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第65話:脱獄方法

「そろそろ話を進めてもよろしいですか?」


ミナに何を言われたのかは知らないが、マイカの顔が少し変わったというか…悩みが吹き飛んだかのような感じになったのでそう聞くと


「うん、私はソウジ君と一緒に戦場へ行くことは出来ないけど、その分別のことで色々とサポートさせてもらうから任せて!」


……なんか俺がした質問に対しての返答おかしくない? もうそれ完全に内輪での話になってるよね。まあマイカがあのまま落ち込んでるよりはいいんだけど。


「よく分かりませんが取り敢えず話を進めます。え~と、どこまで話したっけ。……ああ、そうそう。今回勇者らしき人物によって爆弾が使用されたのは確かです。しかしそれで牢獄の周りに張られていた結界が壊されたわけではありません」


「さっき陛下は自分以外は絶対にあの結界を壊せないというのを聞いてずっと気になっていたんですけど、じゃあどうやってあの人達は脱獄したのでしょうか?」


このクロエの質問の答えるために俺は別の簡易図を画面に映し出し


「まず、左側にあるのが爆破前の牢獄とその周りに張られている結界の簡易図です。これを見て分かる通り私は結界で牢獄を丸ごと覆うのではなく、コの字の状態で結界を張りました。つまり地面の下はがら空き状態だったということですね」


「一応言っておきますが私達の国の宮殿はもちろんのこと、殆どの結界はコの字型で張られています。またそれが一般的ですので何もご自身のミスかのように仰らなくとも……」


どうやらレオンの親父は脱獄方法に検討がついたらしくなんかフォローしてくれた。


「それに結界をコの字に張るのは常識。というか全体を綺麗に覆うとしたら途轍もない技術力が必要になるし、そんなことが出来る人物など少なくとも私は見たことがない。まあその代わり何者かが結界に何か悪さをしようとした瞬間責任者へ伝わるようにはなっているが。それはお前も対策済みだったのだろ?」


「ええ、もちろん。あの時だって結界が異常を察知したからこそ即時現場へと急行したわけですし」


なんかミナが不機嫌そうな顔をしながら小声で、『私達はそんなこと一言も聞かされてないんですけど』とか言ってるけど無視しよ。


「あの~、何だか皆さん脱獄の原因が分かってるみたいで申し訳ないのですが…私としてはちゃんと説明してほしいかな~、っと」


「では折角用意したもう一つの簡易図もあることですし、一から説明していきましょうか」


そう言い俺は先ほど出した簡易図の隣に、爆破後の簡易図を出し


挿絵(By みてみん)


「クロエさんの顔を見た感じもう分かったようですが一応説明させていただきます。といってもこの図を見れば馬鹿でも分かると思いますが…まあ簡単な話、結界は壊せなくとも外から地面に穴を開けちゃえばいいんですよ。魔法を使用する場合だとどのくらいの規模の威力で、それを最低でも何人必要なのかとか私は知りませんけど、少なくとも爆弾に関しては威力を強めるだけでいいので一人で十分でなんですよ」


「確か石で固められた地面を、しかも人が通れるくらいの穴を開けるのってかなり大変でしたよね」


「大変というのは勿論のこと、かなり目立つというデメリットもあるためそんな簡単に出来るものではありません。何故なら魔法を使って穴を開けようとした場合どこか一点に集中砲火しなければいけませんからね」


そう、ミナの言うように魔法でそれをやろうとすればそこに人が大勢集まらなければいけないのだ。そのことには俺も初めから気付いていたし、それを警戒して監視カメラも多めに設置していた。しかし結果は失敗。これは完全に油断していたとしか言いようがない。


「あの、これは別に陛下を責めているとかではないのですが…クロノチアの勇者様がもしこの国を狙ってきた場合、このお城も危ないんじゃないですか?」


「そのことならご安心を。その件に関しましては既に対策済みですので、二度とあのような手は通用しませんよ」


「そういえばソウジ君達が帰ってきた日、このお城の周りを凄く綺麗な女の人と二人で歩いてたけどあれのこと?」

 

