服を変えても・・・
「おかしい、なんで視線が減らないんだ?」
そう文句を言いたくなるのは仕方ないだろう。
「クリューちゃんは服を変えてもかわいいから仕方ないわ♪」
俺の悲しみをサラッと受け流すフレア
そもそもこんな虚しいやりとりをするはめになったのは、服を買ったのにこれから会う予定の人がいるならドレス姿で会うのもおかしいと思ったからなんだ。
だから今着ているのは買った中でも最もシンプル(それでも少しフリフリなやつがついてる)色は白を基調にした服に着替えたわけだけど………………………………なんで視線が消えない?
確かに好奇な眼で見られることはなくなったからか、視線が減ったようには感じる、、、だけどねっとりとした視線がちらほらと感じるような気がするんだよなぁ・・・たぶん気のせいなんかじゃない、今も隣の男がこっちを見ているからな。
ああ、そうなんだよ、男なんだよ、感じる視線が大体男なんだよ、女性の視線が感じられないんだよ!!!
ん? どこからか女性の視線があるような………ってお前かい。
目を向けた先にはニヤニヤしているフレアの姿が、かわいい容姿でもこんな顔してたらイラッとくるな。
「そのにやけ顔はやめてくれ、女性がしていい顔じゃないし、色々と台無しだから」
本当にいろいろ残念で仕方ない。
「だってさ、少し疲れた顔で不貞腐れている表情があまりにもおいしそうだったから♪」
表情がおいしそうとか聞いたことがない言葉は勘弁してくれ。
「で~も、クリューちゃんにあの下卑た視線を向けるのはいただけないわね、×××をちょん切りたくなるわね」
怖いです、隣の人が怖いです。
さっきまで笑ってたのに今は目が死んでる。
多分本気で言ってるからとても怖いです。
「そ、そんなことよりも今から会う人ってどんな方なんですか?」
恐怖心からか敬語に戻ったが、特に気にした様子もなく答えてくれた。
「魔法と歴史については多分世界一の知識があるんじゃないかなって、思う人かしら、あと正確に言うなら人ではなくエルフね」
!!!
ktkrエロフ、訂正、エルフ。
博識系エルフとかこれは期待値高まりますねぇ!!!
これで包容力ある方だったらもう、男のロマンじゃないか。
己の煩悩が全力で攻撃してくるだろうと予測されるが、無事に自己紹介して、いい感じなムードに持って行ってやる。
ん? フレアがいるじゃないかって?
猛獣を愛でる程の実力があればなー、俺にも手が届いたんだけどなー(棒読み)
この半日でフレアの性格と扱いは理解できたからな。
「――――――じとーーー、なんか悪いこと考えていないかしら?」
…………心の中を読むんじゃねぇ。
「そ、そんなことはないさ、ただその人に早く会いたいなって思ってるだけだよ」
誤魔化すときは本当のことを混ぜると効果があるって聞いたからここで試すが…
「ふ~ん、まぁ今回だけは見逃してあげる、でも次は食べちゃうからね」
効果はないようだ。
そんな感じでふざけながら歩いていたらフレアが止まった。
「着いたわよ」
…………え? ここ?
見上げた場所はデッカイ家だ、本当にデッカイな・・・
えー、こちらの家を一言で表すなら外装は白で庭には緑がいっぱいのとても大きな家ですね、恐らく2階もあると予測されます、これからこの家の博識系美女エルフの方とキャッキャウフフする予定ですので現場からは以上です…後はスタジオのフレアさんよろしくお願いします♪
なんてな。
エルフなんていかにもなファンタジーに出会えるとなるとちょっとばかり浮かれてしまう。
「また馬鹿な事考えているでしょ、さっき言ったわよね次は食べちゃうって…今夜は寝かせないから覚悟しておいてね♪」
…………だから心を読むんじゃねぇっつの。




