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2ページ目 変化

1年目2月22日


 1週間後、白百合優は総理大臣に例のことで動いてくれるように話した後、多くの議員の前で演説した。

 表舞台のマスコミに見つからないようにこっそりと能力も使って、この場で説得すれば巨大な力で変えられるから本気を出した。


 そんなみんなの神様であり、みんなの孫や娘である優の説得でこの件は無理矢理にでも通すことが決まった。


「ふぅ、疲れたわね」


「お疲れ様です。ご兄弟の皆さんも」


 優の夢空間で行われた演説は年寄り達が夢から覚めることで退出して終わった。

 残って椅子に座り込んだ優のそばには総理と侵入者の排除のための妹達だけが残っている。


「広い講堂を作るのは簡単なんだけど、そこにバラバラの場所にいる人を集めるのは大変なんだよね。しかも午前5時に起きて呼ぶのが」


「さらに1時間の演説でしたからね。本当にお疲れ様でした。暇があればおごりますよ」


「そのうちね」


「それでは失礼します」


 この会話の終わりに総理も出て行った。

 これで兄弟だけになった。


「さて、疲れたけどみんなの連絡事項は聞くよ」


 優は長女として威厳を出すためにしっかりと椅子に座り直した。

 その姉に言うことのある雪菜が話した。


「私からの報告です」


「うん。なんとなく分かるけど言って」


「〈プリンセス・ザ・リッパー〉ヒカリお姉ちゃんと〈ポイズンキラー〉アカリお姉様が今日の9時に帰国するそうです」


「最悪な二つ名をお土産に帰るとはね。2人とも何をしてるんだか」


 こんな会話だけで優はため息をついた。

 それ以外の兄弟は全員2人の姉を警戒している。

 夢の支配者でも勝ちにくい相手が帰ってくるとなれば、弟達も妹達も警戒するのが当たり前だろう。義兄弟なのだから。


「とりあえず、もう少し寝るわよ。それからあいつらを出迎えるわよ」


「はい!」


 優がそう言うと一同勢いよく返事した。

 その中で雪菜は姉の帰りを喜んでいる。しかも、もう一つお土産があるからドキドキしている。












 午前9時頃、数人の執事の運転で白百合の豪華な面々が空港に姿を現した。

 着物の優にタキシードの楽斗、ドレスの秋菜、メイド服風の恵、その他おしゃれな兄弟達、そんな面々が執事も連れずに次女と三女を待った。


「くくっ、遅かったねぇ」


 少し経って優の背後に殺人鬼のヒカリが立って、その首元に能力で刃になる指を当てた。

 そのヒカリの隣に静かなアカリが立っている。


「早すぎ。でも、暗殺なら失敗だよ」


 そう言うと優はヒカリの攻撃範囲から能力で脱出した。

 夢入りという技で一時的に体ごと夢の世界に入ることで瞬間移動のようなことが出来る。

 それで逃げられてもヒカリは慌てることなく少し離れた優に向けて攻撃をした。


「お姉様、逃げないでよ!」


 殺人鬼の殺気のこもった目で言いながら空気に乗せた斬撃を飛ばした。


「失せろ」


 それが顔面に当たる寸前で優は一日一回限定の自分の願いを叶えることで消すことに成功した。

 これで今日は一部弱体化したが、一般人さえ周りにいなければ刀で相手できるから無意味だ。


「お姉様、ただいま」


「ヒカリ、アカリ、おかえり」


 ついさっきまでの殺伐としていた空気は一瞬で普通になった。

 アカリが優に勝てないと判断して諦めたのだ。


「それで、あなた達は何をしにイギリスに行ってたの?」


「私の目的はイギリスにあった別荘に残してきた両親の遺骨の回収だよ。いつまでも異国に残すわけにはいかないからね」


「私の方は恨みを晴らすために極秘研究所をガレキにすること。私に毒を打ち続けて能力と毒の効かない体を作ったことを許してない」


 優の質問に素直に2人は答えてくれた。

 その答えを聞いて優は2人の罪を一緒に背負う覚悟をした。


「10年前のお金持ち失踪事件、および児童誘拐事件、その被害者達。私はあなた達を責めるつもりは無いわ。今回のことで裏の顔が知れ渡ったとしても、それも武器として使うだけよ」


「お咎めなしか。八つ当たりで10人の女性を消したことも、アカリに付き合って研究所を破壊したことも許してくれるのか」


「まぁ、一応は研究所にいた他の被害者も助けたからね。それくらい寛大で居てくれないと困るよ」


 そんな犯罪者の2人があることを思い出して兄弟から離れて誰かを呼びに行った。

 それから2人はそれぞれ2人の女の子を連れてきた。


「紹介するよ。研究所で助けて私の物にしたアリシアだ。〈改造人間〉で能力持ちなんだよね」


「初めまして、〈人間銃〉の能力を持つヒカリの彼女です。日本語は理解できます。母が日本人だったので」


「こっちも紹介するよ。私が助けて口説いたらついて来てくれるようになったカミラ。〈電気人間〉で私のように自在に電気を扱える」


「拷問のような電流から救ってくれた。そんなアカリのためなら体内の電気を全て使ってでも守ってみせる!あっ、僕も彼女で日本語は父のお陰で分かるよ」


 こんなおかしな出会い方でも2人の妹は幸せを手に入れた。

 一番頭のイカれた2人に先を越されてショックを受けない兄弟はいないだろう。

 そんな2人の恋人達を優は快く受け入れて白百合の仲間入りさせることにした。


「そうか。君達は妹達の恋人なんだね。なら、うちの百合の花の家紋はあげられないけど敷居をまたぐことは許可するよ。ようこそ!異常な白百合家へ」


 長女がそう言うので他のみんなも受け入れた。

 これで家も変化を遂げた。

 このヒカリとアカリは後で色々な場面で活躍するが、それはまだまだ先の話し。

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