表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
13/133

No.14『ねこばこ』

佐原「箱を拾ったぞ!」


根岸「何? ゲーム機?」


佐原「いや、なんかよくわからん、箱だ」


根岸「……ほんとだ。箱……っていうか、なんか四角い物体だな」


佐原「抱えると適度な重さと、適温」


根岸「温かいの?」


佐原「ほのかに暖かい。あとこれは箱だよ、ただの四角い物体じゃない」


根岸「中に何か入ってるのか?」


佐原「ここにOPUNて書いてある」


根岸「綴り間違ってんじゃん。むしろOPUNって何だ」


佐原「とりあえず開けてみようぜ」


根岸「妙な物体だなぁ」


佐原「徳川埋蔵金とか出てきたら何買おうかなー」


根岸「もしコレから徳川埋蔵金が出てきたとしたら、それはもう埋蔵金じゃないな」


佐原「じゃあ何?」


根岸「……金庫?」


佐原「徳川金庫か、夢が広がるな!」


根岸「いや、入ってないだろうけどな」


佐原「で」


根岸「で?」


佐原「どうやって開けるんだコレ」


根岸「OPUNはどうした」


佐原「書いてあるだけみたい。カッターとかで開くかなぁ」


根岸「はい、カッター」


佐原「準備いいな!」


根岸「ん、なんかポケットに入ってた」


ガキン


佐原「うわっ」


根岸「おおっ、カッターをはじいて」


ズオゴゴゴバシゴガギュガガガガガシンガシンパカッニャーン


佐原「浮かんで回転して変形して上が開いてネコが顔を出した!」


根岸「どういうことだよ」


佐原「見ての通りだ」


根岸「見てもわかんねぇよ」


佐原「あのネコは箱から生まれたから箱太郎と名づけよう」


根岸「箱太郎……」


ニャーン


佐原「お、箱太郎が反応したぞ」


パタンガシンガシンガガガガプシュー


根岸「ネコひっこんで上が閉じて変形して回転して地面に降りておとなしくなったな」


佐原「は、箱太郎ー!! 箱太郎が閉じ込められてしまった!」


根岸「もともと中にいたんだろう、元に戻っただけだ」


佐原「あ」


根岸「何」


佐原「ひょっとしてコレ、捨て猫か!」


根岸「……捨て猫なのか?」


佐原「一般的にはダンボールだけどさ、これはきっとちょっとカッコイイ箱で捨てられたんだよ!」


根岸「カッコイイ……のか? じゃあ何だ、OPUNはネコの名前か?」


佐原「それは違うだろう」


根岸「違うのか」


佐原「根岸……、お前捨て猫の入ったダンボールに愛媛みかんって書いてあったら、それをネコの名前だと思うか?」


根岸「まぁ、愛媛みかんのダンボールで捨てられたんだろうなって思うな」


佐原「そういうことだ!」


根岸「じゃあOPUNは結局なんなんだ……」


佐原「よし、わかった、俺が箱太郎を育ててやる!」


根岸「まぁ、また箱の中だけどな」


佐原「カッター程度じゃ弾かれたからな、電動ノコギリとかならいけるか?」


根岸「はい、電ノコ」


佐原「準備いいな!」


根岸「ん、なんかポケットに入ってた」


佐原「そのポケットがすげぇな!」


根岸「電動ノコギリとか、中のネコは大丈夫なのか」


佐原「まあ、そこらへんは俺の腕の見せ所よ!」


根岸「なんだその根拠のない自信は」


ぎゅいいいいいい ガキン!


佐原「やっぱりはじかれた!」


根岸「すごい箱だなぁ」


ズオゴゴゴバシゴガギュガガガガシンガシンパカニャーン


佐原「は、箱太郎ー!」


根岸「なんなんだほんと」


パタンガシンガシンガガガガプシュー


佐原「電動ノコギリでダメってことは、物理攻撃はダメなのかっ!」


根岸「はい、レーザーカッター」


佐原「準備いいなああ!」


根岸「ポケットにはいってたあああ!」


佐原「ポケットすげええ!」


ビィィーーーー


根岸「おー」


佐原「いけー! レーザーいけー!」


ィィィィィ……


根岸「……レーザーきかないなー」


ズオゴゴバシゴガガガガシンガシンパカニャー


佐原「過保護すぎるだろこの箱! どんだけ箱太郎が大事なんだよ!」


根岸「そういうことなのか?」


パタンガガゴゴガシンプシュー


佐原「くそぅ、ネコを捨てるときの箱がダンボールな理由がわかった気がするぜ! 開けやすいものな!」


根岸「うん、まあ、こんな頑丈じゃあないよな」


佐原「物理ダメ、レーザーダメとなると、どうすれば開くんだ……」


根岸「呪文?」


佐原「なるほど! 呪術的なアレでこの箱は守られてるのか!」


根岸「はい、魔術書」


佐原「準備いーなーーーー!」


根岸「なんかポケットにー入ってたー!」


佐原「ポケットすーげー!」


根岸「がんばれー」


佐原「黄昏よりも昏きもの、血の流れよりも赤きもの……」


根岸「あー、長いやつだ。もっと簡単なのでいいんじゃないの? ちんからホイとか」


佐原「そんなんじゃあこの箱は壊せない!! ドラグなんちゃらー!!」


根岸「肝心の魔法の名前が適当だ!」


佐原「どうだー!」


ドガーン


根岸「もうネコの生死なんか二の次だなコレ」


佐原「はぁはぁ……」


ズオゴゴガキズゴガシガシガキンパカッニャーン


根岸「おー」


佐原「無傷だとぉー!」


パタンクルクルガシーンプシュー


根岸「だんだん箱のリアクションが短くなってきてるな」


佐原「くそぅ、どうしたら箱太郎を助け出せるんだ! 根岸、どうにかなんないのか!」


根岸「はい、箱太郎」


ニャーン


佐原「……じゅんびいーなー……」


根岸「なんかポケットに入ってた」


佐原「……ポケットすげー」





閉幕

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