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No.10『バスケ』

佐原「タイムアウト!」


根岸「はぁ……はぁ……」


佐原「7対124か」


根岸「ぜぇ……はぁ……はぁ」


佐原「残り時間は二分、一秒に二点取ればまだあるいは」


根岸「いやいやいやいや! あんた頭おかしいのか!」


佐原「監督に向かってあんたとは失礼な」


根岸「一秒に二点ってどこのスーパープレイヤーだよ!」


佐原「うん、そんなヤツいたら見てみたいなぁはっはっは」


根岸「だいたい、バスケの試合で何でうちのチームは俺一人なんですか! なんだこれ! 逆境ナインか!」


佐原「逆境ナインは野球だろう」


根岸「知ってますよ! なんかもう相手チームもこっちを気の毒そうな顔で見てるじゃないですか!」


佐原「むしろよく7点も取ったよなぁ」


根岸「ほんとですよ、自分でもすごいなぁと思います!」


佐原「だがまだ諦めるな、希望はあるぞ!」


根岸「無いよ!? いやまったく希望は無いよ! 安西先生も無言で首を横に降るレベルだよ!」


佐原「だが佐原先生は笑顔で「頑張れ」って言っちゃうぞ☆」


根岸「ぞ☆じゃねぇよクソ監督が!」


佐原「作戦はある」


根岸「作戦ったって、あと二分で、俺一人で……」


佐原「いいか根岸、ここに三本の矢がある」


根岸「いやそれ多分今使う話じゃないと思います」


佐原「まあ最後まで聞け、ここに三本の矢があるだろ?」


根岸「一本だと折れるけど三本なら折れないってやつでしょ?」


佐原「そうだ、チーム一丸となって力をあわせれば、お前たちは最強の矛であり無敵の盾だ」


根岸「なんか別のものが混ざってますが。っつーかだから、チームがどうこうっていうか、チームが俺一人なのに力を合わせるも何も―――」


佐原「ばらばらの力を、合わせる必要が無く、最初から身も心も一つならば……?」


根岸「……はっ!」


佐原「にやり」


根岸「はっ、じゃねぇよ! 結局ひとりじゃん! 最初からひとりじゃん! 何も変わってない!」


佐原「ばれたか」


根岸「ばれるよそりゃ! なんだ三本の矢って、最初からチームっていうか矢は俺一本じゃないですか!」


佐原「うむ、しかもコレは三本でも簡単に折れる。ほら、パキっと」


根岸「……」


佐原「な?」


根岸「それで俺に何を伝えたいんですか」


佐原「先生は力持ちだろー」


根岸「このバカ教師が! なんだそりゃ! だいたい、なんで部員が俺しかいないのに練習試合組んでくるんだよ! おかしいでしょ絶対!」


佐原「相手のチームも試合前は「え?ひとり?」って顔してたなぁ」


根岸「最初はそれこそ「馬鹿にしやがって」って感じでボコボコでしたしね」


佐原「まあ、それもすぐ終わったけどな」


根岸「敵意から哀れみへと変わっていく彼らの視線が痛かったです」


佐原「うむ、だが、そこが彼らの心の弱さだ。今回はそこを突く」


根岸「突くったって」


佐原「いいか、ここに三本の矢がある」


根岸「だから今使う話じゃないですってばソレ」


佐原「コレで突く」


根岸「物理的に!?」




閉幕

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