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自己紹介

 彼女が渡してくれたネックレスのおかげで会話できるようになったので、さっそく自己紹介をお互いにする流れになったんだけど…………

 

 「それじゃ軽く自己紹介をするわね。私の名前はフレア、一応冒険者みたいなことをやってて、依頼を受けて森を見ていたらあなたを見つけて保護したってとこね。それであなたはどうしてあんな森で迷子だったのかしら?」


 「あの時は助けていただいてありがとうございました。俺の名前は九龍(くりゅう)っていいます。森にいたのは………」

 問題がそう、ここにあるんだ。

彼女の当然の質問に言葉が詰まる、現状をどう説明したらいいのかわからないからだ。

正直に自分の身に起きたことを伝えるならば、「地球という異世界からこっちの世界に飛ばされて挙句の果てに体まで奪われました、周りは見知らぬ森で困っていたころを助けていただいてありがとうございました」…………これをありのまま伝えても信じてもらえるのだろうか?

 まだこの世界のことを俺はなにも知らないけれど、それでも今の俺の状況はそこらに転がってるような出来事ではないのは間違いないだろうし、説明しても信じてくれない可能性が高いなら、誤魔化したほうがいいのかな?

……

…………

 

 う~ん、やっぱり彼女の信頼を失いたくはないからそれっぽい感じで尚且つ見捨てられないような感じの自己紹介をしてこの場を切り抜けた方がいいよな。

命の恩人に対してすごく申し訳ない気持ちがあるけど…………

 全部正直に話して問題がなさそうなら後で話す感じでさ、おそらく「なんでそんな大事なことを隠していたのよ!」みたいな感じで怒られそうだけど。


 「えっと、森を彷徨っていたのは家に帰る途中で、いきなり魔法陣みたいなのが現れてどうすることもできずにいたら、あの森に飛ばされていたんです。ジッとしてても明るい未来が待ってそうになかったから、とりあえず探索して街を探していたら、フレアさんに助けてもらったんです、本当にありがとうございました」

そう言って、彼女に頭を下げる。

全部を話せなかったことに対しての謝罪も込めて。

 説明する際に敢えて若干本当のことを交えて話したのは、完全な噓でのごまかしよりも効果があるってどっかのTVでやってたから応用してみたけど、言葉にするとやっぱり申し訳ない気持ちがくるな…………命の恩人に噓はつきたくないよ。


 「ふ~ん、おそらく転移魔法ね。あの魔法を使えるだなんて高位の魔法使いだろうし、そんな人に狙われるのは運がないわね。そんな状況じゃ頼る相手もいないだろうし、当分は私が面倒を見てあげようかしら?」


 「えっ? いいんですか? こんな怪しいやつなのに」

自分で言うのもアレだが、怪しすぎると思うんだけど。


 「いいのよ、クリューちゃんは信用できそうな予感がするから」

 まじですかい、こんなどうしようもない男に対して、フレアさん天使すぎるよ。それに比べて俺のこの情けない感じよ。見捨てられるのを恐れて隠し事してるとか情けなくて涙が出るな。


 「ええっと、それじゃあこれから、その、よろしくお願いします、フレアさん」


 「う~ん、硬いわね。これから一緒に過ごすんだからもっと柔らかくていいのよ?」


 「へ? あ~これからよろしくな、フレア・・・こんな感じですかね?」

 

「う~ん、柔らかくなったけど今度は可愛らしさが欠けてるわね。まあ今日は我慢してあげるわ」

…………申し訳ないが可愛らしくはさすがに無理だよ。


 


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