表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
41/133

No.42『命名』

佐原「子供の名前を考えようと思う」


根岸「あれ、お前結婚してたっけ? っていうか彼女いたっけ?」


佐原「いない! だが考えるのだ! 備えあればすべてよし、って言うだろう!」


根岸「おおまかには間違ってない」


佐原「というわけで、縁起のいい名前を考えようと思う」


根岸「寿限無の話みたいだな」


佐原「そこでだ」


根岸「うん」


佐原「縁起とは何だ」


根岸「あ、予想外の方向へ飛んでった」


佐原「よかったり、悪かったり、担いだりする、行いであったり、物であったりする」


根岸「うん」


佐原「縁起とは、一体!うごごごご」


根岸「なんだろうなぁ、縁起って。 何か例を出して考えてみたらどうだ?」


佐原「そうか、縁起のいいもの、鶴だな!」


根岸「うん、まあ、縁起のいいものっぽいな」


佐原「つまり縁起とは鳥類であったか!」


根岸「それは違うと思う」


佐原「鳥類ではないもの、魚類?」


根岸「いや、そういうはっきりとしたものじゃない気がする、縁起って」


佐原「……鳥類以外の何か」


根岸「ああいや、そういうはっきりしなさじゃなくて」


佐原「じゃあ鶴の何が縁起いいんだ?」


根岸「長生きするんじゃないの? 鶴は千年亀は万年とか言うだろう」


佐原「長生きすると、縁起がいいのか」


根岸「まあ、そうなるのかな? 長寿って字にも寿を使うし」


佐原「なるほど、じゃあ子供の名前は「老人」にしよう」


根岸「佐原老人になるのか……ダメだろそれ」


佐原「じゃあ、男の子ならおじいちゃん」


根岸「佐原おじいちゃん、それはお前がいずれなるものだ」


佐原「あ、わかった、捻りすぎてた」


根岸「どストレートだった気もする」


佐原「長生き」


根岸「佐原長生きくん」


佐原「なんか、名前っぽくないな」


根岸「気がついたか」


佐原「あ、わかった、わかっちゃった」


根岸「ほう」


佐原「縁起が何かなんて考える必要はなかったんだよ、これぞ逆転の発想!」


根岸「まあ、縁起が何かを考える必要がなかったことは確かだ」


佐原「決めたぞ、うちの子の名前は「縁起がいい」だ」


根岸「わぁ、なんて縁起がいい名前ー、ってなるとでも思ったか!」


佐原「ならないのか!? こんなにもシンプルに縁起がいい名前なのに」


根岸「助詞を名前に組み込むんじゃない」


佐原「これがダメとなると、やっぱり縁起とは何かを考える必要があるな」


根岸「……あるかなぁ」


佐原「縁起……。んー。 なんかこう、めでたいとか、いい感じとか、そういう雰囲気?」


根岸「まあ、そんな感じじゃないの?」


佐原「アバウトだなぁ」


根岸「がっちり定義できるものでもないんじゃないか?」


佐原「じゃあ、縁起のいいものを全部名前に組み込む?」


根岸「それこそ寿限無の話だな」


佐原「んー。短く……短く……」


根岸「今度は短くしすぎるなよ?」


佐原「縁起、って名前でどうだろう」


根岸「いいのか悪いのかわからないな」


佐原「じゃあエリンギ」


根岸「キノコじゃん」


佐原「俺の子だよ」





閉幕

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