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第217話:家出の翌朝

「………ん~、もう朝か?」


誰かに起こされたわけでもなければ、自分で目覚ましを止めた記憶もない俺は近くにあるはずのスマホを手探りで探し出し


「……9時32分」


普段であれば絶対にあり得ない時間がスマホの画面に映し出されていたことを受け、まだ寝ぼけている頭を無理やり働かせて見るものの


さっきも思ったが俺は自分で目覚ましを止めた記憶がない。


まあ、もし無意識のうちに目覚まし時計を止めていたとしても、朝ご飯の時間が近くなってきた時点で誰かが起こしに来てくれるはず。


………どういうことだ?


といった感じで全く答えが出ないため、もう少し意識がはっきりするまで適当にスマホを弄り続けること数分。


「んー?」


徐々に昨日の記憶が蘇り始めてき……。


そう言えば昨日は警備室から直接リーナ姉の実家に連れていかれて、そのまま泊ったんだった。ついでに昨日はリーナ姉のベッドで一緒に寝た気がする。


んで、俺の体が未だに小さいままなことから見るに、多分ワザとだな。


ちなみに理由としては


・単純に子供の方が睡眠時間が長いから。

・また、医療系の魔法が効かない俺の体にリフレッシュ系の魔法を掛けようとした際、体が小さいほうが効きやすいらしい。といっても医療系の魔法色が強いため、気持ち効いている気がする程度だが。

・そしてここまでしてくれた理由は、間違いなく昨日のドタバタ疲れを回復させるため。


つまり俺が自然と目を覚ますまで寝かせてくれていたってことか。


そんな考察をしているうちに、完全に目が覚めた俺はベッドから抜け出し、そのままリーナ姉が用意してくれたであろう服へと着替えたまではよかったのだが、今回用意されていた服は長ズボンと長袖のワイシャツのみ。


いつもはこれにチョッキを着て過ごしているが、今日はそれがないせいか少し寒い気がする。


まあ、無いならないで別にいいんだけど。なんて思いながら部屋のドアへと向かって歩いていると、リーナ姉がいつもお風呂上りに着ているパーカーが目に入った。


その為、それを勝手に羽織り


「う~ん、当たり前のことながら…いくら袖をまくっても元に戻るくらいぶかぶかだなこのパーカー」


なんて独り言を言いながら、取り敢えず誰かしらはいるであろうリビングへと来てみたまではよかったのだが……。


普段であれば大したことのない、しかし今の体では大きく重たい扉が俺の目の前に立ち塞がっていた。


しかもお屋敷だけあって一般家庭のものとは違い、かなり重厚感のある扉のため威圧感が凄い。


しかし現実は非情なり。そんな弱音を心の中で呟いたところで目の前の扉が勝手に開いてくれるわけもなく、得も言われぬ不安感が少しずつ俺の心を蝕んでいくのみ。


おそらく身体の幼児化に引っ張られる形で精神にも影響が出ているが故の感情なのだろうが、いくら頭では理解していようと不愉快なのは変わらない。


ということで全身をそれへとくっつけ、全体重を掛けて目の前の扉を開けようと試みること数十秒。


なんとか開けることができた瞬間


「ご主人様‼」


誰かが俺のことをそう呼びながら結構な勢いで抱きしめてきた。


「んぷっ」


咄嗟のことで一瞬誰か分からなったけど、この声と匂い…エメさん…だよな?


こんな風にエメさんに抱き着かれたことなんて一回もないけれど、今俺が誰にそれをやられているのか当たってる自信がある。自信があるが故に、何故こんなことになっているのかが全く分からないぞ。


そんな人の心情を他所に、どうやら他にもいたらしい周りの人達はと言うと


「あら、おはようソウジ。別にもう少し寝ていてもよかったのに、もう起きてきたのね」


「あっ、ソウ君おはよ~。って、これ私達の声聞こえてるのかしら?」


「きゃーーー、今日のソウジちゃんも可愛い~♡ ねえイリーナ、このスマホっていう魔道具で写真を撮りたい時は、これを押せばいいの?」


「それであってるんだけど……なにあれ? なんで私よりも先にエメ先輩がシーちゃんに抱き着いてるわけ? とてもさっきまで私に怒られていた人と同一人物とは思えない行動なんだけど。別にさっきのは言いたいことを一通り言っただけで、私はまだ微塵もお義姉ちゃんのことを許してないんだけど」


なに? なにこれ? マジでこれってどういうこと?


なんでリーナ姉の家にお母さんと母さんがいるわけ?


なんでリーナ姉は朝から怒ってるわけ?


ママは……昨日の感じからしてこれが平常運転なんだろう。


てか結局、なんで俺はいきなりエメさんに抱きしめられているわけ?

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