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No.57『全自動メンテ』

佐原「ぶはぁーっ!」


根岸「また派手に爆発させましたね佐原博士」


佐原「げほげほ、もう研究室モックモクじゃよ、煙い煙い」


根岸「博士も真っ黒ですね」


佐原「白衣が黒衣になってしまっているな」


根岸「しばらくは222番研究室は使えませんね」


佐原「そうじゃのぅ、根岸くんの掃除待ちじゃよ」


根岸「えぇ……掃除するの自分なんですか……。なんか掃除に便利なメカとか、博士なら作ってそうじゃないですか」


佐原「なんでも機械に頼ろうとするんじゃない。のび太くんかねキミは」


根岸「まあ、掃除しろと言われればしますけど……」


佐原「うむ、人の手でやるからこそ、生まれるものも、わかることもある。なんでも機械にばかりやらせていると、大切な何かを忘れてしまうのかもしれん」


根岸「もっともらしいことを……」


佐原「うむうむ、助手なのだから、研究室を掃除するのも大事な仕事じゃよ」


根岸「はぁ……。―――で、今回は何が爆発したんです?」


佐原「あーうん。いや、爆発はしてないんじゃよ。爆発してたらアフロになってるもん儂」


根岸「じゃあその、部屋からいまだにモクモクと出てる煙は?」


佐原「うん。今回の発明はね、こんなこともあろうかと、アンチ自爆装置システムを組み込んであったのじゃよ。だから爆発しないし、儂はアフロにもならない」


根岸「……なんですかその自爆装置ありきのシステム。全ての発明に自爆装置がついてるわけでも―――あ、いや」


佐原「ついとるよ」


根岸「そうでしたね。博士の発明には間違いなくついてるんでした、自爆装置」


佐原「ロマンじゃからな」


根岸「で、今博士の背後で黒煙をあげてるそれには―――」


佐原「そう、アンチ自爆装置システムが組み込んである」


根岸「そもそも最初から自爆装置をつけなければいいってだけの話じゃないんですか?」


佐原「そうはいかん」


根岸「……ロマンだからですか」


佐原「そう、ロマンじゃからな。ロマンは大事じゃよ。ロマンが無いと、発明はできないんじゃよ。心に愛がなければスーパーヒーローじゃないのと一緒」


根岸「それはキン肉マンでしょう」


佐原「いやいや、ロマンの話じゃよ」


根岸「……。で、爆発じゃないとして、何が壊れたんですか」


佐原「いや、壊れたわけじゃないんじゃよ、ちょっと失敗しただけ」


根岸「今回の新発明ですか? それ」


佐原「その予定だったんだけどねー」


根岸「失敗ですか」


佐原「そう。これは狼煙を上げるメカになる予定だったのじゃ」


根岸「のろし……」


佐原「遠くの人と連絡とりたい、ってときに、このメカがあると、狼煙を簡単にあげられるぞ! こりゃすごい! ってなる予定だったメカ」


根岸「携帯電話とかあるこの時代に……」


佐原「レトロブームじゃよ、レトロブーム。狼煙の時代が来るぞ! と、思ったんだけどねー」


根岸「失敗ですか」


佐原「うむ。自動メンテナンス機能を付け忘れてな、一回使うと、もう煤だらけで使い物にならん。これでは商品化は無理じゃよ。一回の狼煙に対してコストがかかりすぎる」


根岸「……なるほど?」


佐原「……」


根岸「……博士?」


佐原「というわけで、作ってみた、今」


根岸「この短い間で、なんか小さなロボットを……」


佐原「その名も、狼煙あげ機メンテナンスロボー! じゃーん!」


根岸「狼煙あげ機を、メンテナンスするためだけに生み出されたロボ……」


佐原「その通り! 見ただけでこのロボの特徴をまるっと掴むとは、さすがは我が助手!」


根岸「名前が全てじゃないですかもう」


佐原「これでまあ、ひとまずは解決じゃな」


根岸「ついさっきなんでも機械に頼るなとか言ってたのに……」


佐原「それはともかく」


根岸「ともかく」


佐原「次なる問題が発生したのですよ根岸くん」


根岸「どうしたんですか」


佐原「狼煙あげ機メンテナンスロボがね、狼煙あげ機をメンテナンスしたら煤だらけになって、連続稼働が難しそうなのじゃ」


根岸「なるほど」


佐原「……」


根岸「……博士?」


佐原「というわけで、作ってみました、今」


根岸「またこの短い間で、小さなロボを……」


佐原「狼煙あげ機メンテナンスロボメンテナンスロボぉー! じゃじゃーん!」


根岸「えぇ……なにそれ……」


佐原「ふふふ……。さすがの根岸くんも、このロボが何をするロボなのかは見抜けなかったようじゃな」


根岸「いえ、そういう『なにそれ』じゃなくて……」


佐原「こいつはなんと、狼煙あげ機をメンテナンスするロボを、メンテナンスしてくれるロボなのじゃ! 画期的!」


根岸「ある意味では画期的かもしれませんけどね?」


佐原「だがここで新たなる問題が!」


根岸「いかん無限に続きそうな展開だ」


佐原「なんと狼煙あげ機メンテナンスロボメンテナンスロボも一度のメンテナンスで煤だらけになってしまって、こりゃ大変!」


根岸「やっぱり!」


佐原「そこで作っちゃいました!」


根岸「仕事が無駄に早い!」


佐原「狼煙あげ機メンテナンスロボメンテナンスロボメンテ―――ガクンッ」


根岸「ん?」


佐原「―――」


根岸「……博士ー?」


佐原「―――」


根岸「あー、フリーズしたかな」


佐原「―――」


根岸「博士ぇー、佐原博士ぇー」


佐原「―――」


根岸「えーと……」


佐原「―――」


根岸「博士をメンテする博士をメンテする博士をメンテする博士―――は、何番目の研究室だったかな……」




閉幕

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