世界の状況
「でさあ、そちら側が俺たちを召喚する意味はあんの?」
自分でも核心をついた質問だと思う。意味もなく、大きなリスクを抱えてやるという
ことは、それ以上のメリットがあるはずだ。
「はい。異世界召喚された者、つまり、召喚者なんですが、その者には必ずスキルを獲得
することができます。」
「例外なくか?」
「勿論です。」
じゃあ、俺もスキルを獲得できるということか。俺の場合は近接タイプじゃなくて遠距離からの
援護のほうが適してると思うし、そういう系のスキルが欲しいなー。
「俺遠距離タイプのスキルが欲しいんですけどー。」
俺がそういうと、あいつはポカンとした顔で俺の方を見てくる。
なんか変なこと言ったか、俺??
「わざわざ元の世界で知能の良い人を召喚したのに失敗でしたねー。」
めっちゃ煽り倒してくんじゃん、こいつ。いや別にだいそれたことは言ってないはずだが。
「どんなスキルでも叶うなら、もうこの世界滅んでますよ。ちょっと考えたら分かるじゃない
ですか。」
ああまあそうか。でもそんな言い方はひどいだろ。これでも一応召喚者ですけど!!
「なあ、この世界で召喚者って何人くらいいるの?5人ぐらい?」
「他の国は分かりませんが、私どもの国バステカ王国では召喚者は100人ほどいます。」
え…、多くね…。
「なんでそんな多いんですか?魔導士は確実に死ぬんだからそんなたくさんも召喚
できないんじゃないんですか?」
「この世界では、召喚者がすべてです。召喚者のスキル、相手の召喚者との相性それらで
戦争の勝敗が左右されると言っても過言ではありません。なのでより強い相手国に勝つには
よりたくさんの召喚者が必要なんです。」
なるほど…。では俺の出番は無しか…!!せっかく頑張ろうと思ってたのに!
「この国にいる召喚者は全員戦争に行くんですか?」
「いえ、そういうわけではございません。わが国の召喚者のうち、上位30人が
大国間戦争へ配属されます。
次の20人は小規模戦争へ配属されます。
残りの50人は国内での小さな争いなどの止めに入ったり、日々訓練いたします。
まあざっとこんな感じですかね。」
「てか何で戦争が起きるんだ?」
「それにはまず、この世界の仕組みについて話さなければなりませんね。
この世界には100余りの国が存在しています。ですが、その中のわが国を含める10か国
が技術、産業共に進んでおり、残りの国を支配している状況です。
そしてこの世界の人間は5000年前に突然現れたという言い伝えがあります。
そして今も人口は増え続け、全世界で100億人を超えています。
そのせいで食料危機をむかえ、各国が戦わざるを得なくなったのです。」
いろいろと謎が残る歴史だな…。
「話が変わるんですが地球に帰れる方法はあるんですか?俺ここへ来るギリギリで生きる
意味を見つけて…だから俺地球に帰らないといけないいんです!」
「今まで地球に帰りたいという意思を持っていた人はいないので分からないですが、
あなたたちの世界から召喚できたのだから逆に送り帰すことも多分できるでしょう。」
なんだよ多分って!知らねーのかよ!
「じゃあ、そろそろスキルの間に行きましょうか。」
「何?そのスキルの間って?」
「簡単に説明いたしますと、召喚者の方には必ずスキルが与えられます。しかし、スキルも
多種多様。この世界では、一番強いスキルから、最上位、上位
、下位、最下位と四つの種類に分けられます。
わが国では、ハイバラシアが六人、バラシアが三十八人、モブが五十二人、ハイモブが
四人保有しております。」
つまり、この国でのハイバラシアは大切な国家戦力ということか…。てかハイモブ少な!
絶対に馬鹿にされてるわー。なりたくないなー。
「少し話しすぎましたね。急ぎましょうか。」
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五分くらい静かな廊下を歩くと、真っ暗な何もない部屋に案内され、椅子に座らされた。
「それじゃあいよいよスキル獲得です。準備はいいですか?」
「なんかよく分かんないけどいいよ-準備OKー」