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普通の服を買う

 紆余曲折はあったもののじっくりと店内を見て回りいい服がないかを探す俺たち、やたらとゴシックロリータってやつ?(女性の服なんて詳しくわかってないため疑問形)ばかり勧めて来るけどそれを避けて、シンプルなデザインの衣装のみを選んでいく。


 「今更だけど本当にこんな高そうな服でいいのか、そこらへんの安いやつでいいんだけど、世話になってるんだから服ぐらいは適当でいいって…」

ここの店にあるような服はザッと見た感じ街の一般の人たちが着ているものよりワンランク上の感じがするんだよね。

そりゃ質のいい服を着たいっていうのが本音ではあるんだけどさ、それで迷惑はかけられないし。


 ちなみに値段は、金貨~枚とか 銀貨~枚とか書いてあるんだけどこれがいまいちよくわからん。

屋台の時も宿の時も全部フレアが払っているからなぁ。

あれ、俺、クズじゃね…

ダイジョブ、オレ、ハタライテカエスカラ、タブン、キット、ダイジョブサ。


 「別にこのぐらいの値段なら大したことないわ、なんたって私は…………ねぇ、クリューちゃんはさ、冒険者を目指しているんだよね?」

何かを言いかけてから、そんなことを聞いてきた。


 「そりゃもちろん目指しているけど、それがどうかしたん?」


 「そう、よね。……………………私は、その、Cランクの冒険者だから一応はそこそこは稼げているの、だから問題ないわ、問題ないはずよ」

どこか自分に言い聞かせているような言い方をしているのが謎だ。

しっかしさすがにありえないよな。あのよくわからんデッカイ蛇をあっさり倒したから、Sランクとかのすんごい冒険者なのかなぁ、なんて考えてたけどそれはさすがになかったみたいだ。

でも俺の想像してるCランク冒険者像だと、人ひとり分の面倒を見れるかがちょっと疑問なんだよな、ましてや割高の服を当然のように買おうとしてるし、う~んなんかモヤっとするんだよなぁ。


 まぁそんなこと考えてもしょうがないか。

そもそも俺はこの世界のことは、な~んも知らないからな。

いつか図書館っぽいとこでも探して、常識を身に着けた方がいいかもな。あれもこれもフレアに聞くわけにもいかないからね。


 「フレアが問題ないって言うならいいんだけどさ、借りた分は体できっちり返すから待っててくれな」


 「ふぇ?! 体って、…………………えええぇ!!! 体で払っちゃうの、いいの? 容赦なく食べちゃうわよ。 私は優しくできないからね、覚悟してよクリューちゃん」


 「いやいやまてまて、体で払うって労働でって意味だからな、不純なアレのソレじゃないからな!」

とんでもない方向に誤解したフレアに慌てて訂正する。


 「ぶーぶー、クリューちゃんのケチー、そんな完全否定しなくてもいいじゃない。…それとお金のことなら本当に気にしなくていいわよ、前にも言ったけど面倒を見るって約束したでしょ」


 「わかった、そこまで言ってくれるならもう気にしないことにするよ、それと完全否定したのは、その、あれだ、…男に興奮なんてしないタイプっていうか女性が気になるっていうか、つまり、そのだな、…遊び半分でもこっちは本気にしちゃうからやめてほしいなって…」

―――――――――――ッ!!!恥ずかしいわ!!!!!!

でも、そうゆうことをはっきりとしないと「お風呂を一緒に入りましょう」とか言われそうだし、ちょっといやらしい感じのボディータッチとかされそうだから、予防するためにもここははっきり言った方がいいと思ったんだけど、やっぱり恥ずかしいよ!


 「ふ~ん♪ クリューちゃんってそっちの気があるんだ~意外ねぇ~♪ そんなに小さくてかわいいのに男が嫌いなんて余程の事があったんでしょう? 大丈夫よ私は優しくできるから、ね♪」

………ちょい待てい。

フレアさんやあんたさっき「私は優しくできない」って言ってただろ! 信用できねぇわ!!!

ってそこじゃなくて、手を出してこないように牽制したつもりなのに全く効果がないじゃねぇか!!! 

返せよ俺の羞恥心返せよおおおおおおおおおおお!!!


 ハアハア、疲れた。

もういい加減服を買おう。

こんな店の中でやることじゃなかったよな、店員さんが不思議そうな顔してこっち見てるし。

会話までは聞こえなかったんだろうけど、これ以上長居して怒られてもしょうがないからな。


 「ハァ~、手を出して、後悔しても知らないからな」

そう吐き捨てて服を買ってきてくれと促す


 「わかったわよ、それじゃこれとこれも追加してっと、買ってくるわね♪」

なんか最後にフリフリなやつが増えたような気がするけど、もう疲れたから止める気も起きないや。

まだ異世界にきて2日目だってのに、このざまだからなぁ、これから先、体を取り戻す云々以前に普通の生活ができるのか心配なんだよなぁ。


 

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