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世界最強の元一般人 ~どん底の天才、異世界で一発逆転を狙う~  作者: ITIRiN
第十五章

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第220話:たまごパン!

しかしこの人からしてみればそれすらも予想の範囲内だったらしく、苦笑いを浮かべながら


「ちょ~っと、さっきから旦那様大好きヤキモチ焼きメイドさんが私に物凄いガンもとい、『いったい、いつまで私の旦那様にお腹を空かせたままの状態でいさせるつもりなのですか?』っていう視線が凄くてね~。そ・れ・と―――」


そうこちらの疑問に答えてきた後、今度は意味ありげなところで言葉を切ったかと思えば、再び意地悪な笑みを浮かべながらすっと、人の耳元へと自身の口元を運んでき…小声で


「(そんなんじゃうちのイリーナは兎も角、ユリーっていう女の子には愛想尽かされちゃうかもよ?)」


「(ッ~~~)」


「(ふふっ、これはレミアとアンヌが揃ってソウジちゃんにぞっこんになっちゃうのも納得だわ。かく言う私も昨日初めてウチに来た時からもうベタ惚れなんだけどね)」


リーナ姉のことはまだしも、ユリーの件に関してはまさかバレているとは思っていなかったところでの、追い打ちを掛けるかのような囁き声でのこの発言。


今までの環境が環境だったせいもあって、相変わらず他人からストレートに好意を向けられることに慣れていない俺は、恥ずかしさから自分でも分かる程までに顔は勿論、耳の先まで真っ赤になっていることであろう。


しかしそれすらも全て見抜かれているからこそ、その点については一切からかってこないし、からかってこようともしない。


それどころか優しい笑みを浮かべながら感慨深そうにこちらを見つめてきている始末である。


もし俺がママと同じ立場にあったのならば、間違いなく同じ反応をしているである。


しているであろうが、恥ずかしいものは恥ずかしいし、このままやられっぱなしというのも面白くない。


そう考えた俺は仕返しとばかりに


「じゃあ、朝ご飯はたまごパンがいい!」


先程まであーだ、こーだ、と考えていた者とはまるで別人かと疑われても不思議ではないほどの勢いでそう言うと


「えっ、たまごパン? シーちゃんが食べられるパン料理且つ、卵を使ったものとなると……食パンの上に卵サラダを乗せてトーストで焼いて作る、卵サラダトースト。とかですか?」


「もしくはたまに私達が昼食としてお出ししている、たまごサンドでしょうか? 正直それ以外で旦那様がお食べになられる物と言われましても、心当たりがないのですが」


こちらの思惑通りな反応をしてくれたリーナ姉とエメさんを見て、内心したり顔でウキウキ状態だったのも束の間のこと。


そんな2人とは違い、何故か余裕の笑みを浮かべているママは


「たまごパンか~。それじゃあ私と半分っこしよっか」


なんで?


ちなみに俺が先程言ったたまごパンとは、まだフレンチトーストと言えなかった子供時代に呼んでいた料理名であり、いくら体が小さくなっているとはいえ1枚くらいであれば普通に食べられる量なのだ。


だからこそそんな疑問が頭の中に浮かび上がったのだが、どうやらそれは表情にも出ていたらしくママは予想通りといった感じで


「その代わり、ソウジちゃんのために残しておいたご飯で焼きおにぎりを作ってあげる」


「………………」


おそらくだが十中八九、この人はたまごパン=フレンチトーストであることに気が付いている。


その事実に加えて半分っこの提案からの、『その代わり、ソウジちゃんのために残しておいたご飯で焼きおにぎりを作ってあげる』発言。


幼児言葉に近い発言にも関わらず自分が持っている情報を元に瞬時に答えを導き出す推察力といい、こちらの悩みに対して面倒臭がらずちゃんと最後まで寄り添ってくれる優しさといい……流石はお母さん達と同じでただの人間でありながら、何百年と母親をやってるだけのことはある。


絶対に口になどする気はないが俺はこの瞬間、一生この3人の母親には勝てないであろうと察したと同時に、人生で一度も感じたことのない喜びが心の底から湧き上がってきていた。


前者は兎も角、後者に関してはきっと隠しきれていないであろう。


しかし真正面から愛情を向けられるのと同じくらい、俺は自分の中で生まれた好意を相手へと向けるのが苦手…というか恥ずかしい。


それが故に気恥ずかしさから、ぷいっとそっぽを向いたにも関わらずママは『よくできました♪』と言わんばかりに優しく頭を撫でてきた。

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