表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
192/225

第188話:果たして今回のソウジに対するミナの総合評価は?(ミナ視点)

『じゃ、じゃあ、もし娼館にきたお客さんの中に病気持ちの方がいた場合どうなさるのでしょうか? 知らない間に病気がどんどん広まっていく可能性もありますよね? そうすればこの国だけでなく他国にまで迷惑を掛けることになりますよ』


まだ私は誰も指名をしていないどころか、一言も発していないというのに…ソウジ様による先ほどの完璧な返答の効果が早速出ているようですね。


残念ながらそんな心の中での称賛の声には気付いてくださらなかったものの、相変わらず普段とのギャップが堪らない素敵な表じょっ―――ではなくて、一切の油断も隙も感じさせない真剣でありながらも余裕さも見え隠れする表情という私が教えたうちの一つを忠実に実行しながら


『まず初めてご利用になられるお客様には各店内にある受付にてこちらを発行していただきます。そしてこのカードにご自身の魔力を流し込みこのように青色に光れば利用可、赤色に光れば利用不可という風に誰でも簡単に確認ができるようになっております』


相手の予定が崩れ始めたところで調子に乗るのではなく淡々と聞かれたことにのみ答え、それに関する追加情報は一切喋らないようにする。


何故ならば先ほど同様ワザとこちらの隙を相手に見せて、こちらの勝ち確定な土俵へとおびき寄せるため。


と、ここまではミナ先生の教え通りに進められているので100点満点をあげちゃいます! で・す・が…本番はここからですよソウジ様?


『でもそれだけじゃあ自己申告ってことで意味がないんじゃないかな?』


私が指名する前に喋り出したことについてはどうでもいいのですが、うちのソウジ様に対してため口を使うとはいったい何様のつもりですかこのクソガ………んん゛っ。


『はい。ですので当店舗をご利用になる際は毎回必ず受付で専用の機械にカードを通してもらい確認させていただきます。また、カードで確認した結果の有効時間は十分間ですので前回の結果をそのまま利用することは出来ません。それに加えカードに流した魔力とお客様自身の魔力が一致しているかどうかの確認もさせて頂きます。それから娼館・男娼で働いている従業員の皆様にも同じカードを使って毎回確認をしてもらいます。確認するタイミングとしては出勤時に確認済みのカードを同じ機械に通し、異常がなければそのまま仕事へ…という感じですね』


引き続き教えた通り完璧な受け答えで難なく四人目の質問者を納得させたのを確認しながら一人誰に言うでもなく自分の中で


さぁ、ここまではワザと比較的相手しやすい方々が質問者になるよう順番に並べていましたが…ここからはちょっとだけ難しくなりますよ?


まるでこちらの思考を読んで協力してくれたのでないかと思いたくなる程までに完璧な嫌らしさを全身に纏っているだけでなく


『病気の件は分かりました。ですが異常があった女性には仕事をさせない……というより出来る仕事がない状況になりますがその場合は一体どうなされるおつもりなのでしょうか? まさかとは思いますが使()()()()()()()女性はお構いなしに捨てるなんて言いませんよね?』


といった感じで質問内容はもちろん中身までもが最悪なこの男に対してソウジ様はというと


………ほんの一瞬とはいえ、今本気で怒っている時の顔をしましたね。しかもあれはただ怒っているのではなく相手の歯が何十本かは折れるくらいの力で殴ろうとしていましたね。


う~ん、まああれでもかなり我慢したようですからソウジ様と近しい関係にある一部の方達にしか気付かれていないのは不幸中の幸いでしたが……。


まったく、あれほど自身の感情を表には…特に怒りのそれは出してはいけませんよと教えましたのに。仕方ないとはいえやっぱりまだまだですね。


『先程も言いましたが当店舗では二つのコースをご用意致しております。そのため性サービスは行えずともお客さんとお喋りする方の仕事に専念するすることも出来ます。またこちらは国が経営する形ですので治療費等は全てこちらが負担いたしますし、それは病気が原因で仕事を辞めるという方も対象です』


ですがこの様子ですと残りの質問者も問題なさそうですね。少なくとも私が質問者であれば先程見せた怒りの表情から一変、自然な笑みを浮かべながら喋っている彼に引き続きそれをするなんてこと不気味過ぎて絶対に嫌ですけど。