余計なことを……。お陰でミナが凄い勢いで椅子から立ち上がったぞ。これは絶対に怒ってるな。


「ちょっ⁉ 誰ですかそれは‼ 私知らないんですけど!」


「後で事情を説明いたしますので少々落ち着きください、お嬢様。それにまだ会議の途中だというのにはしたないですよ」


「いいから早く白状してください! 浮気ですか? それとも浮気ですか? というか浮気でしょ⁉」


あの女の正体をここで言えるわけないだろ。一部国家機密が含まれてるっつうの。


「はあ、一応話したかったことは全部話し終わったからもう会議は終わりな。ということでミナは二人の対応をよろしく。あとさっきの謎の女の正体が知りたければ―――にでも聞きな」


名前の部分だけミナと、ついでにマイカにも念話で伝えた後…有無を言わさずに親父二人とミナをリビングへ転移させた。


「えっ? ええ゛っ⁉ あのあのあの、ミナ様とかマリノ王国の国王様とか宰相さんがいきなりいなくなったんですけど⁉ ちょっ、これ大丈夫なんですか?」


「どうせミナの質問攻めを回避するためにソウジ君が転移させたんでしょ?」


正解です。よく分かってるじゃねえか、流石は俺の秘書。まだ一回も秘書っぽい仕事させてないけど。


「ミナのやつ、基本的には姉というか…お姫様として相応しい態度を取ってるのに、たま~に妹みたいになるから困る。少しは同い年のリアを見習えよ。しかも自分でハーレムを推奨してるくせして浮気って……」


「う~ん、ミナ的には自分が認めた人ならセーフだけど、どこの誰かも分からない人が相手だと浮気になるんじゃないかなぁ。やっぱりソウジ君は他の国の王様と比べてかなり特殊だし、女性関係については結構気を付けてるんだと思うよ」


そういえば少し前にティアも似たようなことを言ってたな。確か……『顔に傷を付けるのと、外で女を作るのだけは止めておくれよ』だっけ。前者は兎も角、後者はこっちからお断りだっつうの。


「お話の最中申し訳ないのですが、先ほどの会議で気になったことをいくつか聞いてもいいでしょうか?」


「ん? ああ、別にいいぞ」


「では早速一つ目の質問ですけど、結局このお城にはどんな対策を施したんですか」


いきなり国家機密を聞いてくるとか強気すぎね? 別に教えてもいいけど。後でおばちゃんに注意するよう言っておこ。


「さっきも話したが今回クソ勇者に標的にされた結界はコの字型だったから脱獄されただけで、結界自体には傷一つ付いていない。つまり今度は建物を丸ごと囲えば問題解決。あとは内緒」


ブノワの親父の言う通りそれをするにはかなりの技術力が必要なようで、チート持ちの俺でも上手く出来なかったけどな。


「………こんなとんでもない王様がいる国に喧嘩を売るなんて、私はクロノチアの皆さんと勇者様に同情しますよ」


やはりマイカ的には俺が人殺しをすることに対して抵抗というか気にしてくれているようで、少し心配そうな顔をしながら


「守りが万全なのは分かったけど、結局あっちが攻めて来たらソウジ君はどうするつもりなの? さっきの会議では何も言わなかったけど」


「大まかな対応は考えてあるけど、こっちは今回参加してないティア達戦闘組と相談してだな」


勇者は一つだけ特別な力を使え、目撃情報としては魔法の杖と鉄の馬車の二つに加えて今回の爆弾。まあ爆弾に関しては過去に召還された勇者が伝授した可能性もあるが、あれは明らかに透明のビニールが爆弾を包んでいた。つまりこの世界で作られた物ではないということ。


そしてそこから予想される勇者の力は―――――――。

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