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どうも、邪神です  作者: 満月丸
冒険者編
21/120

口が悪いのはデフォです

 さて、悪爺の化身に入り込んで下界に到着したのだが、出現した場所は帝国からやや離れた北平原だ。誰かに目撃されるのもアレだったので、適当に人気のない場所を選んだのだが、問題はなさそうだな。

 少しだけ身体の調子を見てみれば、スムーズに動く事は出来る。ただ、五感が薄いいつもと違うので、やっぱりなんか違和感が……いかんな、調子を人間に戻さないと人に戻れそうにないぞ。

 大鎌を振るってから、それを影の中に隠す。影は私の領域でもあるので、物を入れたい放題だ。

 それから、平原をトコトコ歩いて帝都へと向かう事に。


 この世界の通貨は大陸ごとに違うのだが、帝都の貨幣は主にデグゼラス貨幣と呼ばれる通貨である。銅貨と銀貨、たまに金貨が混ざる感じで、100で繰り上がり、単位名はデニー。しかし一般人は単位を省略するのが基本なので、普通に銅貨・銀貨・金貨としか呼んでいないのが物悲しい。

 金はこの世界でも貴重なんだけど、これはティニマの認識で「金は高価だから少なめに」って意識が働いた結果、そのとおりになるわけで。神様してるなぁ。で、私はその複製を無尽蔵に作り出せるので、お金に困ることはない。素晴らしいことだ。

 何にもしてないのに懐が温まりながら、私は平原を超えて帝都への街道を歩く。人の往来は多いようで、時折、思い出したように馬車が何台もゴトゴト通り過ぎていく。商人が北のドワーフの王国と行商でもしてるのかね。


 ……おっと? なんか私の気配察知センサーに引っかかったぞ?


 言うまでもなく、化身の時は神の力を縛っているので、何が起こっているのかは意識しないとわからない。だって全てがわかったら、つまらないだろう? 未知との遭遇、魔物とのイベント戦、予想外のクエスト発生と、わからないからこそ楽しめるのだよ。

 ともあれ、察知した気配を辿って街道を逸れ、森の中へと足を踏み入れる。

 森と言っても、鬱蒼と生い茂る森ではなく、まばらに木々が生えている程度の広い感じの林である。灌木も少ないのでローブが引っかかる心配も無い。ありがたいことだ。いや、私が望めば勝手に木々が避けていくんだがね。


 そして不自然な気配の先に、何か大きな騒動が起こっていた。


 木立の向こう、複数の人間が悲鳴を上げて逃げ惑っている。魔法士なのだろうか、ローブを纏った彼らはおそらく魔法都市の魔法使いだ。

 その彼らの前で、地面から凄い轟音と共に現れ出でたのは、巨大なワームと言う魔物。鋏のような牙が付いた口がジャキジャキ鳴り、多足が気味悪く蠢く長い肌色の体躯のそれはまさにムカデ。キモッ!

 そのムカデの魔物に何人かの魔法士が炎の魔法を放つのだが、ほぼダメージを与えていない。うーん、力量差がありすぎてるなぁ。……この魔物、ひょっとして複数の魔物が融合したのか? 魔物ってのは近寄ると融合する性質があるからね。無我だから意図的に近づき合う知識なんて無いけど、これは運悪く出来上がった魔物かな。

 さて、そんな魔物相手に必死で動こうとしている人間が一人。その魔法使いがやたら早口で詠唱してるけど、その呪文式、間違ってるよ。……あ、顔面の穴という穴から血を吹き出してから弾け飛んだ。うわぁ……エグい。

 一人がそんな感じに死んでしまったので、他の魔法使いたちもパニック状態でまともに詠唱ができそうにない。この辺、魔法使いの欠点だよね。

 今にも食い殺されそうな様子なんだけど、助けるべきかやや迷う。だってさ、助けたところで私にメリットなんて無いし、彼らは私の子でもない。助ける意味があんまりない。

 なので、ボーッと人間たちが食われるのを、木立の傍で見守ろうとしていた時にだね。

 魔物が牙を剥いて、一人の人間に襲いかかった。腰でも抜かしたのか膝を付いて呆然と見上げているその人間を見た瞬間、私は思わず目を見開いて、時を止めた。


 …………まさか彼、眷属か? 眷属じゃん!