『対策がバッチリなのは認めるよ。でもさ、娼館という店がこの国にあるというのは子供に悪影響を及ぼす害悪店でしかないと思うんだけど?』


『まず今回お店を建てた場所は他の店舗・施設などがある場所から少し離れた場所にありますし、今後同じようなお店が増えたとしてもその周りに作っていき最終的にはそういったお店が集まる区画を作りたいと考えております。またその区画に繋がる出入口には門番や見回り兵を配置する予定ですので間違ってお子さんが迷い込むということは少ないかと思われますが』


これは……さっきと同じような失敗をしないようソウジ・シラサキ及びソウジ・ヴァイスシュタインという人格を完全に封じ込めて、作り物のそれでこの場を乗り切ろうとしている…っといったところでしょうか?


確かに普通の国王などであれば正しい判断でありますし、どうしてもという時はそうしなさいと教えましたけれど私はそれと一緒に


『しかしそれではソウジ様の良いところが全て潰れてしまうどころかマイナスに働いてしまうので極力使ってはいけませんよ!』


と言ったはずですよ? 正直このくらいなら自力でなんとかしてほしかったのですが……う~ん?


『確かにそれなら子供が迷い込む可能性は低く実際にそういったお店を誤って見てしまうという事故は少なく済むと思います。ですが! この国に娼館というお店があるという情報が子供達の耳に入ることを防ぐことは出来ないでしょう? そこのところはどうお考えなのでしょうか‼』


最初から最後の質問者に照準を合わせてワザとこちら側の隙を作っておき、こんな風に自分達の勝ちを確信したことが丸分かりな冷静ではない行動を相手が取るよう煽り、誘導し


『確かにそれは絶対に無理です。ですが娼館・男娼というお店を作って一か所に人を集めるのと、《《これまで通り》》普通に道端なので際どい服を着た大人が通行人を誘惑したり、物陰に隠れて性行為が行われているのとではどちらが良いと思いますか? 私的にはそっちの方がお子さんにとって悪影響だと思うのですが』


『『『『『『『………………』』』』』』』


一気に叩き潰す。その一連の流れをしっかり覚えていることは知っていましたが、いつの間に実践できるまでに成長していたのかと思えば……あの様子ですとただ頭に血が上っていただけみたいですね。


『他にどなたかソウジ陛下に対するご質問、ご意見等ある方はいらっしゃいませんでしょうか?』


『『『『『『『『『『………………』』』』』』』』』』



『どうやら現段階ではいらっしゃらないようですので今回の自国民参加型の公開討論会はこれにて閉会とさせていただきます。また今後のご予定としましては事前にお伝えしておりました通りこの後、希望者全員に陛下が作成いたしました計画書及び従業員用マニュアルを配布させていただきますので、そちらと合わせて明日より正式に営業が始まってみてのご自身のご感想を元に一ヶ月後に行います『成人向け店舗の営業継続』の賛成か反対かのご投票をお願いいたします』


頭に上っていた血が冷め始めたせいで軽く放心状態にあるソウジ様に代わり私がそうこの場を締めると会場だけでなく外からも多くの拍手や称賛の声が聞こえてきているものの、それとは裏腹に私は心の中で


………前半に関しては先程も言った通り贔屓目なしに百点満点でしたが、後半に関しては自身の感情を上手くコントロールできていなかった点はもちろん


他にもいくつかありましたが特に『女性従業員に関する質問はするのに対して何故か男性従業員に関するそれは一切しない』という超特大の隙を隙を見す見す逃しただけでなく、『従業員とお客さんが個室で二人きりという状況下で何か問題があった際の対処方法と対策案』という反対勢力に対して駄目押しで更に追い打ちを掛けるために自分で仕込んだ特大の罠を回収し忘れていたりと粗が目立ち過ぎです。しかも最低でもこの二つについてはご自身でも最初から分かっていたはずだというのに。


建国祝いパーティー時のお母様ではありませんが正直あんな人達相手にこの出来ではいいところおままごとレベル、国のトップに立つ者のしては0点ですね。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