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第180話:てぇてぇ

人の息子…いや、まあアンヌの子供でもあるのだが……少なくとも今日一日だけは私達夫婦の愛息であり、家族であるというそれっぽい建前を前面に押し出しながら


やり方は若干強引ではあったものの私の目の前で行われていた頬っぺたすりすりという非常に羨ましい母子間でのスキンシップを止めさせ、再びソウジと手を繋いで今回の目的地であるサムールへと向かおうとした直前


後ろから大変満足そう兼大人の余裕みたいな雰囲気を出しながら


「そんなに羨ましいならレミアちゃんも少しは素直になればいいのに。なんなら私が直接本人に『いつもソウ君がママにしてくれるみたいにレミア()()()()もソウ君とラブラブ♡したいんだって』って言ってあげようか?」


「………いくつか問い詰めたいことがあるのだけれどそれはまた後にするとして、一つだけ言っておくわよ」


そんな私の真面目な声色にも関わらず彼女は


「う~ん?」


と普段通りか、それ以上にふざけた声色で返してきたが一旦それを無視することにした私はソウジのことを抱き上げ自分が喋っている言葉とは全く違うものが聞こえるようになる魔法を掛けてあげてから


「正直に言えばアンヌとソウジの関係は見てて羨ましいと思うことは結構あるし、たまにでいいから私もママとかレミアママとかって呼ばれたくもあるけれど…性格上どうしてもあなたみたいにそこらへん上手くできないせいで………」


「………………」


「ん~ぅ、取り敢えずアンヌとソウジの関係が物凄く羨ましくて仕方がないけれど私は私なりにソウジとの関係を上手く築けていると思ってるし、現にこの子と親子になってからの毎日が幸せでたまらないしってことで…お構いなく‼」


「私はレミアちゃんと長い付き合いだけど…実の娘であるミナちゃんが相手でもここまでデレデレしてるところなんて見たことないっていうのに、まさかそんな人がここまで自分の気持ちに素直になるだけじゃなくちゃんと言葉に出すなんて……明日は隕石が降ってくるね」


当たり前のことながら別にどっちの方が大切とか優先するとかといったものはないのだが、先ほどブノワも言っていた同性である娘よりも異性である息子の方が可愛く見えてしまう母親あるあるに言い訳ができないレベルで当てはまっていたらしい……というか


最初からそれは自分でも分かってたし、既に周りの人達にもバレていることは百も承知ではあるもののやはり自身の性格というか…照れくささからどうしてもそういった感情を素直に表に出すことが出来ずにいたのだが


私とは真反対の性格をしているが故にソウジに対する接し方も違えば、返ってくる反応も全然違うといった…これまでアンヌ・ソウジが母子として築き上げてきた関係を目の当たりにさせられたことによって羨まし過ぎる欲が爆発してしまった結果が


先ほどのらしくもない言葉兼態度へと繋がっているのだが、まあ普通に考えてあんなもの120%越えの勢い任せでしかないため恥ずかしくなってきた私はソウジに掛けてた魔法を解き


「はい、お待たせ。アンヌとのお話も終わったからそろそろサムールへ行きましょうか」


そう言いながらこの子を地面に降ろすため一度膝を折ろうとした瞬間


「んっ…ちゅっ♡」


そんな可愛らし吐息交じりの微かな声と……小さい子供特有のキスした時に出しがちな擬音。


それらが自分の耳元から聞こえてきたと同時に、私の頬っぺたにソウジの小さくて柔らかい唇が触れたことまでは理解できたのだが


「………………えっ?」


「んふふふふふっ♪」


「え~、ソウ君に頬っぺたちゅーしてもらえるとかレミアちゃんだけズル~い。っていう本音は置いといて、一応言っておくけどそれに関しては私が魔法で何かしたってわけじゃなく完全に本人の意思でやったことだからね」

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