 襲われかけている人間くんだが、彼は元精霊だ。それも、光の精霊。つまりはセルシュの眷属なのだよ。そういや、以前に自我持ちの精霊を転生させたことがあったが、まさかこんなところで出会おうとは。

 しかし、これは面倒だな。彼はセルシュの眷属で、セルシュはあの通り通常はグリムちゃんとして過ごしている。つまり、光の神の仕事は私が肩代わりしているのだ。なので、必然的にセルシュの眷属を救うのも私の仕事になる。

 えぇ、なんか面倒だなぁ……でも、救わないとなぁ、一応は彼の主神代理だし。


 そういうわけで、面倒ながらも助けることにした。

 時を止めたまま、魔物に食われる一秒前の彼の目の前に、自エネで障壁を作り出しておく。物理を遮る魔法の壁ね。これで死にはしないでしょう。


 で、はい、時が動き出す。


 ドガァンッ! とけたたましい音を立てて、魔物が頭をぶつけて大きく後退した。何が起こったかわからず呆然とする彼の前に、私が唐突に出現したように見えるだろう。

 ふっ、かっこいいだろう? まさに神様っぽい登場だ。

 悪人面な爺の顔で、ニヤリと笑って魔物を睨めつけておく。やはり悪役にはスマイルが欠かせないね。


「あ……あなた、は……?」


 おっと、尋ねられれば答えねばならぬのだが……口調はどうしようか? ま、適当に威厳ありそうな感じで喋ればいいか。即席の言語翻訳システムによってテキトーに口調が変換されるようにしたぜ。


「ほう、無様に地に伏せてはおるようだが、死んでいないな。結構結構」


 はい、なんか言語補正で尊大な口調になった。ま、良いんでない?

 目を白黒する彼を背に、私はこちらをロックオンした魔物へ杖の先を向ける。


「我が前に立ち塞がるとは愚かな化物よ。さっさと、虚無へと帰るがいい」


 はい、それじゃここで決め台詞。


「貴様は滅びを撒き過ぎる」


 ……ふっ、決まったぜ……!!


 と、一人でしみじみしていると、魔物はけたたましい異音を発しながら、常人から見れば凄いスピードで食らいついてきた。

 が、そんなもの、時の神の前では止まって見える。

 余裕の様子で、朗々と呪文を唱える。法則に則りつつもアドリブで。


『第5の火精! 燃え、逆巻き、消し飛ばせ!』


 精霊語のそれは文言通りに火の精霊を呼び出し、命令どおりに私が吸収・放出に入った自エネを更に変換させ始めた。グルグルと腹の底から湧き上がる熱いエネルギー、それが変化した自エネの感覚だ。

 そして、更に呪文を唱えることで魔法を放出するトリガーとする。


「カムル・ラ・フレス!」


 瞬間、光の速度で魔法陣が地面に展開し、敵の真下から爆炎が天に向かって巻き上がったのだ。中に居た魔物は一瞬で炎に撒かれ、奇声を発しながら藻掻き苦しみ、それも徐々に黒焦げて動かなくなって地面に倒れてから、そのまま粉々の灰となって散っていった。そして残ったのは紫色に輝く石の欠片。

 なんだ、一発で沈んだか。弱いなぁ。

 しかし、呪文を使うのは始めてだが……いいね! 魔法使いになったって感じがしてロマンを感じるのだよ! ロマン! これぞファンタジーって感じがするじゃん?


 と、一人で感慨深い気持ちになっていると、ふと我に返って背後を確認する。

 こちらを驚愕の眼差しで見つめる魔法士達である。おっと、注目の的だったな。

 さっさと用件を済ませて消えるか、と、私は尻もちついてる彼に声を掛けた。もちろん、後ろ向きでな! だってその方がかっこいいだろう?


