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第23話:初めてのみんなで夜ご飯

俺はアベルを見送った後リビングに戻り、全員分のカレーを分け終え


「飲み物は自分で好きなのを選んで飲んでくれ。もちろん子供はジュースだけな。それじゃあ、いただきます」


「「「「「「「「「「いただきます」」」」」」」」」」


なんでか知らないが昨日のミナ達と同じくティア達もご飯を食べる前の挨拶を知っていたのでそれをし、それぞれが好きに動きだした。


「ティアは見た目は子供だけど、実年齢はババアだから酒を飲んでもいいけど、17歳って酒飲んでいいのか?」


「誰がババアじゃ‼ 誰が!」


「そんなことを聞きながら普通に果実酒に手を伸ばすのはどうかと思うけど……。この世界では綺麗な水はとても貴重だから、普段からワインとかを飲むのが普通なんだよ。だから年齢制限とかはないんだ」


「はあっ、嘘だろ⁉ いや綺麗な水が貴重だっていうのは分かるけど、普段からワインなんか飲んでたら毎日二日酔いだろ」


「まあ貴族が飲むようなワインならそうじゃろうが、庶民が飲むようなワインは圧搾回数が2搾目、3搾目の物じゃから度数でいえば1~2度くらい。そんなものジュースと変わらんじゃろ?」


言われてみればアルコール度数3%のほ○よいですらジュースっぽいのに、1~2%のワインっていったら完全にジュースだな。よっぽど酒が弱い人だったら話が変わってくるんだろうけど。


「でもどこでもブドウが取れるわけじゃないよな。そういう地域ではどうしてるんだ?」


「その答えは今ソウジ君が飲んでるじゃん」


「ん? あ~、そうか。別にワインじゃなくて果実酒でもいいのか。ブドウは取れなくても他の果物は取れるわけだし」


「そういうことじゃ。ついでに言うと御飯が食べられる店は殆どが酒場、逆にそうじゃない店は全て高級店と言ってもいいほどじゃな」


なるほど。つまり綺麗な水が必要になる紅茶やコーヒーは貴族が飲むような高級品であり、人数的には貴族より一般市民の方が圧倒的に多いんだから、酒場が殆どなのも頷ける。


「でも酒場だからといって普通の食べ物がないわけじゃないんだよ。パスタやパンは勿論、スープなんかもあるからお昼ご飯を食べに行ったりする人も多いし」


へー、仕事サボりたい時にでも行こうかな


「それで、お主はわらわ達に何を聞きたいんじゃ?」


「……このカレーライスってやつ美味いな。マイカは甘口だっけ?」


「うん、そうだけれど……。これ作ったのソウジ君だよね」


「あからさまに話を逸らそうとするでない。あとおかわりじゃ、次は甘口がよいぞ」


「お前は話を聞きたいのか、カレーが食いたいのかどっちなんだよ」


そんな文句を言いながら俺は席を立ち、代わりに自分がやろうとしたのだろうエメさんを手で制してティアのカレーをよそいにキッチンに移動した。


ちなみにエメさんはミナとリアーヌさんと話しながら、セリア達はセレスさんと仲良く喋りながら食べていた。前者は女子会、後者はお爺ちゃんと孫みたいだな。


「ほら、甘口カレー。ってかよく考えたらお前俺の専属メイドじゃねーか。なに主におかわり取りに行かせてんだよ」


「どーせお主はそういうのが嫌いなんじゃろ? わらわの心遣いに感謝せい」


「チッ、なんか納得いかねえ」


「ところで、ソウジ君は何が知りたいの?」


ティアが余計なことを言ったからマイカも気になりだしたか。まあ見た感じ一番聞かれたくないセリア達は喋ることに夢中みたいだし大丈夫か。


「聞きたいことは幾つかあるが、まずはティアが何故拉致られてたかだ。お前、強いんだろ?」


「ふむ。それはじゃな、一週間ほど前………」


話が長いので簡単に纏めると


・適当に空を飛んでいたらアリス・サラ・エレナ・リーザ・マイカの5人がどこかに連れて行かれそうなのが見えた為、上手いことそのグループに入り込んだらボハニア王国の城に辿り着いた。

