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第172話:お出掛け前も可愛いソウジ

その後もなんだかんだと母娘間でのちょっとした言い争い的なものが続いたものの、各自自分の部屋へと片付けや仕事の準備をしに行っていたセリア達がこの部屋に戻ってくる気配が感じられたと同時にアンヌとティアは再び遠慮なしに殺気をぶつけ合いながら訓練場へ転移を


エメは先輩兼上司もといセリア達最年少組の姉としての…いつも通りの表情へと変えたためソウジを起こす前に再度記憶を改変させながら


「私知ってるのよ~、弟(ソウジ)(最年少組)の前ではそうやってお姉さんぶってるけどミナ・リア・マイカ・ティアの四人の前ではさっきみたいに普通の女の子として素の状態でお喋りしたりしているってこ・と・を♪ ……おっと、そういえば四人だけじゃなくもう一人いたわね」


年甲斐もなくそんな学生みたいな意地悪を言うとエメは可愛らしく頬を赤く染めながら


「ちょっ、レミアお母様⁉」


「あはははは、冗談よ冗談。そうよね~、私はまだ本人の口から直接聞いたわけでもなければ二人っきりで何かをしているところを見たわけでもないし? 勝手な決めつけはよくないわよね」


「んぅ~、レミアお母様の意地悪‼」


なんて彼女の言葉通り意地悪をしてきた母親にこれ以上余計な詮索などをされないようにといった感じで、キッチンから少し離れた居間の方へと向かうよう私の背中を両手で押してくるのを内心楽しみながらそこにあるソファーへと腰を下ろした後


『どうせ2人っきりの時にでも隠れて色々しようとしていた方が何を言ってらっしゃるのやら』


とエメが言っていた通り実は既にアンヌほどではないにしろ私もみんなに内緒でソウジとは母子としての時間を作っていたりするため普段の生活では見られないような表情や感情、行動といったものを本人の意思とは関係なく覗かせてくれる瞬間が堪らなく好きで…その中でも一番キュンときたのは連休最後に二人で映画を見に行った日にあった


あの小さな子供のように自分の中にある嬉しさを隠しもせず遠慮なしに手を引っ張ってきた朝と、それを見終わった後の感想を無邪気に喋っていた時だったのだが……。


なんて先日あった出来事を思い出しながら記憶改変を終えた私は軽くソウジの背中を叩いて起こした後


『今日はみんな忙しいみたいだからお昼ご飯を食べにサムールへ行きましょうか』


と言ってあげると本当は嬉しくて仕方がないくせに可愛げもなくそれを私に察せられないよう我慢しているつもりなのだろうが、こちらから見れば全く隠せていない状態で


『ん。今準備してくるからちょっと待ってて』


そう言い走って自分の部屋に行ったかと思えば今度は走ってエメのもとへ向かっていき


『ねぇ、見てエメ姉! この服どう?』


と本人にとっては精一杯のお洒落をしたつもりなのであろう自分の恰好を嬉しそうに見せていたりといった一連の流れを目の前にし


あの時のソウジも良かったけど、これはこれで凄いキュンとさせれるわね。ん~、でもやっぱりあの日を超えるほどのものではない…と言いたいところなのだけれどこれはこれで可愛すぎるというかなんというか。


なんてことを人が真剣に考えていることをいいことにこちらの隙をついて


『よくお似合いですよ、ソウジ様。ですが私ならもっとソウジ様をカッコよくしてさしあげらると思うのですが…どうなさいますか?』


『本当? そしたらミナ姉と、リア姉と、セリア姉と、マイカ姉と、ティア姉と、そっ、それから……ユリー姉にもカッコいいって…言ってもらえる?』


『んふふっ、もちろんですよ……ソウジ』


といった感じで弟を自分好みの格好にしただけでなくあの子のことを呼び捨てにしてみたりとやりたい放題していたのが今から数分前のことであり、現在は約束通りサムールへとお昼ご飯を食べに行くために


建物側から順番に私、そしてその私と手を繋いでいるソウジ、同じく手を繋ごうとしたものの五歳の息子に拒絶反応レベルでそれを嫌がられ続けたどころか出来るだけ近くを歩きたくないのか少し距離をあけられているブノワといった感じで親子三人仲良く…ないわねこれは。

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