「いつまでそこに座り込んでいるつもりだね? この程度の魔物相手で苦戦されても困る。……だが、死ななかったのならば重畳だ。お前に死なれでもしたら、こっちとしても不都合だからな」

「……貴方は、いったい……?」

「馬鹿の一つ覚えのように同じことしか言えんのかね? 結構、ならばずっとそこで無様に転がっていればよい。……私は役目を果たした。もはや留まる理由もない」


 嫌味が止まらないんですけど、どうなってんだ言語システム。誰だこんなの作ったの! 私だ!!

 なんかいたたまれない気分になったので、早々に時空を移動する魔法を行使してさっさと消える。

 ああ、なんか緊張したかも。……いや、外面はそうでもないんだけどね。だって姿見て話しかけられるの、久しぶりだし。


 さーて、やることやったし、帝都に向かってから何しよう?

 とりま、なんとなく冒険者にでもなってみようかね。セオリー通りに。

 せっかくの現世、目立ちすぎないレベルで楽しんでみようかな、っと。



※※※



 そして着きましたるは人種最大の規模を誇る帝都、デグゼラス帝国の首都ケンタックだ。ケンタッキー州かな?


 ともあれ、ケンタッキーに着いたはいいけども、目につくのはその巨大な城壁かね。数十キロほどの帝都全てを覆う城壁がずーっと続いてるんだがね、この東西南北四方に設置されてる城門が唯一の出入り口だ。

 ほんで、城門を通るには門を潜るんだけどさ、その前の窓口みたいな場所で、審査官が入都する者達の検問をしてる。ズラーッと並んだ商人とか旅人の列を見ながら、何を審査するんだろ? と思いつつ、ちょいっと時を止めて審査してるところを覗いた。

 なんとも、旅券らしき物を渡してそれを記載してるね。ブラックリストらしき手配書も並列して確認して、中に入れているようだ。まさにペーパープリーズ! あと、入都税ってのもあるらしく、市民じゃない者は一定期間を出入りするための税金を払わなきゃいけないんだってさ。おやま。

 そんで、この旅券ってなんじゃらほい、とか思ったんで調べたところ、どうやら自分の故郷で身元を保証してもらえば、この旅券が最寄りの町で発行されるようだ。ようは戸籍の仮証書ってわけね。 

 で、旅券が必要なのは大都市なので、ここに来るまでに人々はどこかの町で必ず旅券を発行してもらっているわけだ。ううん、意外と近代っぽいシステムだな。さすがファンタジー。もちろんのこと、私はそんな戸籍なんざ存在しないので、適当に前の方に並んでいる人の旅券をコピーして偽造する。

 ほう、デグゼラス出身か。で、名前は……適当でいいか。カロンでいいよ、渡し守っぽい名前で。

 で、よくわからんマークの羅列に、ちょっと豪華な旅券証書。他の旅券って木製なのに、これは羊皮紙という豪華仕様。うむ、私には相応しい旅券だな!

 というわけで、私は時を止めたまま前の方の列にちょいっとやってから隙間を開けて、そこに入り込む。で、周囲の連中の認識と記憶を催眠でちょいちょいっと弄って……はい、時は動き出す。

 何事もなく動き始めた周囲は、私が入り込んでいることに気が付かない。そりゃそうだ、神の御業を理解できる定命の者はいまいて、ふははっ!

 神様気分を堪能していると、あっという間に順番が来たので、審査官に旅券を手渡した。


「……これはこれは、特別査察官殿! 任務ご苦労さまです!」


 ……あり?特別査察官? どういうこっちゃ?

 ……ああ、このマークって査察官ってことなのか。で、名前のとおりに重要な役職だ、と。っていうか、明らかにお役所人だよね。ははぁ。

 敬礼されながら見送られた私だが、しばし離れたところでちらっと背後に意識を向けて千里眼。

 で、見えるのは口論している、いい身なりの男と審査官。なんかさ、偽造旅券だとか騒いでて大変な騒動になってる。……ああ、私が偽造したせいか。悪いことしちゃったかなぁ! はっはっは!

