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第18話:初プレゼント

さて、夜飯はこれで完成っと。あとはみんながいるかどうかだけど


「おーい、そこにみんないるか?」


「お兄ちゃん! アベルおじちゃん以外は全員いますよ」


今俺はキッチンの奥にいるため顔は見えないのだが、この声はアリスだな。それにしてもアベルおじちゃんは流石に可哀想だろ。別に直させる気は無いけど。


とか考えながら俺はリビングまで移動し、収納(ディメンション)魔法(・シェルフ)からさっき買ってきた荷物をテーブルに広げ


「んじゃ丁度良いや。まずはアリス・サラ・エレナ・リーザ・セリア。それからティアとエメさんにはこれな」


「ん? ソウジ、みんな同じ袋みたいだけど中には何が入っているのかしら?」


「気になるなら自分で開けてみ。まあ俺からのプレゼント…って言うのはちょっとおかしかもしれないけど」


「わ~あ! セリアちゃん見てみて! 可愛いメイドさんのお洋服が入ってるよ」


「あら本当だわ。……触ったことのない感触の生地ね。それにこの袋も見たことのない物だし…もしかしなくてもこれはソウジの世界の服なのかしら?」


薄々感じてはいたがやっぱりセリアは頭が良いらしいな。瞬時に今自分が持っている情報を組み合わせてその答えを導き出すとか…探偵になれるぞお前。


「そうだ。あとメイド服は同じのが数着ずつ、パジャマはデザインが違う物が数着ずつ入ってるから洗濯しながら着回してくれ。あと靴も入ってるからもし自分の足に合わなかったら言ってくれ。新しいの買ってやるから。あとは……ああ、エメさんにはメイド服とブーツだけですけど、パジャマも欲しいなら言ってください。買ってきますんで」


エメさんの場合、既に必要な服はあるみたいだからっていうのもあるけど、この人の正確な歳は知らないが30前後ではあるらしい。


歳の離れた姉弟とかなら普通にあり得る年齢差だが、少し歳が離れているのも確か。思春期男子じゃないが正直そういった物は選びにくい。


「ご気遣いありがとうございます旦那様。その時はお願いいたします」


ふ~う、取り敢えず今すぐ欲しいとか言われなくて良かった。もしもの時は通販サイトで選んでもらおうっと。


「次にセレスさんですね。セレスさんには執事服が複数と皮靴です」


「これはこれは、私のようなものにまで…ありがとうございます」


「いえいえ、とんでもない。エメさんもそうですが自分みたいなガキなんかに敬語を使われてるだけでも申し訳ないのに、頭を下げてお礼なんてしなくていいですよ」


当然のことながら今までの人生で年上に敬語を使われるなんてそうそう無かったから違和感が凄い。というか正直止めてほしいんだが……まあ無理だろうな。


それに比べてミナとリアーヌさんの場合は敬語だけど、近しい関係って感じがするからあんまり抵抗感が無いので気にならない。


「いえ、あなた様がどんな方であれ私の旦那様なのは変わりありません。それに私共の様な者に旦那様から頂き物を頂くなど普通は有り得ないこと。ですから本来ならば頭を下げ、お礼を言うだけでも足りないほどのことなのです」


「そうなの?」


「う~ん、まあ仕えている相手やその環境によって変わってくるとは思いますけど……少し言い方が悪いですが使用人の方々には毎月お給料をお支払いしているわけですし、普通プレゼントなどはしないと思いますよ。よっぽど相手の方と親しい関係だとか、長い付き合いだというなら話は別ですが。私の場合だとリアーヌにはプレゼントを渡したりしますし」


ふ~ん、ミナですらそう言うならそれが普通と考えて問題なさそうだな。でも俺はその風習を無視する! だって元が一般人だし。今更貴族様の風習に染まるとか無理だもん。


「それじゃあ俺のことは孫とでも思って、それからプレゼントを貰ったってことにしてください」


「旦那様が私の孫ですか。ほっほほ……これまで様々な方に仕えてきましたが、そのようなことを仰られる方は初めてですよ」


「別に普段から孫として接してくれとは言いません。こういう時だけでも良いのでお願いします」


「旦那様のお願いとあらばしかたありません。では、これからはそうさせて頂きたいと思います」


今気づいたけど、この流れでそのうちティアがお婆ちゃんとして接してきたらどうしよう。……こんなことを考えているのが本人にバレたら怒られそうだから忘れよ。


「はい、次はマイカな。マイカにはこれから俺の秘書として働いてもらうことになるから、スーツ一式とストッキング、それにパンプス……って言っても分からないか。記憶元が男の俺で悪いが送るぞ」


