうですけど…なぜあなたがそれを?」


  「え?いやそれは、その…」

 

  ちょっと待てよ。もし本通りなら・・・。


  「あんたもしかして女?」


  「あ、ばれちゃいましたかー。そうなんですよ。普通魔導士と召喚者の性は合わせるんですけど

  わたしの時に手違いで男の人が召喚されちゃって・・・まあ現在に至ります。」


  「まあそれは不運に。」


  「絶対思ってないでしょ。」


  俺はミラの視線が怖かったのですぐさま目を剃らした。殺気すごいんですけど。

  そんなに怒る?普通…。


  「話過ぎたせいで時間おしてしまったので早く測定ルームいきますよ。」


  そう言って彼? 彼女ということにしよう。彼女は短く呪文のようなものを3秒ほど唱えて

  一瞬で測定ルームとかいうネーミングセンスのないところに着いた。まあ俺も人に言えるほど

  ネーミングセンスはないのだが。


  「測定方法を説明いたしますね。あなたの身体強化はいたってシンプルです。

  ただただ自分の全力を出し切るだけです。」


  あれ、この人説明下手くそなのかな。もっとあるでしょ普通。コツとか工夫とか。


  「じゃあ早速やっていきましょーう。最初の種目は…えーと、握力でーす。」


  いやそれ学校でやるやつだ。いやでもこっちの世界だったらスキャナーで通して

  握力が分かるみたいなハイテクな技術かもしれない!

  頼む!そうであってくれ!


  「じゃこれ握ってくださいね。」


  はいやっぱりどの国、いやどの世界でもこの握力を測る機器は健在らしい。

  これを発明した人にはすごい尊敬するよ…。ほんとに…。

  それでもむこうと違う点があるとすればメモリか。最高メモリ5,000て。この世界の単位は

  まったくついていけない。


  「この単位って日本とおなじなの?」


  「はい。単位はあらかじめ合わせていますよ。」


  前言撤回。これを作った人の頭のねじは大丈夫なのだろうか。 

  握力の世界記録でもたしか200いってなかったはず。

  ゴリラでも400~500程度のはずだろ。なんにせよ今度言ってやらなければ、

  ”こんな記録でませんよ”と。


  そう思いながらも俺は全力で握力を測るための機器に力を加えた。

  結果は102。え?すごくないか?この前まで35ぐらいだった奴が急に。

  身体強化恐るべし。


  場内はまたもや沈黙に包まれた。え?なんか悪いことした?悪いことしたとしたら 

  俺にまったく心当たりがないのだが。


  「機械の故障でしょうか、ハハ。もう一度やっていただけませんか?」


  記録がそんなに低いか?それとも高いのか?いや、高いという線は表情からして薄いな。

  でもそこまで低いか?この記録。100超えだぞ。もとの世界だったら一躍有名人だろ。

  まあさっきはすこし力抜いたし本気だすか。


  記録105


  

  二回目の時に握力上がる人そういないよ?

  そう思って満面のどや顔でミラの方を見ると、あいつの顔面から血の気が引いていた。


  「あの、あのですね・・身体強化の最下位(ハイモブ)だったとしても1000~2000ぐらい

  は出るんですよ・・ハイモブで・・・。」


  ということはつまり・・・俺めっちゃ弱いじゃん!

  えちょっと待ってちょっと待て。1000~2000? バケモノかよ!一番下でそれ?

  桁が違いすぎる。これはマズイ。こんな雑魚スキルをゲットしてしまったものの末路など

  不幸に決まっている。まあまだ握力だし。気持ち切り替えていこ。


  そうして俺は1500メートル、砲丸投げ5kg、反復横跳び、20メートルシャトルランまでが今まで

  にしたことがあるやつで、他にもロボットに殴られるのをひたすら腹筋で耐えつづけるテストや、

  垂直跳び、パンチ力のゲーセンとかでたまに置いてあるああいうテストをしたりととにかく

  すべてがきつかった。いままで勉強しかしてこなかったことが裏目に出たな。


  「ヒュースさんこれはやばいですよ。」


  「ヒュースじゃない。俺は遥斗だ。」


  「ああ遥斗さん。この記録は本当にヤバいですって。1500メートル4分30秒。ハイモブでも

  2分50秒ですよ。その他にも砲丸投げ20メートル。ハイモブで30メートル。その他も最悪ですよ本当 

  に。」


  いやヤバいって言われても・・・こっちのセリフのだよ本当に。俺はもう用済みか?

  殺されるのか?どうすれば・・・。まあ別にもうどうでもいいや…。


*******************************



  うん・・・・。


  いや・・・・・。


  良くないよな・・・・・・。


  だって元の世界への戻り方まだ全然知らないし!ほかの国に手がかりがあるって言ってたけど

  そのためにはまず敵国倒さないといけないし!

  そのためには強いスキル必須だし!

  でも俺強いスキル持ってないよ!うん!


  「ねえ俺これからどうしたらいい?」


  「知りませんよそんなの・・・。」


  彼女はすでにもう俺のことはあきらめてしまっているらしい。まあそれもそうか。

  どうしようか本当に。ね、ねえ・・・・。



*************************************


  如月 遥斗


  能力   身体強化


  身体強化レベル測定テスト 結果


  握力  105


  1500メートル  2分50秒


  反復横跳び  103回


  20メートルシャトルラン  207回


  パンチ力  240


  腹筋力  5回


*********************************************


  ミラ


  能力  ?


  


  




 


 

  





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