 ま、ともかく、また時を止めてからさっきの場所に戻り、審査官の持ってる紙片に書かれてる私の情報を指でなぞって消しておく。あと記憶も消しておいて。で、周囲の記憶を更に弄って、今の騒動を無かったことにしてから、私は退避してはい再始動。

 ハッとなってから人々は何事もなく審査を続け、身なりの良いお役人さんは何事もなく通って行った。うむ、これで万事解決! 神は何でも出来るから楽だなー。



 さて、城壁の中に入ったわけだが、入ってすぐに街があるわけではない。この世界には魔物が存在しているので、帝都のような大都市は城壁内に大農地を抱えているのだ。つまり、城壁に入って見えるのは丘陵と平原と農地。大都市とは裏腹に牧歌的な光景である。

 うららかな日差しの元で畑仕事に精を出す農民を横目に、私はトコトコと街道を進んでいく。で、視線の先に見えていた2つ目の城壁と城門に辿り着き、そこでは審査もなくスムーズに通ることが出来た。城壁が二つあるのは戦争を考えた作りなんかね?

 そして入るのは、帝都ケンタック。

 ひろーい大通りは石畳が敷き詰められ、その通りの左右には商店が所狭しと並べられ、まっすぐに王城まで続いている。典型的なファンタジー風な町並みっすね。や、確かに曲がりくねった道だと凱旋とか軍隊の出動とか大変そうだけども。そして大通りの向こう、少し丘陵を上がった先に見えるのが、皇帝の座するデグゼラス城だ。青の屋根と尖塔が良く目立つ、白い壁のお城だな。

 しかし歴史が違うのに中世風な建築様式だな……ああ、我らの認知のせいか。ファンタジーはこうあるべし!って意識が働いてて、それが定命の者達に直結してるんでしょう。


 帝都に入ったはいいんだけど、人並みを眺めてばかりでは始まらないので、適当な場所で宿でもとろうか。こういう場合、宿と言えば良いところを選ぶべきであり、つまり良いところってのは大通りに面した場所を指す。

 で、案の定、金持ち向けの宿があったので、そこに入って宿を取りたいと主人に言ったら、嫌な顔をされた。魔法使いでも金持ってるように見えなかったから塩対応なんだろうけど、そう侮られると私としても楽しくなるので、金貨1枚(1万デニー)をテーブルに放り捨てれば、目の色変えて態度も変えた。ははは、これだから人を驚かせるのは楽しいなぁ。私は愉快犯なのだよ。

 そして案内されたのは、宿で最も豪奢な部屋だった。大理石みたいな文様のあるツルッと磨かれた壁に、刺繍の見事な赤いカーペットとレースのカーテン、天蓋付きベッドに何重にも重ねられた布団、マホガニーっぽい芸術嗜好な椅子とテーブルに、花の生けられた花瓶にドレッサー、壁にかけられた絵画、エトセトラ。私の知る現代のホテルよりはずっと質素だね。ベッドはスプリングが無く硬いので、それを布団でごまかしてるようだ。人種の知恵を絞った工夫を感じさせる。

 そんなひろーい、何人でも寝泊まりできる場所で一息ついてから、街に出てみることにする。といっても、手荷物なんて無いんだけどね。宿の主人を千里眼で見てみれば、私の渡した金貨が偽物かどうか天秤使って鑑定してるけど、偽物と見抜けなかったようだ。いえ、ほぼ純金で意匠も全く同じなんで、見抜くことはできないと思うけども。

 その主人に出かける旨を話せば、宿付きの使用人と一緒にへりくだるように揉み手で頭下げて見送ってくれた。あからさまだけど、ああいう態度は嫌いじゃないなぁ。


 さて、宿を取ったはいいけども、私もちゃんとした旅券を発行したいな。さっきみたいなのは面倒だし、誤魔化すのも時間の無駄だ。と、時の神が思ってみる。時間は有限なんだぜ?

