表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
105/133

Ne.6『そこで俺は門の前の掃き掃除を命じられるんだ!』

佐原「掃除とかさー、掃除とかさー」


根岸「何だ。さっさと落ち葉を集めて終わらせようよ」


佐原「掃除とかさー、落ち葉食べてくれるロボがやればいいと思わない?」


根岸「なにそのロボ。掃除機と何が違うんだ」


佐原「妖怪でもいいぞ。妖怪、落ち葉ひろい食い」


根岸「絵画のタイトルみたいなもんが聞こえた」


佐原「……めんどいー、めんどーいー」


根岸「はいはい、いいから掃く」


佐原「……」


根岸「……」


佐原「はっ!」


根岸「今度はなんだ」


佐原「……」


根岸「……なに?」


佐原「きた」


根岸「きたのか。なにが」


佐原「真理を得た!」


根岸「……あ?」


佐原「真理を得た!」


根岸「……得ちゃったのか、もう」


佐原「そう、俺には啓示が下ったね、もうなんもかんもわかっちゃったね!」


根岸「そうか」


佐原「そう!」


根岸「……俺らの仕事は?」


佐原「寺の門あたりの掃き掃除!」


根岸「俺らの身分は?」


佐原「小坊主!」


根岸「なのに、もうわかっちゃったのか」


佐原「そう、真理を得たよ。天啓が下ったんだ。門前の小僧、習わぬ経を読むってやつだね!」


根岸「優秀ですこと。そもそもここまでお経聞こえてこないけど」


佐原「お経はわからん! さっぱりだ! なむなむ!」


根岸「わからんのか。じゃあなんの天啓を得たんだ?」


佐原「この世の真理!」


根岸「それってお経に書いてあるんじゃないの? 知らんけど」


佐原「まあまだ何も教わってないもんな」


根岸「うん、なのに佐原は真理にたどり着いたという。これは異な事だ」


佐原「それがね、天啓が下ったんだよ、今ふいに! 突然に! アクシデンツ!」


根岸「神様から? ――ああ違う、仏様から?」


佐原「いや違う」


根岸「どなた?」


佐原「どなたというか」


根岸「誰?」


佐原「作者」


根岸「……」


佐原「これ書いてる人」


根岸「……Oh」


佐原「作者の本音が、俺には聴こえる! いわばこの世界のアカシックレコードと繋がったんだよ俺は!」


根岸「何をわけのわからないことを」


佐原「いやそれがマジで」


根岸「マジで」


佐原「卍卍」


根岸「……作者、なんて?」


佐原「ピザ食べたい」


根岸「……えぇ……」


佐原「俺も食べたい!」


根岸「……そうか」


佐原「コーラは迷ってるぽい。ビールにしようかなーって。俺もビールにしようかなー」


根岸「いや小坊主としてビールはどうよ」


佐原「仏道に帰依していても、そういう日もあります」


根岸「……いや設定年齢的に」


佐原「ピザ頼んじゃう? ここに」


根岸「ここってお前、寺の門前で小坊主がピザ食ってたらダメでしょ」


佐原「仏道に帰依していても、そういう日もあります」


根岸「いやいやいや」


佐原「だって天啓が! ピザ食べたいって! 脳に直接! ファミチキかよ!」


根岸「……あのさ、その天啓、何か役に立つのかな?」


佐原「んー。まあ、作者の声が聴こえるってことはだよ? これつまりこの世界のアカシックレコードと繋がったも同然! これはもう最強です! 小坊主無双!」


根岸「アカシックレコードのくだり二回目だぞ」


佐原「この先の展開も、この世界の真理も、すべてはもう、わかってしまったのですよふふふ」


根岸「わかってしまったのか。――で、作者はなんて?」


佐原「ピザ食べたい」


根岸「……なんて役に立たない」


佐原「もっとこう、この世界で楽にお金儲けできる方法とか知りたいよね。そしてモテモテになって石油王になるんだ」


根岸「この小坊主、欲まみれじゃないか」


佐原「……」


根岸「……」


佐原「あ、途切れた」


根岸「何、もう作者との交信終わったの?」


佐原「天啓終了のお知らせ」


根岸「そういうもんなのか」


佐原「そういうもんらしい」


根岸「……ふうん」


佐原「まあほら、掃除しようぜ掃除、しなきゃ話が進まない」


根岸「そうなのか、掃除しなきゃ進まないのか」


佐原「いや知らん、知らんけど、掃除が終わらなきゃピザも頼めない」


根岸「……作者がか」


佐原「というわけでっ、お掃除お掃除っ」


根岸「なんか、テンションおかしくない? 明らかに上機嫌じゃない?」


佐原「そう? 掃除するときはいつもこんなだよ?」


根岸「いやいやいや、ついさっきまで全力でめんどくさがってたじゃないか」


佐原「さっきはさっき、今は今!」


根岸「……」


佐原「……」


根岸「何か、交信が途絶える前に作者から情報を得たな?」


佐原「イエベツニ」


根岸「カタカナじゃん」


佐原「流石は根岸だ、よくぞ見破った。仕方ないからお前には話してやろう」


根岸「うん」


佐原「俺はこの後、モテモテになる! わかってしまったんだぜ!」


根岸「……そうなのか」


佐原「掃除をしてたら、高級車に乗ったお嬢様が現れて、俺を乗せていくんだ。連れて行かれた先は大豪邸、そこで俺は門の前の掃き掃除を命じられるんだ!」


根岸「結局、掃き掃除するんだ……」


佐原「そう! そしてそこのメイド達にモテモテになるらしい!」


根岸「……俺は?」


佐原「え、しらない。ここでピザ食べてれば?」


根岸「いやいや、なんでお前だけいい目にあうんだ。俺も同じように掃き掃除してるのに」


佐原「根岸もピザ食べられるじゃん」


根岸「いや頼むなら一緒に食べようよ。そして一緒に大豪邸に行こうよ」


佐原「掃除をしてないとお嬢様が来ないんだ!」


根岸「じゃあ俺も掃除するわ!」


佐原「ピザはどうするんだよ!」


根岸「まだ頼んでないよ」


佐原「頼んでないなら来ないだろ!」


根岸「だから来ないんだって、頼んでないんだから」


佐原「真理!」




閉幕



根岸「おい閉じるぞ」


佐原「ちょっとまって閉じたらモテモテはどうなる!」


根岸「掃き掃除も終わらなかったなぁ」


佐原「お嬢様の名前がマリって名前だっていうオチはどうなったんだ!」


根岸「ああそれは閉じといたほうがいいやつだ」




閉幕

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