今回俺が用意したスーツ一式は固い物じゃなく、カジュアル系のを数種類だ。イメージが沸かない人はなんちゃって制服を思い浮かべてくれればいい。考え方としては大体同じだ。


ちなみにストッキングは透明のタイプだが決して俺の趣味ではない。……いやホントだよ。だってネットで調べて一式揃えただけだし。


スーツの方は若干自分の趣味を取り入れたっていうか、若者向けのデザインに寄せたけど。


「ソウジ様から頂いた記憶だとスーツというのは黒と白のかっちりした物が多いのですが、このような緩い感じの物でよろしいのですか?」


「確かに正式の場での仕事って時ならそっちの方がいいけど、ここで仕事をする分にはその緩い感じのスーツで全然良いよ。その方がお互い楽だろうし、マイカも毎日同じ服を着るよりオシャレしたいだろ? つっても、全部俺が選んだやつだから今度好きなやつ買っていいぞ。なんなら普段の仕事では自分の好きな私服を着て、今あげたやつはちょっと真面目な仕事の時にっていう感じで使ってもらってもいいし」


一応仕事用に何台かPCは用意してるけど、やっぱり一部の人達にはスマホも買った方が良いか。スマホがあれば通販で服とか好きに買えるし、今は春休み中だからずっとこっちにいられるけど4月からはまた大学に行かなきゃいけないからな。連絡手段も必要になってくるだろう。


「いえ私はソウジ様の秘書兼宰相ですので、おしゃれなんてとんでもない」


「あ~、マイカは俺と同い年なんだし敬語とか様はいらないぞ。それにティアを見てみろ。こいつ俺から服を貰った後さり気なく部屋から出て行って、1人だけ着替えてきてやがる。……マイカ、こいつの役職言ってみ」


「えっと、ソウジ様専属のメイド兼副メイド長……です」


「そう。なのにこれだぞ、これ。別にティアみたいになれとまでは言わないけど、少しくらい楽にしても良くないか?」


「どうじゃソウジ。似合うかの?」


実はメイド服のデザインは人によって変えていたりするのだが、ティアの場合は白と黒の和服メイド服一歩手前の物である。本当は和服メイド服を着せたかったのだが、そうすると靴じゃなくて背の高い下駄とか履かせたくなるから止めた。本人が望むならまだしも、慣れてない靴を履くのはあんまり良くない。


「挙句の果てには感想まで要求してくる奴がいるんだから気にするなって」


「そっ、そこまで言うなら普通に喋るけど……。え~と、呼び方はソウジ君でいい?」


「全然いいぞ。それとこれはスケジュール帳とボールペン。これもあげるから良かったら使ってくれ」


「ありがとう。それじゃあこれはソウジ君の予定管理に使わせてもらうね」


あ~、そういう使い方もあったか。マイカは俺の秘書と宰相で忙しいだろうからって意味でプレゼントしたんだけど、後でもう一冊買ってやろ。


「それで……なんで2人は俺のことをジッと見てるんだ?」


2人というのはミナとリアーヌさんのことである。しかも『勿論私達へのプレゼントもありますよね?』みたいな顔してるんだけど。俺、何にも用意してないぞ。


「あの~、ソウジ君。もしかして2人には何も買ってきてないの?」


「もしかしても何も別に俺はプレゼントを買いに行ったわけじゃなく、これから必要になる物を買いに行ったんだから2人には必要ないだろ。昨日全部買って渡してるし」


「「「「「…………」」」」」


なになになにその目‼ ミナ・リアーヌさん・ティア・マイカ・エメさんまで……。しかも5人揃って、駄目だこいつみたいな顔してるし。俺なんかしたか?

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