 そして、帝都には旅券の発行もできる、いわゆるお役所が存在しているので、そこに赴いて発行手続きを行う。え、自分で作らないのかって? それじゃツマラナイじゃんねぇ? 記念だよ、記念。

 ……しかし、帝都に入るには旅券が必要にも関わらず、帝都内で旅券発行って必要なのか? とか思うかもしれんが、これにも必要な状況ってのがある。帝都出身だとか、帝都内で旅券を盗まれたとか、はたまた旅券を持ってくっついて来た人が新たに取得する場合など、様々な状況がある。ま、いろんな状況に対応するのが役所の仕事なんでしょ。

 私は当然、帝都出身ではない。が、そこは神様の手腕の見せ所で、時間停止からの帝都住民の戸籍表をぺらっと書き換えて私の名を追加。それと天涯孤独で住所不定無職の魔法士って事にしておく。ニートとは言わないでください。

 発行には1日かかるってことで、明日の朝に取りに来ることにしよう。そうすれば旅の問題も万事解決である。うむ、神って楽ちんでいいなぁ。クセになりそう。

 ……え、公文書偽造に通貨偽造は犯罪だって? ははは知らないなぁ~! 神に定命の者の法律なんて通用しませんぜぇ~!


 犯罪行為に手を染めてから、大通りの商店を見て回る。面白いもので、食料品店に家具店、オーダーメイド服飾店や古物商などなど、いろんな趣向の店がある。中でも面白いのは、おそらく魔法関係の専門店だろうか。若い魔法士のお嬢さんが経営していて、主にポーションとか錬金術製のアイテムを売買している。彼女、どうやら皇女ちゃんの教え子のようだね。大成して大きな商店の主になってるってことは、才能ある子だったんだろう。とりあえず記念に一番高いポーションを3つほど購入してから店を出た。私には不必要だが、まあ誰かにあげればいいか。或いは家に飾っておこうかな?


 大通りを進めば途中で噴水広場がある。噴水はわりと最近改築されたみたいで、かなり盛大、かつ多量の水が吹き上げられている。帝都の栄華の象徴的存在なんかね?

 なお、噴水のポンプは錬金術製で、これも自エネを消費しているが、まあ水の元素のみだし、さして弊害は無いのでお目溢ししている。ただ、この王都周辺では水系魔法を扱うのは難しいだろうけども。場所によって属性難易度が上がるのも魔法の特徴だ。

 その噴水広場は憩いの場……ではなく、主に露店が外周にまで溢れるマーケットになっているようだ。景観が台無しだが、まあこれはこれで活気があっていいんでない?

 各場所には露店台が固定で設置されているようで、二段構造になっているな。上に商品並べて、下の段に在庫を置くのが普通の使い方で、応用だと天板に穴空けて壺を固定してワインを売ってたり、囲炉裏も付いててそこで肉とか煮込みも作れるようだ。ははぁ、考えてるなぁ。場所代とレンタル料は高そうだけど。

 露店は実にさまざまな人々が忙しなく働いていて、大勢の客と切った張ったの根切り交渉の大嵐。商魂たくましいものだ。

 なんかね、祭りの露店を思い出すなぁ。私が子供の頃はよく祭りに行ってはタコ焼き食べてたなぁ。で、光源に釣られた虫がタコに寄ってきてて、なんとも言えない気分になるんだ。知ってる。


 さて、露店を冷やかし半分、買い物半分で見て回ってみる。食べ物関係は、まぁタコ焼きは無かったんだけどね。タレの乗った獣肉の串焼きとか、匂いだけで腹が減ってくる感じがするので、勢い余って買ってしまった。ちょっとボッタクられた気がするが、まぁこっちは無限大の資金持ってるんだ。ちょいとイロをつけて渡したら、目を丸くされたけどいい笑顔で串二本貰っちゃった。得した気分だぜ! なお通貨偽造(略)

 ガジガジと肉を齧れば、なんか照り焼きっぽい感じのタレと、やや固めの肉の食感が返ってくる。歯ごたえはたっぷり、舌触りも悪くなく、程よい感じに焼けてるので温かさに舌鼓を打つ。味? ノーコメで。

 お腹が空いてたのか、随分と勢い込んで食べてしまったぞ。ううん、神界で食べるものより、なんとなく美味しいと感じるのはどういうわけか。やっぱ空腹は最高のスパイスって事かね。最近じゃ、一人だと何も食べなかったから。……うん、今度はヴァルスとエルシレアちゃんでも連れて来ようかなぁ? 一緒に巡ったら楽しそうじゃん。


 おっと、なんかあっという間に食べてしまったので、次行ってみようか。

 まだまだ食い道楽は始まったばっかりだぜ!





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