・どうやら常習的に上層階級の奴らが気に入った女子供を城に連れ込み監禁、レイプ、虐待などを行っていたらしい。

・そのことに気づいたティアは人の記憶を改変する魔法を使い、片っ端から関係者の記憶を弄って被害者を逃がしていたら俺達が現れたと。


「随分と物騒な魔法が使えるんだな」


「な~に、結局は使い方次第よ。それにあれを使うには結構な魔力を使うからのう。最後に残ったマイカ達は明日逃がしてやるつもりだったんじゃが、その前にお主がゴミ共を一気に掃除してしもうた」


「それで、現場を見たのはティアだけか?」


初めてあの子達にあった時、多少の怯えはあってもそこまでではなかったので心配はいらないと思うのだが……。


「安心せい、子供達は勿論マイカも見ておらん。セレスとエメに協力してもらって、わらわがゴミ共の記憶を弄ってる間はその2人が面倒を見てくれておったからのう」


「そうだね。ティアさんがいない間も2人がいてくれたおかげで怖くなかったし、私だけじゃ面倒見切れなかっただろうから正直助かったよ」


「それは2人に感謝だな。んで、セリアとティアはどういう関係なんだ? あいつボハニア王国の王女のくせしてお前らと同じで汚れた服着てたよな」


たった一週間とはいえ同じ服を着続けていたんだ、ティア達5人の服が汚れていてもおかしくはないがセリアは違うはずだ。さっき本人から聞いた話だとかなり大切に育てられていた感じだったからな。


「なんじゃ、お主もセリアのことを知っておったのか」


「まあな。さっき本人から聞いた」


「そうか……。ならばお主には話しても良いかの。どうやらセリアは自分の親やこの国の貴族共が嫌われているということは知っておったようじゃが、まさか一般市民を強引に連れ去って色々していたことまでは知らなかったようじゃ。わらわが教えてやったら凄く驚いておったわい」


「おい、セリアにどこまで教えてその後どうした?」


薄々だとしてもその件を知っていたならまだしも、何も知らなかった子供に教えるべきことではない。


「そう怖い顔をするでない。別にわらわは子供を虐める趣味など持っておらぬのでな、すぐに記憶を書き換えておいたわ」


「記憶が戻る可能性は?」


「わらわが死なぬ限りは絶対に戻らんはずじゃ。あとは…魔法使用者本人なら戻すことが出来るくらいじゃが、それをする気はないから安心せい」


「当たり前だ、少しでもそんな素振りを見せてみろ。その時は俺がセリアの記憶を書き換えた後………」


「ソウジ君? そんなに強くスプーン握ったら危ないよ」


「っ⁉ 悪い……。ティアもさっき俺が言い掛けたことは忘れてくれ」


さっき俺はティアにこう言おうとした……『その時は殺すぞ』っと。今までは怒りに任せて親や友達との会話中に軽い気持ちで『殺す』という言葉をよく使っていた。その為自然と癖で出てしまったというのもあるのだろうが、さっきのは多分本気だった。


自分が本気でティアを殺したいと思ったことに恐怖し、もしもの際俺は……ティアという1人の人間を殺すことが出来るのかという2つが頭に思い浮かび、続きを言うことが出来なかったのだ。


「まったく、ソウジは子供よの~。残念ながら今のお主ではわらわを殺すことなど絶対に出来んのじゃから考えるだけ無駄じゃぞ」


「なんで人を馬鹿にしてる感じなのに手を握ってきてるんだ? しかもなんか心読まれてるし」


「そりゃ~、わらわが人の心を読む魔法を使っておるからに決まっておろう。ちなみにこの魔法を使うには相手の体に触れる必要があるからそうそう使えんがのう」


俺の周りの女性陣ってなんなの。相手の嘘を見抜けるお姫様・魔法が得意な戦闘メイド・ハイスペック元お姫様・相手の記憶を弄れるだけでなく、心まで読めるロリババア吸血鬼。頼むからマイカだけは普通の人間であってくれ。


「勝手に人の心を覗くな……と言いたいところだが、ティアならもう何でもいいや」


「なんじゃ随分と拍子抜けな反応じゃのう。普通の者ならわらわから距離を取ったり、怖がったりするものなんじゃが」


「何を今さら。それを言うなら記憶をどうこうの時に言えよ。まあミナがいる時点でそれを使えばすぐにバレることは分かってたから俺もスルーしたんだけど」


それに俺なんかの心が読まれたところで困ることなんて特にないし。


さて、みんな食べ終わったみたいだしそろそろ二次会といきますか。

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